彼は20年以上、会衆たちに聖書から説教をした長老教会の聖職者でした。
そして彼が聖職者である間、6人の息子のうち5人を末日聖徒イエス・キリスト教会の宣教師として伝道に送り出したのです。
故ファアタリマウア・「モアピ」・ウエレセは有言実行の人として記憶にとどめられている人です。
ファアタリマウア・「モアピ」・ウエレセしかし物静かな態度とは裏腹に彼の生涯は特別なものでした。
モアピの長老教会の説教者としての人生
サモアのファシト・ウタに生まれたモアピは1990年代に長老教会の一般人の説教者に召されました。彼は聖職者としての資格を得、自分の愛する信仰の牧師としての務めを果たし、聖書から多くの説教をしていました。
彼は聖書を知り尽くし、その教えに従って生活しました。孫娘のシャケイラは次のように述べています。
「祖父はとても無口でしたが、口を開くときには常に神の承認がありました。毎週日曜には教会に行き、多くの説教をしました。」
ニュージーランドに引っ越した後、子供のロイ、ヴィニー、デイブ、モアピ・ジュニア、シャオシ、マレータはモルモンに改宗しました。6人のうち5人が伝道に出ました。
妻のマ・イタリア・ウエレセは、末日聖徒イエス・キリスト教会に子供が入るのを許したのはその教会が「良い」からだと述べました。
「教会の会員はタバコもお酒もたしなまないので、わたしたちは教会のその標準を好ましく思い、子供たちの生活が変わったのを見たのです」と言います。
マオピの息子たちは伝道に出た後、教会の中でビショップ、ステーク会長、高等評議員などの指導的な立場で奉仕をしました。
しかし長老教会の聖職者であったモアピは長老派の熱烈な信仰を持ち、モルモンに改宗することは拒みました。
「祖父は末日聖徒の教会に対してあらゆる面で反対したわけではありません」とシャケイラは言います。
「でもとっても頑固でした。家族がおじいちゃんやおばあちゃんにバプテスマを受けるように頼んでも答えはいつも『天国への道は知っているよ』でした。わたしたち孫はいつもそれを聞いて笑っていました。なぜなら祖父はほんとうに強情だったからです。でも時がたつにつれて心も和らいできました。」
モアピの心の変化
78歳になると、モアピと妻は末日聖徒の礼拝堂で開かれた聖餐会に初めて出席しました。それは息子のモアピ・ジュニアが亡くなる数週間前のことでした。
「祖父たちは後ろの席に座って、祖父はサングラスをかけていました。そのあと、祖父たちは父に死ぬ前に何か祖父たちにしてほしい事はないか尋ねました。父は祖父たちにバプテスマを受けてほしいと頼むのではないかと思いました。なぜならこれは家族の一番の願いだったからです。しかし父はそうせず、祖父たちに対する愛を伝え、それから彼らは礼拝堂をあとにしたのです。」
告別式に先立ってモアピは何日も眠れぬ夜を過ごしました。息子が「お父さん大好きだよ」と言う夢を何度も見ました。
それに圧倒され、心配になったのです、とマレータ姉妹は言います。
ヘイスティングスでの息子の葬儀では、モアピは「落ち着かない」ものを感じ、終わるとすぐにその場を立ち去りました。
その晩、彼はオークランドで子供たちに会い、こう言ったのです。「お母さんとわたしはバプテスマを受けるよ。」
「わたしたちは皆、立ち止まり、正直驚きを隠せませんでした」とシャケイラは言います。
「祖父が自分の教会をやめて、わたしたちの教会に入る日を見ることになろうとは考えてもみませんでした。」
葬儀から一月後の2012年11月にモアピと妻のマ・イタリア・ウエレセはバプテスマの水をくぐりました。モアピは78歳で妻は72歳でした。
翌日、モアピは自分の教会の信者たちに自分がモルモンの教会に入ったということを知らせました。
「信者たちは驚いて、悲しみました。なぜなら父のことを慕っていたからです。父が主に信者全員の世話をしていたからです。でも皆分かってくれました。子供たちが皆モルモンであることを知っていたからです」と娘のマレータは言います。
バプテスマの祝福
そしてその日以降にやって来た祝福は大きなものです、とシャケイラは言いました。
「祖父たちの家に行くときはいつも御霊が家にあることを感じました」と彼女は述べています。
「わたしが祖父の家に入ったときに祖父がモルモン書をサモア語で読んでいるのを見ると、わたしの証が強められました。おじいちゃんはモルモン書から感じたことを話してくれ、祖父がモルモン書の証を持っているのが分かりました。」
「また、祖父がバプテスマを受けるときに、福音の教えに反するサモアの伝統を捨てました。自分の葬儀ではサモアの伝統的なものをして欲しいとは望みませんでした。祖父は自分の文化よりも福音を第一にし、これは祖父にとっても家族にとっても大きなことでした。」
モアピは11人の子供の長男であり、子供たちは皆モルモンのバプテスマを受けています。彼らは後に神殿で家族として永遠に暮らすための結び固めを受けました。
モアピは2018年2月11日に親しい友人や家族に看取られ、亡くなりました。
シャケイラは祖父が「信仰に満ち溢れ、神を恐れる者」として記憶にとどめてもらえたらと思っています。
「祖父は常に神と救い主を信頼し、従うためには犠牲を払うことをいとわないという遺産を残してくれました。
おじいちゃんが亡くなるとき、自分がどこに行くのか分かっていました。祖父は逝くことを幸せに感じていました。福音は、自分が死んだら神や愛する者たちのところへ行くという平安と安心を祖父にもたらしたのです。
絶対に希望を捨てないでください―奇跡は起こります。」
この記事は元々はShilo Kinoによって書かれ、pacific.lds.orgに投稿されました。