エルヴィスは『キング』という称号をうれしく思いませんでした。本人いわく「キングはひとりしかいない。」それはイエス・キリストのことを指していました。(Brother Paul’s Mormon Bathroom Reader, Paul B. Skousen, 2005)

エルヴィスとモルモン書

とても信心深く、霊的なことにまつわる本をよく読んでいたエルヴィスは、末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン書があるので誤ってモルモン教と呼ばれる)にも興味を示し、教会と多くの関わりを持っていました。事実、彼の死後、自宅からくたくたになったカバーに「(元妻)プリシラはこれを読む必要がある」と書かれたモルモン書が発見されたそうです。(Brother Paul’s Mormon Bathroom Reader, Paul B. Skousen, 2005)

エルヴィスは何冊かモルモン書をもらったことがあります。そのうち一冊は、英国女王を含む多くの著名人に神聖な聖典を贈ったことで知られるオリーブ・オズモンドからのものでした。そして他にも、クリケット・バトラーもエルヴィスにモルモン書を贈りました。若い教会員の女性で熱狂的なエルヴィスファンだったバトラーは、頻繁に、彼の滞在するホテルの外に待機しては、早朝から夜遅くまでアイドルと話す機会を待ち望みました。

ある夜バトラーの根気がついに結果をもたらし、エルヴィスは彼女と話をするために門の外へ出てきました。人生の目的についての会話の最中に、バトラーはエルヴィスにモルモン書を渡しました。

それらのうちの一冊である、何の変てつもない1976年版のモルモン書は、死後エルヴィスの部屋で発見され、様々な場所を経て、教会本部へたどり着きました。(“Elvis Almost LDS?” Lynn Arave)

 

エルヴィスのバプテスマ予定日?!

この長旅を経たモルモン書には、エルヴィスの手書きのメモが残されています。2007年の『キングの涙(“Tears of a King”)』というドキュメンタリー内のインタビューで、バトラーは、あの夜話したことをきっかけに彼女とエルヴィスはよき友人になり、グレースランドで行われたエルヴィスの宣教師とのレッスンにも同席したと言います。事実、バトラーは、エルヴィスのバプテスマ予定日を知っていたと主張します。(“Elvis Almost LDS?” Lynn Arave )昔、専任宣教師だったボビー・カウオは、実際にエルヴィスに宣教師のレッスンを教えたが、それはグレースランドではなかったと言っています。彼がエルヴィスにレッスンをしたのは、エルヴィスがポリネシア文化センターにて『ハワイアン・パラダイス(Paradise, Hawaiian Style)』を撮影していた時だったそうですが、カウオによるエルヴィスのバプテスマに関する発言は一切ありません。

エルヴィスのバプテスマ予定日が事実だったとしても、夢物語だったとしても、彼が教会の会員たちとの親しい関係を持っていたことは確かなようです。

エルヴィス、早朝セミナリーへ

エルヴィスの会員との良好な関係には、末日聖徒イエス・キリスト教会の会員である武術エキスパートのエド・パーカーが大きく関わっています。パーカーは、エルヴィスに自己防衛のトレーニングをしたのち、エルヴィスのボディガードとなりました。エルヴィスの信心深さを知ったパーカーは、エルヴィスに様々な教会関係の文献をプレゼントしました。そのうちのひとつは未だにグレースランドにあるエルヴィスの自宅に飾られています。コンサートへの行き帰りのリムジンで、エルヴィスはそれらの本を読んでは、パーカーに彼の信仰について質問しました。

ある夜、エルヴィスはパーカーに新車のキャデラックをプレゼントし、ボディガードとともにラスベガスからパセディナまで車で移動しました。エルヴィスとパーカーがカリフォルニアに到着したのは早朝で、パーカーは、エルヴィスに早朝セミナリーに出席している二人の娘に会わないかと誘いました。

エルヴィスはセミナリーの建物の外でパーカーの娘たちに会い、彼女たちを抱きしめました。そして、彼のリクエストに皆が驚きました。「セミナリーの参加者に話をしてもいいかな?」エルヴィスは、若く信仰深い聖徒たちが唯一の真の王、キングであるイエス・キリストについて学ぶために時間を取っていることを褒め、自身の救い主についての証をしました。

オリバー・オズモンドやパーカーなどの教会員がエルヴィスの信仰や彼の教会への理解を増すことに貢献した一方で、エルヴィスもパセディナ地域の若い会員たちに大きな影響をもたらしました。エルヴィスが証をした早朝セミナリーの日から何年もの間、セミナリーの出席率は100パーセントが続きました。生徒の間で、またエルヴィスが来るかもしれないという噂が流れていたのは言うまでもないでしょう。

 

この記事はもともとDanielle B. Wagnerによって書かれ、ldsliving.comに”The Day Elvis Presley Attended Early Morning Seminary” の題名で投稿されました。

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