様々な事情により早期に帰還をする宣教師がいます。しかし、それは自分の至らなさを感じたり、神様や周りの人から見放されたように感じたりするとても辛い経験です。そんな時でも、祈りや聖典学習、そして周りの人の優しい言葉や行いを通して神様の愛を感じ、苦しみを乗り越えることができます。

あなたの周りにも早期帰還した宣教師がいるかもしれません。もしかしたらあなた自身が当事者かもしれません。どうしたらこのような苦しい経験を乗り越えることができるのでしょうか?

早期帰還する理由には、色々あると思います。教会の標準から外れた行いをしてしまったり、病気、精神的、情緒的な問題を抱えたりしてやむを得ず帰還する場合があります。

状況は異なるかもしれませんが、神様は、各個人の心の中や状況を本当によくご存じです。そして伝道に出た宣教師たちが自分の時間や才能を神様のために捧げ、持てる力を尽くして働いたことをご存じです。

神様は人が落ち込んだままいる状態をお望みではありません。神様は人を愛し、何度でも手を差し伸べて光へと導いてくださいます。

早期に帰還した宣教師の心の状態

早期帰還した宣教師は、「周りの人に受け入れられるだろうか、何を言われるだろうか」と不安に思うことがあります。あなたの周りにそのような人がいたら、ぜひ彼らのことを帰還宣教師として受け入れ、彼らの行った奉仕に感謝し、彼らが自分の行えなかったことではなく、行ったことに目を向けられるよう励ましてください (ケビン・テリオット博士 「早期に帰還した宣教師のサポート」『リアホナデジタル版』2019年7月)。

6か月で帰還した宣教師の話

アルゼンチンに召されたある宣教師の長老は、伝道中に自信や信仰を失くし、6か月の伝道を終えて母国に帰国しました。

周りの人たちが当たり前のように伝道に出るのを見て育ったので、19歳になった時に自分も当たり前のように伝道に出ました。

でも伝道に出てから、自分には確かな信仰が無いことを感じ、周りの宣教師と比べ、どんどん自信を失い、神様の愛をまったく感じられなくなっていました。これ以上、自分が確信を持てない真理を人々に教えることはできないと思いました。そして伝道部長に早期帰還を申し出ました。

早期帰還してからは、情緒的に不安定な状態が続きました。それでも真理を知るために祈りや聖典学習を欠かしませんでした。

ある日、家族と一緒に親友の家に遊びに行きました。親友の父親が玄関で出迎えてくれて、彼のことをギュッと抱きしめ、「来てくれて本当に嬉しいよ」と言ってくれました。その時に彼はキリストの大きな愛を感じました。親友の父親は、まるで何事もなかったかのように接する訳でもなく、彼のすべてを受け入れてくれているような気がしたのです。

それから彼は、祈りや聖典学習を通して真実を求め続けました。そうしている間だけ、平安を感じることができました。次第に小さな出来事や何でもない事柄に目が向くようになりました。

寂しい時に誰かが声をかけてくれたり、情緒的な問題をよく理解してくれる新しい女友達に出会ったりしました。彼女は、本当に必要な時に携帯でメッセージを送ってくれました。

そのような小さな事柄すべては、神様からの答えなのだと彼は気が付きました。自分はまるで赤ちゃんのよちよち歩きのように前に進んでいると思いましたが、それがまさに証を得る方法なのだと確信しました。そして今まで神様から大きな答えを期待していたことに気が付きました。

神様の答えをもらう前から、自分で条件を付けていたのです。でも神様は想像できないほどに自分を愛してくださっていることに気が付きました。彼はこのように言っています。「神様がわたしたちに授けられる祝福には制限などありません。」

この経験を通して、彼は神様の偉大な愛を感じることができました。わたしたちも落ち込んだ時に、ベイビーステップかもしれませんが、確実に前に進むことができます。

もし周りにこのような経験をしている人がいるなら、彼らが立ち直れるように神様の愛を伝えることができると思います。

みなさんは落ち込んだ時にどのようにして苦しい気持ちや困難な状況を乗り越えましたか?周りに苦しい思いを抱えている人がいたら、どのようにその人を力づけることができると思いますか?このことを考え、答えを祈り求め、得た導きを実践してみてください。

もしあなたが今このような経験をしているなら、他にも同じ経験をしている人たちがいて、一人でないことを知ってください。このような経験を乗り越えた方は、どのように乗り越えることができたか、良かったらコメントしてください。