AIの発達の目まぐるしさを肌身に感じている人も少なくないでしょう。実際に、調べものや、画像の生成、聞こえづらい音声通話の再現など、わたしたちの生活にAIが必要不可欠になりつつあります。
しかし、あなたはすべてをAIに頼っていませんか?AIはあなたの問題をすべて解決してくれるのでしょうか?
AIは神様ではない
AIは便利です。自分の欲しい答えや情報をパッと出してくれたり、十分に伝えていなくてもこちらの意向を汲み取って現実化してくれます。もはやAIが生活の中心になりつつあると感じますが、忘れてはならないのは、AIは神様にはなれないということです。

神によって想像された人間はAIを作り出すことができますが、AIは神を作り出すことはできません。
ゲレット・M・ゴング
そもそも、AIは人がつくり出したものです。これまでの人間がつくり出したものを元にして、過去の情報などを使い、欲しい情報をまとめたり画像や映像、文章などを生成してくれます。
ChatGPTに、AIは神様ではないことについてどう思うか聞いて、回答をまとめました。
- AIは人間の作ったプログラムやアルゴリズムの集まりであり、自分自身の意思や目的を持つわけではない
- 神様のように全知全能でも、創造者でもない
- AIは学習データに基づいて判断するが、善悪や道徳を自立的に理解することはできない
- 人間が与える価値観や指示の範囲でしか動けない
- 神様の啓示や導きは、人間の霊性や祈りを通じて受け取るものであり、AIには霊的理解や祈りに応える力はない
AI自身も自分は神様ではないという回答でしたが、AIが持つ能力やスピードから、人が神様と同じようにAIを信じ、AIに頼り過ぎるというリスクがあります。そのため、AIを使用する人間が適切な利用方法を知る必要があります。
AIの適切な利用とその限界
AIを適切に使用すれば、教育や翻訳、出版、介護などさまざまな分野でとても有益で便利なツールとなることができます。しかし、AIに依存し過ぎると、本来なら信仰によって行う努力や霊的な成長が損なわれる可能性もあるのです。
すべてをAIに頼ってしまうと、まるで手塚治虫の『火の鳥』のようになる可能性があります。その作品の中で政治家がAIに指示を求め、過去のデータから結局AIに戦争を促され、国が滅びるという描写がありますが、これと同じことが起きてしまうかもしれません。
ですから、AIは人間の知恵や能力を拡張するツールとして利用するべきで、個人の霊的な成長や信仰を行使する代わりにはなりません。
大量のデータを分析して、こちらが望んでいる結論を出すにはとっても便利です。
日本でも、最近は図書館の検索サービスでAIを活用するところが増えています。キーワードやあいまいな要望から、お目当ての本のタイトルを素早く見つけ出します。

しかし、AIは本の詳細や内容まで分からないので、本を探している人の表情や意図、感情を汲み取るなどの繊細な作業は、司書の専門性や経験が助けになることが多いそうです。(朝日新聞 9月11日)
AIはパターン認識や既存の情報の組み合わせは得意ですが、人間の直観や霊感、独自の想像力を完全に再現することは不可能と言われています。特に信仰や芸術、倫理的な判断の領域では、人間の経験と価値感が重要になってくるのです。
AIはわたしたちの個々の努力と霊的準備を置き換えることはできません。
参照:Deseret News
AIの使用:信仰に基づく指針
AIを利用する場合、倫理的な原則と信仰に基づいた判断が求められます。
ゲレット・W・ゴング長老は、教会職員や教会員たちがAIを正しく使用することができるように話した中で、箴言2章2節を引用しました。
あなたの耳を知恵に傾け、あなたの心を悟りに向け〔る〕。
また、このようにも言っています。
AIは個人の努力やレッスンを準備する時のような霊的な備え、祈り、また祝福の代わりになることはできません。
この言葉の例となるような経験を1つ紹介します。
ある教会員が、AIを使って新しい仕事のプログラムを学ぼうとしました。そのプログラムをクライアントに紹介する必要がありました。しかし、作業がうまくいかずAIに限界を感じたので、神様の知恵(Divine Intelligence)を求めて祈ることにしました。

するとその日の夜の夢で、うまくいかなかった作業を進める方法を見たそうです。翌日、夢で見た作業を試したら、無事に作業を進めることができ、クライアントにも満足してもらえました。
知恵と理解は神様の特質です。そして、神様はそれを心から求める人に分かち合ってくれます。
わたしたちはAIに頼らず、自分で考え、祈り、学び、経験して、神様から個人的な啓示を受ける事ができます。そしてそれは、神様の子供であるわたしたちの特別な権利です。そのような貴重で重要な機会をAIに頼ってしまうことは、とてももったいないと感じます。
啓示を受けるという特権は、神が御自分の子供たちにお与えになる最も偉大な賜物の一つです。
ラッセル・M・ネルソン
教会はAIを使用する原則を定めて、透明性、責任、プライバシーの保護などを重視しています。
霊的なつながり
教会は、神とその子供たちとのつながりを置き換えるのではなく、それを支えるために人工知能を活用します。
教会は、正直さ、誠実さ、倫理、価値観、そして教会の基準を守りつつ、前向きで有益で高められる方法で人工知能を活用します。
透明性
教会と関わる人々は、人工知能とやり取りしているときにそれを理解できるようにします。
コンテンツの真正性、正確性、または著者が誤解される可能性がある場合、教会は人工知能によって生成されたコンテンツに帰属表示を行います。
プライバシーとセキュリティ
教会による人工知能の利用は、神聖で個人的な情報を守ります。
責任
教会は、人工知能を教会の方針およびすべての適用法令に従った方法で使用します。
教会は、正確性、真実性、法令遵守を確保するため、人工知能の出力を定期的にテストし、レビューすることで、その利用を慎重かつ計画的に行います。
参照:教会ニュースルーム
これはもともと教会職員のための指針ですが、教会員としてまた正しい選択をしたい人にとっても助けになることでしょう。
忘れてはならないのは、AIは神様とのつながりを支援するものであって、神様に置き換えられるものではないということです。
AIと信仰のバランス
ここで強調したいのが、AIはあくまでも道具である、ということです。神様との関係や個人の霊的な成長を妨げるものではありません。しかし、AIが出したものがあなたが直面するすべての問題を解決する答えではないということを、認識しておく必要があります。
信仰と倫理に基づいたAIの利用が、真の知恵と理解をもたらします。
AIを正しく適切に使用すれば、それが日常生活の多くの面に祝福をもたらす便利なツールであると理解できるようになります。
もう一つ覚えていてほしいのが、全知全能の神様からの啓示や神聖な警告は、AIではなく聖霊によってもたらされるということです。

聖霊と交わる機会は、聖典勉強、毎日の祈り、毎週の聖餐会への出席、教会での召しや時と場所を問わない御心に沿った奉仕などを行うことで、備えられます。
そしてその機会を経験することで、わたしたちの霊性は高められ、信仰が強くなり、イエス・キリストの贖いへの理解を深め、より聖く、よりふさわしい存在になれるように助けてくれるのです。これは、わたしたちが成長し神様の元に帰る備えをする方法で、AIが発明される前からあったツールや知恵です。
まとめ
AIは人間の努力と能力の結果生まれた発明品です。AIのように、わたしたちを助け生活を向上する物は多くあります。人が生み出したものは神様の代わりになることはありませんが、信仰と倫理に基づいて正しく使用すれば、神様の業を助ける道具になるでしょう。
どうぞ、便利なものを賢く正しく利用してください。人間の奮闘と進歩によって生まれた技術が、より御霊にあふれた生活を送る助けとなりますように、皆さんに真の知恵と理解がもたらされるように願っています。