私が4番目の子供を妊娠した頃からでしょうか、寝る前の時間になると不思議なことが起こるようになりました。毎晩、子供たちを一人ずつ寝かしつけていきます。一番上の息子、それから、娘、そして3番目の18ヶ月になるまるまるした息子エージェーをベッドに入れていくのが毎日の日課でした。しかし、不思議なことになぜかいつもエージェーを寝かしつける時になると、無意識の間に「もう1日だけ一緒にいさせて。」と口に出す自分がいました。幼い息子に母が言うことではない一言に自分でも不思議で仕方ありませんでした。

初めの数回のうちにそれはおかしいと感じ、自分で自分を疑いました。「どうしてこんなことを言うのだろう。本当にそう思っているのだろうか。」ついには夫にそのことを相談すると、夫もそれは確かに「おかしいこと」だと話しました。それからというもの、そんな言葉は口にしないようにしました。数日後、夫が寝る前に子供達へキスをし、部屋に戻ってきた時不思議そうな顔で言いました。「とても不思議なんだけど、私もエージェーに同じことを言ってしまったんだ。」そんなことが数ヶ月続きながらも、ただ家族での時間を過ごしていきました。

それからしばらくして、4人目の子供が生まれ、6人家族での生活を楽しんでいた頃のことです。エージェーの体調があまり優れないことに気がつきました。最初はただのインフルエンザかと思っていたものの、これまでにあった数ヶ月の不思議な経験から何か嫌な予感を感じ始めていました。息子を病院に連れて行き、大したことはないと言い張る医者に無理して色々な検査をしてもらいました。

 

母の感

多くの検査をお願いした末、医者はMRI検査まで行ってくれました。そして、ついにその時がきました。電話越しで検査結果を受けた日のことを一生忘れません。病院から電話があり、医者がこう言いました。「ホックさん、時に母の感は医療のどのような学位よりも優れていることがあります。というのも、あなたの息子さんの頭にものすごい大きな腫瘍が見つかりました。できる限り早くこの腫瘍を取り除く必要があります。」

私の心は深く沈みましたが、それと同時に、今までの不思議な経験が主の計画の一部であり、私たちを備え、導いてくださっていることに気づきました。しかし、息子の腫瘍について調べたあの晩は人生で一番苦しい夜でした。私は病院のベッドに横たわり、息子を抱きしめ、彼の寝息を感じていると隣の椅子で寝ているように見せかけていた夫マイケルは我慢ができず泣き出してしまいました。そして、彼は言いました。「これは主の計画の一部であると知っているけど、エージェーがいなくなる準備はできていないよ。もっと彼の父親である時間が欲しい。一緒にやりたいことがたくさんあるんだ。」

私たちがこの特別な経験を受け入れようとしている一方、エージェーの手術は翌日にまで迫っていました。たまたまその日がエージェーの2歳の誕生日だったので、誕生日プレゼントに綺麗な脳をプレゼントすると伝えました。夫のマイケルは平安に満ち、とても穏やかな様子でした。彼にはこれから起こることが全てスムーズにいくという気持ちがありました。不思議なもので、いつも私が平安を夫より先に感じる傾向があったのに、今回、私にはその平安を得ることはできませんでした。

 

待つ必要

脳腫瘍摘出手術は始まりにしかありませんでした。7週間の放射線治療の間で、息子が私の入ることのできない部屋へ連れて行かれるのを見ることに慣れていきました。毎回、自分の無力さを感じましたが希望を失ったわけではありませんでした。時に、絶望して一人苦しむ人を見てきましたが私にはそのような気持ちはありませんでした。どんなに不安があっても、救い主が私の良き友としていつも側にいてくれることを知っていました。同じ目標を共有することのできる友達がいることに感謝しました。

脳腫瘍と戦う息子

月日が経ち、私は床に横たわり、ボールを握って眠っている息子エージェーの側で泣いていました。私たちにできることは全てやってきました。藁にもすがる思いで治療を全て行い、スペシャリストのいる病院へ何千キロと移動し、できることは全て行ってきたのにもかかわらず、私には完全な平安を感じることはありませんでした。私たちに必要なのは「ただ、待つこと」だけでした。腫瘍が再発しないようにさらなる放射線と抗がん剤治療が繰り返されました。

最後の希望を込めた治療の検査報告を翌日に控え、息子を失うかもしれない不安でいっぱいの私には平安と慰めが必要でした。不安で不安で、胸が苦しくて、どうしようもなかった私はモルモン教神殿まで運転しました。

神殿で時間を過ごしていると、感情がついにコントロールできなくなり、ただ泣きじゃくってしまいました。奉仕している女性がティッシュを渡してくれました。夫があの日感じた平安とは裏腹に、私の中で息子を失うかもしれない不安と悲しみで日に日に胸が張り裂けそうな思いがついに爆発してしまいました。そんな時、心の中で祈りました。平安と慰めを得ることができるように天のお父様に話しかけました。

その時を境に私の心の荒波が静まりかえったのです。そして心にこのような気持ちが響き渡りました。「主は私たちの人生において全ての事を祝福してくださっている。かわいい子供たちも含め全ての事を。その恩を返す唯一の方法は主の計画を喜んで受け入れること。私にはその覚悟ができているのだろうか。」

 

主と一つになる

その瞬間に涙が止まり、聖典の中のある人たちの話が浮かんできました。それは全てを失った使用人、ヨブ、それからアブラハムと息子イサク、彼らが歩んできた経験、また、私と共有できることは何かを御霊が教えてくれました。主はヨブのお金が必要だから彼が持っていた全てのお金を取り上げたわけではなく、腫れものが似合うから腫れものを与えたわけもなく、アブラハムに息子の命を燔祭にして欲しくて殺すよう命じたのでもなく、彼らは主への信仰を試されたということに気がつきました。主に全てを任せ、信仰を働かせた時に「主と一つになる」ことができたのです。

それが答えでした。まさにその通りでした。聖典に出てくるヒーローたちは主の単なる「目標を共にする友達」ではなく、それ以上の関係であることを知りました。主と一つになるために主がこれらの経験を私に授けてくださったことも。主が私の信仰を強めるのではなく「私」が「私の選択によって」主と一つになることができるように、私の人生にこの特別な試練を与えてくださったことを初めて知ることができました。私一人の力ではなく、主と共に乗り越えることができるように主は計画をしていたのです。

私は誓いました。もうこれ以上、息子の命を追い止めないことを。その代わりに、主の御心を全て受け入れると決心しました。それがたとえ、願っているより短い息子の命であっても。

あの神殿での経験から一年が過ぎようとしています。エージェーは私たちの側にいて、日に日に強く、賢く生きてくれています。息子が毎日側にいてくれることに感謝しています。また、この癌が戻ってこないことを日々祈っています。未だに検査に行くたびに心配はありますが、主の支えと信仰によって私自身も強められていることを感じます。主が単なる友達ではなく、いつも側にいてくれる私の兄であり、私の救い主であることをはっきり知っています。また、私の願いではなく主の御心を受け入れるときに、苦しみや悲しみが主の愛によって乗り越えることができることを知っています。

元気になった脳腫瘍の子と家族

 

 

この経験は2016年にメイラニがTOWF(Time Out for Women)「One Heart One, Faith Tour」と呼ばれるプログラムのステージで発表した記事で、仲間富士香によって翻訳されました。