教会歴史を学んでいると、特に初期の扶助協会や女性たちの活躍を知ったときに、こんな疑問が出やすいですよね。

初期の女性は神権を持っていたの?

扶助協会の姉妹が『聖任された』って記録にあるけど、今でいう神権の聖任のこと?

結論から言うと、女性がアロン神権やメルキゼデク神権の職に聖任された、という意味ではありません。しかし、女性は初期から今まで、主の業にとても重要な形で関わってきたことは事実です。

このテーマは、まず「概念の整理」と「当時の言葉づかい」を押さえると、かなり分かりやすくなります。

回復は少しずつ明らかにされた

教会では、扶助協会の組織や、神殿・神権に関する教えなど、福音や教会の仕組みが「少しずつ(line upon line)」明らかにされてきた、という見方をします。

ここで大事なのは、「神権そのものが曖昧だった」というより、回復が進む中で、理解・運用・用語がより明確にされていったのです。

初期の扶助協会の姉妹たちは、導きを求めながら教会の発展を助け、お互いに高め合っていった
画像:末日聖徒イエス・キリスト教会

女性への霊的な期待は最初から高かった

1842年、ノーブーで扶助協会が組織されました。ジョセフ・スミスは女性たちに対して、深い霊的な言葉で励まし、主の業における大切な役割を教えました。

「神聖な聖約を交わし,それを守る女性、神の力と権能をもって語ることのできる女性がいなければ、神の王国は完全ではありませんし、そうなれないのです。」

「愛する姉妹の皆さん、皆さんの召しが何であれ、皆さんの置かれた環境がどうであれ、わたしたちには皆さんの考えや、洞察,霊感が必要です。」

「….わたしは末日聖徒イエス・キリスト教会の姉妹の皆さんに懇願します。前に踏み出してください!これまで以上に、家庭、地域社会、神の王国において皆さんの本来果たすべき役割を果たしてください。」            

ラッセル・M・ネルソン

ただし、そこで語られる表現を、「女性が神権の職に聖任された」という意味に直結させるのは正確ではない、というのが教会の公式説明の方向性です。

「聖任」は今より広い意味だった

初期の記録には、扶助協会会長会が「聖任」された、という表現が出てきます。ここが混乱ポイントとなりがちです。

現在の教会では、次のように区別して理解します。

  • 神権の“職”への聖任(ordination)⇒ 神権職(執事・教師・祭司・長老…など)に任じること
  • 召し・任命(set apart)⇒ ある責任(召し)を果たすために任命すること

そして公式資料は、19世紀には 「聖任(ordain が今より広く用いられ、実質的には「任命(set apart)」に近い使われ方をすることがあったと説明しています。
つまり、記録に ordain とあっても、それだけで「神権職に聖任された」とは言いません。

教義としての整理

教義として、神権は神様の御名によって行うための力と権能であり、教会では神権の授与と神権職への聖任は男性に行われます。

その一方で、教会の公式な整理としてとても大切なのがこれです:

神権の鍵を持つ指導者のもとで召しを受けて奉仕するとき、女性も含めて、その召しに必要な委任された権能で働きます。

つまり、女性は神権の職に聖任されないが、委任された権能で奉仕することになります。扶助協会・若い女性・初等協会などで姉妹たちが会長として導くのも、この枠組みで理解されます。

神権の職には聖任されないが、女性は委任された権能で神殿の業の奉仕をしている
画像:末日聖徒イエス・キリスト教会

神殿での女性の奉仕

神殿での儀式には神権が必要不可欠です。そして、女性の会員がその儀式に携われるように、女性も儀式の奉仕をします。つまり、女性は神権の鍵の元で神聖な儀式に携わることとなります。しかし、これが神権を持つという意味ではないことを覚えていてください。

神殿は、この委任された権能という考え方が分かりやすく見える場所の一つです。

教会は公式に、女性が神殿で儀式に携わるのは、神権の鍵を持つ神殿会長の承認・権限のもとで行うと教えています。これは、女性が神権の職を持つという意味ではありません。
参考:オークス長老(2020年4月)

※ 神殿の儀式の「内容そのもの」の詳しい説明は、神聖さのためここでは扱いません。

初期の癒し:女性も癒しを行った歴史

初期の教会では、男女ともに霊的な賜物が豊かに現れ、信仰による癒しが行われた記録があります。女性が信仰をもって癒しのために行動した歴史も、教会の資料で扱われています。

その後、教会は啓示と秩序の中で、癒しの祝福は神権により執行される形を標準化していきました。これは「女性の信仰が足りなかったから」ではなく、教会の秩序として整えられていった、という理解が適切です。
参考:教会歴史のテーマ「癒し」

女性は委任された権能とそれぞれの個性と導きで御業をこの地上に推し進める事ができる
画像:末日聖徒イエス・キリスト教会

まとめ

上述したように、女性は神権の職に聖任されません。だからと言って女性に価値がないという意味では決してありません。むしろ、召しを通して委任された権能で、主の業に欠かせない奉仕をします。初期の記録にある言葉や表現は、今と同じ意味で理解しない方が正確に認識できます。しかし、初期の教会も現代も、女性の役割はとても大きく、一人一人の救いに必要不可欠だということは確かです。

参考:

福音トピックスの論文 『神権,神殿および女性についてのジョセフ・スミスの教え』

『総合手引き』「3. 神権の原則」

『総合手引き』「4.イエス・キリストの教会におけるリーダーシップと評議会」