「おばあちゃん、久しぶり!…僕のこと、覚えてるか?」まさに祈りの奇跡を求めた瞬間だった。

 

先日、JAX(ペンネーム)は久しぶりに、生まれ故郷の大阪へと帰ってきました。兄に4番目の子が誕生したとのこと、そのお祝いに駆けつけたのです。行き着くこと車で5時間半…、ヘトヘトになりながらも、だんだんと蘇る故郷の記憶。 童心に返りながら、 「こんなことあったなあ、…あんなこともあったよなあ…」なんて、わくわくしながら道中を走ってきました。

 

JAXの小さい頃の記憶の中に、祖母は欠かせない存在。一人ぼっちの時には、優しく声をかけてくれて、一緒にテレビゲームをしたり…夜が近づくと美味しいご飯をよそってくれて、寝る間際には本を読んでくれたり… 朝起きて、オネショをしたJAXを、本気で叱ってくれたり…

 

時は経ち、父の仕事の転勤で、関東に移り住んでから十数年。 まったく祖母のもとに帰れずも、 「いつか…いつか…」 なんて心の中では思いながら、時を過ごしていました。

 

それから、祖母と顔を合わせたのは、祖父が亡くなった葬儀の席。 祖母自身も脚を悪くし、既に施設で生活をするほどの記憶障害を起こしていました。

 

「おばあちゃん…」 声をかけても、既にJAXが誰であるのかさえ、祖母は分かってはいないようでした。

 

…自分の人生の中で、これほど後悔したことはありません。 いつかできること、なんてものはこの世にひとつもない。 もう少し元気なうちに、顔を見せなかった自分自身を責めました。…ちゃんと、遊んでくれたお礼を言いたかった。…ちゃんと、食べさせてくれたお礼を言いたかった。…ちゃんと、叱ってくれたお礼を言いたかった。 今はそれが届かない。 悔しくてしょうがない…

 

今回の旅の目的は、なにも兄のところで産まれた子どものお祝いだけじゃない。 実は、どんなかたちであれ、しっかりと祖母に、育ててくれたお礼を言うために帰ることも決めていました。

 

祖母がお世話になっている施設の住所を聞き、玄関先までたどり着いた時、一瞬、足が止まりました。 (…どうせ行っても、覚えていないだろうな…) 心の中で強く祈る。

(…一瞬でもいい。祖母の心に、私の想いが伝わりますように…)

 

受付を通り、祖母の部屋へと案内される。 「〇〇さん、お孫さんが来てくれましたよー」 ドアを開けると、あの頃と変わらない祖母の姿があった。

 

「おばあちゃん、久しぶり!…僕のこと、覚えてるか?」

「…」

「おばあちゃんの娘の〇〇の子で、小さい頃、ようさんおばあちゃんにお世話になってんねんで…」

「そうかあ」

「そうやで~、あの頃はな、ようさん怒られたわ。ゲームもしたり。ほら、おねしょばっかしてたやろ」

「そうやったかなあ」

「そうやで~…あの時も…」

 

必死で思い出して貰おうと頑張ってはみました。

…けど、やっぱり祖母はハッキリとは当時のことを思い出せないみたいでした。 それでも、たくさん話した。 これでもかってぐらい、何十年の月日を埋めるほど、しゃべった。

 

「…おばあちゃん、また来るわ。今日はありがとな」 おわりに、JAXが祖母の手を握り、その場から退出しようとした際、 「(JAXの名前を呼んで)、ありがとう…」 と、最後に祖母が言ってくれました。

 

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この記事はペンネームJAXによって書かれ、KEEPERS OF LIGHTに投稿されたものです。