約束の地とは何でしょうか。

たくさんの約束の地があります。時の初めから、主は約束の地を義なる信者たちのために選ばれた地を保存して来られました。それらの中にはアダムとエバのためのエデンの園(創世記2:9)、エノスのための「約束の地」(モーセ6:17)、エノクとその民のためのシオン(モーセ7:19)があります。

約束の地は主が忠実に従う者たちに、自分たちが代々受け継ぐ土地として与えてくれるものです。「約束の地」について語る時、キリスト教界の人々の大半は、イスラエルの地について考えることでしょう。これらの土地はアブラハムや彼の子孫に与えられたものです。

アブラハムやその子孫に与えられた約束の地

Moses-mormon-224x300旧約聖書の創世記の中で、例えば次のように書いてあります。「時に主はアブラムに現れて言われた、『私はあなたの子孫にこの地を与えます。』アブラムは彼に現れた主のために、そこに祭壇を築いた。」(創世記12:7)アブラハムは単に感謝して、急いでそこから立ち去ったのではないことを注意しておく必要があります。彼は主と話し合い、時間をとって祭壇を築き、礼拝し、主の名前を呼び求めました。次の節が私たちに告げています。

「彼はそこからベテルの東の山に移って天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。そこに彼は主のために祭壇を築いて、主の名を呼んだ。」(創世記12:8

短く補足しておきますが、ベテルという言葉はヘブライ語では2つの言葉からできています。[以下の説明では、ヘブライ語を英語の綴りにして語っています。]“Beth”という部分は「家」を意味し、“el”の部分は神を表す言葉の語幹です。ですから、ベテルとは文字通り、「神の家」と訳されます。

アブラハムに与えられた「約束の地」についてのもう一つの言及が創世記17:8に見つかります。「わたしはあなたと後の子孫とにあなたの宿っているこの地、すなわちカナンの全地を永久の所有として与える。そしてわたしは彼らの神となるであろう。」

主は正しい人々を「約束の地」に導かれる

モルモン書や教義と聖約の中では、しばしば「約束の地」と言われるのは、アメリカ大陸ないしはシオン(新エルサレム)を指しています。イエス・キリスト教会の信仰箇条第10条には次のように述べられています。

「わたしたちは、イスラエルの文字どおりの集合と十部族の回復とを信じる。また、シオン(新エルサレム)がアメリカ大陸に築かれること、キリストが自ら地上を統治されること、そして地球は更新されて楽園の栄光を受けることを信じる。」

モルモン書の中では、預言者リーハイは特別な「約束の地」について語っています。「ほかのあらゆる地に勝ったえり抜きの地であって、主が神がわたしの子孫の受け継ぎの地としてわたしに聖約してくださった地である。」(2ニーファイ1:5

「義人を尊い地へ導き、また悪人を滅ぼして、彼らのために地をのろわれ」(1ニーファイ17:38)るのは主です。詩篇の作者は宣言しました。「地と、それに満ちるもの、世界と、そのなかに住む者とは主のものである。」(詩篇24:1)ですから、「約束の地」を引き継ぐ人々に対する条件は、「その地の神に仕える」ことを聖約しなければならないことです。

「約束の地」はなされた聖約に基づいて与えられる

主は正しい人に土地を与える約束をされますが、しかし主が永遠の聖約をするのはこの正しい人々とであって、約束の地に対してではありません。その人々にその約束の地が与えられるかどうかは、彼らが交わした聖約を彼らが成就するかどうかにかかっています。教義と聖約82:10に記録されている啓示は次のように教えています。「あなたがたがわたしの言うことを行なう時、主なるわたしはそれに対して義務を負う。しかし、あなたがたがわたしの言うことを行わないとき、あなたがたはなんの約束も受けない。」

モルモン書の民は、たとえばリーハイの家族とヤレド人は、神の戒めを守るという条件の下に、今アメリカ大陸と呼ばれる半球の「約束の地」を与えられました。1ニーファイ2:20でニーファイに対して主は次のように約束しました。

「あなたがたは、わたしの命令を守る限り栄えて、約束の地に導かれるであろう。まことにそこは、あなたがたのためにわたしが備えた地であって、それはまことに、ほかのあらゆる地に勝ったえり抜きの地である。」

古代の預言者の警告

預言者モロナイはこの地の将来の住民に対してこの警告を与えています。(エテル2:9−12

「さて、わたしたちは、約束の地であるこの地について神の定めを知ることができる。この地を所有する国民はどの国民も神に仕えなければならない。さもなければ、神の限りない怒りが彼らに下るときには彼らは一掃される。また、彼らの罪悪が熟したときに、神の限りない怒りが彼らに下るのである。見よ、まことにこの地が、他のあらゆる地に勝ったえり抜きの地だからである。したがって、この地を所有する者は神に仕えなければならない。さもなければ一掃される。これは神の永遠の定めである。しかし、この地の子らの中に罪悪が満ちるまで、彼らが一掃されることはない。おお、異邦人よ、この記録とあなたがたに伝えるのは、あなたがたに神の定めを知らせるためである。また、あなたがたが悔い改めて、罪悪の満ちるまであなたがたの罪悪を続けることのないように、またこれまで、この地に住む民が自分のうえに神の限りない怒りを招いてきたようなことを、あなたがたもすることのないようにさせるためである。見よ、この地はえり抜きの地であり、この地を所有する民はどの国民も、この地の神に仕えさえすれば、奴隷の状態にも囚われの身にもなることなく、天下のほかのどのような国民からも支配を受けない。この地の神とはイエス・キリストであり、わたしたちが書き記してきたことによって明らかにされた御方である。」

この勧告は神がいつの時代にでも、どの民に与えられるあらゆる地に対しても当てはまります。

30年の従軍経験を持った米国海軍の名誉復員軍人(それは祖国のために半生以上を従軍したことになり、そのことに後悔していません)として、私はなんの疑いもなくアメリカは本当に祝福された選ばれた地であることを知っていると大胆に証しすることができます。恵まれて世界中の多くの国々で働き、奉仕し、訪問したことにより、熱意を込めてアメリカ人として、世界のその他の多くの国々と比較して、私たちが与えられているものについて意識できなくなったときにあって、アメリカ人として、自分たちに与えられている地について絶対何も嘆きあるいは不平を漏らさなければならないことはないと主張することができます。私を深く悲しませることは、あまりにも多くのアメリカ人がこの偉大な地に神が与えておられる祝福を当たり前のものだと受けとめていることです。

預言者モロナイによって与えられた勧告と似たものが旧約聖書の歴代志下7:14にあります。

「わたしの名をもってとなえられるわたしの民が、もしへりくだり、祈って、わたしの顔を求め、その悪い道を離れるならば、わたしは天から聞いて、その罪をゆるし、その地をいやす。」

神は地を受け継ぐことを、神を愛し、神の戒めに従うすべての人に与えられます。私が謙遜に祈ることは、神の民である私たちが、絶えず信仰深く神に従順であるように、そして私たちも約束の地を手に入れることができ、その地がほかのどこよりも勝ったものであるところであることです。私たちの主であり救い主のイエス・キリストの御名によって、アーメン。

この記事はキース・L・ブラウンによって書かれました。彼は末日聖徒イエス・キリスト教会の改宗者で、バプテスト派の家族に生まれ育てられました。LDSの信仰に改宗した時、彼はバプテスト派の牧師になろうとして勉強していました。キースはアイスランドのレイクジャヴィックで1998年3月10日にバプテスマを受けました。そのとき、彼は合衆国の海軍の務めに従事していて、アイスランドのケフラヴィックに駐在していました。現在メリーランド・アナポリスワードの宣教師で、同時にメリーランド・アナポリスステークの広報委員をしています。30年勤務の経験がある海軍の名誉復員軍人です。