神の御腕に抱かれた娘

ジャナという女性から連絡をもらったのは”Life Before Life” の執筆中のときでした。彼女は出産前に体験したとても核心的な経験について分かち合ってくれ、私の最初の本にぜひ掲載してほしいと、手紙を送ってくれたのでした。それから20年たったある日、興奮した様子のブリトニーという若い女性から電話をもらいました。彼女はなんと自分がジャナのお話に出てくる赤ん坊であると言うのです。彼女はつい最近母親からそのことを聞き、電話をかけてきてくれました。ブリトニーと私はすぐに親しくなり、母親であるジャナの物語を読んだ数日後にはラジオ番組の電話出演もこころよく引き受けてくれました。

ジャナの物語

私たちはみな折りに触れて、人生を根本から変えてしまうような決断に迫られるときがあります。それらの変化が良いものなのか悪いものなのか、自分ではよく分からないことも度々あるでしょう。

私が夫のマークと二階建ての家を購入したのは、結婚して6ヶ月がたった頃でした。わたしは心をおどらせながら、その家を私たちの家庭へと変えていきました。その家に住むのはほんの数ヶ月で、その後は新しい家で小さな家族をスタートさせることが当初の予定でした。しかしどうも、神様は他の計画を用意されていたようなのです。

ある日わたしは、自分が妊娠しているかもしれないという思いに駆られました。数週間待ってみましたが、不安はつのるばかり。最悪の事態のように思えました。まだ妊娠するわけにはいかなかったのです。経済的にでも感情的にでもなく、なぜなら単に、準備ができていなかったから。その夜わたしは祈りの中で、この妊娠はきっと間違いで、今は子供は欲しくないということを神様に告げました。

その同じ夜のことでした。命に対する見方を180度変えるような夢を見たのは。わたしは夢の中で白い服に身を包んでいました。どこからか聞こえるささやき声と話していると、とても綺麗な女の子を見かけました。彼女も白いドレスを着ていて、茶色い長い髪にとても大きな白いリボンが特徴的でした。わたしはその「声」に向かって尋ねました。

『あの女の子はだれ?』

その「声」は答えて言いました、

『彼女は霊の子供で、地球に行く順番を待っているんだよ』

わたしはまた尋ねました、

『地球に行くのなら、もっと嬉しそうな顔をするはずじゃない?どうして彼女、あんなに悲しそうなのかしら。』

「声」はまた答えて言いました、

『君があの子が来るのをとても悲しそうにしているのを見て、彼女はそのことを気にしているんだ。』

その次の日の朝、わたしはまだ見ぬわが子を傷つけていたことを知りました。夢の影響はとても大きく、神様に許しを請いながら、わたしが彼女を望んでいること、生まれてくるのを待ちわびていることを娘に伝えてくださるようにと祈りました。

それから数日後、実は妊娠をしていなかったことが分かり、日が経つにつれ落ち込んでいきました。赤ちゃんをがっかりさせてしまったと感じていたのです。

数週間が過ぎ、大学で歴史の授業を受けていると、右側の足が麻痺していることに気がつきました。わたしは心配になり、すぐさま救急病院へと向かいました。しかし医者からは、すでに知っていることしか教えてもらえませんでした。つまり、右足の感覚がなくなったり戻ったりを繰り返すということだけ。

その週のうちに紹介してもらった神経科へと足を運び、いくつかの検査の後、病名が多発性硬化症(略称: MS)だということが判明しました。とてもショックでした。それと同時に、妊娠をしていることも告げられたのです。

突然世界が崩れ去っていくような感覚に陥りました。それでもまだ希望はありました。その当時の担当医は、わたしが危険な状態ではないことを確信していたからです。

時間が経つにつれ、状態はどんどん悪化していきました。ほどなくして、杖の力を借りても歩くことがままならなくなりました。担当医からは、脊髄に腫瘍がある可能性があることを伝えられ、それはすぐにでも手術を要することを意味していました。腫瘍があった場合、妊娠をのりきることは難しいだろうという懸念もありました。

人生において一番難しい決断を強いられていました。担当医は、私にとってベストの選択をするべきだと、つまり子供をあきらめることを勧めていました。異常が無いと分かってから、また子供を望むことが一番良いかもしれないということは、私も重々承知していました。でも、この大きすぎる決断の前に打ちのめされていました。家族や友達に助言を求め、相談した人の多くは医師の勧告に従うべきだと、その他の人々はわたしを尊重し、自分自身で決断するようにと励ましてくれました。

私はお腹の子を諦めないことに決めました。

腫瘍の検査を受けるにあたって、お腹の子の命は保障できないということで承諾書に署名せざるを得ず、彼女が守られるようにと全身全霊で祈りました。そして彼女は守られたのです。検査の結果が出て、脊髄に腫瘍はなく、多発性硬化症であることが分かりました。

そして私のあらゆる心配とは裏腹に、ブリトニーは健康上の何の問題もなく、3061グラムで健康そのものに生まれてきてくれました。

神様は、目の前の苦難に立ち向かっていく強さが私に必要なことをご存知だったのです。神様がそのふところに娘を抱き、いつもいつも、慰めを与えてくださったことを確かに知っています。

 

 

この記事はセラ・ハインツにより書かれ、LDSマグに投稿されたものです。