変化は人にとって難しいもの。その変化が大きかったり、自分が望んでいないことだったりすると、なおさらだ。先日、わたしは薬物を常習していた人たちのリカバリーの一貫で行われるグループセラピーセッションに、サポーターとして参加する機会があった。以下はそこで紹介された事例である。
変わる
例えば、麻薬常習者が薬物をやめるためには、すべての生活習慣を意図的に変えなきゃいけないと言われている。
ジャックはあるミーティングでリカバリーに成功して薬物を断ち切った先輩にアドバイスを求めた。
ジャック「僕はドラッグをやめたくて、今まで何度も自分でトライしたんだけど、いつも数日も続かないんだ。どうしたら変われるんだろう」
先輩「君は朝、靴を履くときにどっちの足から履く?」
ジャック「いや、僕が聞いてるのはドラッグをやめる方法だよ」
先輩「いいから、どっちの足から履くんだい?」
ジャック「……右からかな?」
先輩「じゃー、明日から左の靴から履いてごらん。そして、ここへ来るまでの道も違う道を通って来るんだ。聴く音楽とかも変えるといい」
薬物に限らず他の依存症や問題行動を変えたいと思うときに、問題ではない日々の生活習慣も意図的に変えることで、脳に新しい導線を作る練習をすることができる。ほとんどの問題行動は、それを引き起こす「きっかけ」があるからだ。「きっかけ」には孤独を感じる、拒絶される、暇でやることがない、など様々だが、その「きっかけ→問題行動」の導線を新たに「きっかけ→カウンセラーと話す」「きっかけ→散歩に出かける」など新しい健全な導線を引くのだ。それを可能にするには生活で問題と思っていない行動から、新しい導線を脳に引く練習をはじめる必要がある。
応用編
わたしの場合、問題行動は「娘をすぐ怒ってしまう」きっかけは「散らかしっぱなしの部屋を見る」では、ここで新しい導線を引くために、まず「新しい導線の案」を出してみた。
散らかしっぱなしの部屋を見る→
- わたしが1人で黙々と片付ける
- 娘の片付けてないおもちゃを「ママこれ、もらっちゃうね!」と言って集め出す
- おやつでつる
- ゴミ袋に入れる
- 娘におもちゃの場所を聞きながら一緒に片付ける
- 見なかった事にする、放置(笑)
リストにすると、その選択肢が最適かどうかは別として、「怒る」という選択肢以外にもたくさんあったことに気づいた。もっと時間を費やせば、もっとリストが長くなるだろう。その中で、娘もわたしもハッピーになれる最適な導線を(いくつか)選べばいいのだ。不思議なことに、これだけリストを準備すると、むしろその「きっかけ」が現れるのが待ち遠しくなる思いだ。笑。そして、「きっかけ」から新しい導線へと上手く行けるように、靴を反対の足から履くなど、日常の「当たり前」にバリエーションを加えて行ったらいいんだ。
“What’s one thing you have to change?” 「一つだけ変えなきゃいけないことはなんだい?」
“Everything.” 「『すべてのこと』だね」
人は日々変わる。周りの状況も変わる。どうせ変化に囲まれながら生きるんだったら、意図的に良い方に「変えたい」 明日はどんな導線にチャレンジしてみようかな?
この記事はもともとKeepers of Lightに投稿されたものです。