家はホッとできる落ち着いた場所にしたいと思っている人は多いでしょう。しかし、家にいると・家にいるのにイライラしてしまう、そんな経験はありませんか?そのイライラが募って、本当はそんなことをしたくないのに、家族や同居人につい当たってしまったり、喧嘩が増えたり。家でリラックスできるようにするための対処法をご紹介します。


自分がイライラしてることに気付く

まずはイライラに気付きましょう。「あれ?わたし、こんなに子供に怒ってるけど、どうしたんだろう。」とか、「朝は気分が良かったのに、お昼過ぎてからイライラしてきた」とか、自分がイライラしていることに気が付くことが第一歩です。もし家族から「そんなにイライラしないで」と言われたら、イライラしている自分に気付くチャンスでしょう。


どうしてイライラしているのかを分析する

次に、自分が感じているイライラの原因を見つけます。多くの人のイライラの原因になっているのは、次のことが多いのではないでしょうか?

  • 時間ややるべきことに追われている 
  • 余裕がない
  • 静にしてほしいのに一緒にいる家族(同居人)が静にしてくれない
  • 一人の時間がない
  • リラックスできない
  • 寝不足
  • 空腹
  • 疲労
  • やることがない
  • 家が汚い(散らかっている)
  • 物が多い
  • お金がない
  • ホルモンバランス
  • 友達と遊べない
  • 喧嘩した
  • ご近所トラブル

ほかにもイライラの原因はあると思いますが、自分でそれを見つけることがイライラを落ち着かせる第一歩となります。


生活習慣を見直す

自分のイライラの原因が体調の変化に関わることなら、食事や睡眠などで整えることができます。寝不足なら早く寝るようにします。栄養不足やホルモンバランスが原因なら、食べ物に気を付けたりサプリメントを取ります。ストレッチやヨガ、ジョギングなど運動もイライラを解消させてくれる助けになります。体の調子を整えることで、心にゆとりが生まれます。


自分のイライラを客観的に見る

イライラを分析したら、その原因を客観的に観察してみます。イライラ日記はその方法の1つです。どんな出来事あり、その時自分がどう思ったかをノートや紙に書きます。可能なら、その時のイライラを1~10の数字や絵などで表してもいいでしょう。

状況や感情を書き出すことで、自分のイライラを客観視し、自分のイライラのパターンなどを見つけることができるようになります。突然イライラしたり怒りが湧き上がってきた時は、分析も客観視も難しいでしょうから、とりあえずその現場から離れるといいでしょう。トイレへ逃げる、別の部屋へ行く、など近い距離でもその場から離れることで、自分の心を落ち着かせることができるようになります。


考え方を変えてみる

茶色のストライプの床に落ちた靴下

イライラする相手について、相手の立場になって考えてみることも助けになります。例えば、夫が靴下を裏返したままで洗濯機へ投げ入れてあったとします。でも、夫は洗濯しやすいように洗濯機へ入れてくれただけかもしれません。なぜ妻が靴下を裏返しのままでは嫌なのか、分かってないだけかもしれません。もしくは、洗濯機の中でほかの洗濯物に揉まれて裏返ったのかもしれません。

夫が靴下を脱いだ時、裏がっていなければ伝えるチャンス!!と考えることができます。洗濯中に裏返らないように、靴下のつま先をピンと引っ張って形を整えてから洗濯かごへ入れるようにも伝えられます。イライラをポジティブな出来事になるように自分の考え方を変えるだけで、ストレスが一気に減ることが期待できます。


イエス様の立場になって考えてみる

もしイライラの原因に対して考え方を変えることが難しければ、イエス様ならどうするか、と考えてみましょう。例えば、夫の靴下が裏返ったままの件。

これ、イエス様の立場から見て、重要な罪でしょうか?救いに関わるでしょうか?きっとそれはどうでもいいことですよね。だったら、またかとは思ってもそこはおおらかに考えて、目をつむってもいい事なのかもしれません。イライラの原因が重要なことなのかどうか、客観視する助けにもなることでしょう。


あえてイライラする相手のために何かをする

伴侶と一緒にいるとイライラする、子供の相手ばかりで疲れる、という感情を持ってしまうことはあるでしょう。そのままでいると、家にいることが苦痛になります。そんな時は、あえてそのイライラする相手のために、何かをしようと決意をします。

靴を磨いてあげたり、良い眠りにつけるように寝具を洗ってあげたり、子供が満足するまで一緒に遊んであげたり、相手が喜ぶことのみ考えて、何かをしてみるのはどうでしょう。サプライズを計画してもいいかもしれません。自然とイライラが収まるのではないでしょうか。

ヒーバー・J・グラントは「人生の幸福を得る真の鍵は、他人の幸福のために働くことです」と、言われています。イライラが解消し、家族が喜び、自分も幸せな気持ちになれるので、試す価値ありです。


家族(同居人)に協力してもらう

芝生にゴロンと並ぶ家族

イライラの原因を自分だけでは解決できないと感じた場合、家族や同居人に協力してもらいたいことを、言葉に気を付けながら伝えます。同じ内容でもどのような言葉使いで伝えるかによって、その後の結果に雲泥の差が生じることもあります。(参照:人間関係を壊れさせる4つのコミュニケーションパターン

ですから、お互いがお互いの話を冷静に聞ける環境で話すことをおススメします。家族会議をしてもいいでしょう。もし、家族に協力してほしいことが家事なら、分担できる家事を振り分けます。家事は料理・洗濯・ゴミ捨て・靴並べなど、さまざまです。家族のメンバーができる家事を分担することがポイントです。


また、集中して何か作業しなければならないことがあったり、一人の時間が欲しいなら、スケジュール調整をして、それを実現できるようにします。家族が作業している時間は、本を読んだりDVDを観たり、静かにする方法を探します。DVDなどを観る場合は、DVDを観ている人かほかの作業をしている人、どちらかがイヤホンなどを使用するといいでしょう。


自分や家族がイライラした時の心の対処法を家族(同居人)と話し合っておく

イライラした時にどうするか、と考えるのではなく、イライラする前にイライラの対処法を家族で話し合っておくといいでしょう。イライラしたり怒った時に、自分の体の変化を経験しているかもしれません。そのことをリラックスしてる時に考えて知っておくことで、次に同じ変化が体に起きた場合、落ち着く必要がある時だと気付くことができます。

イライラした時に出てくる具体的な体の変化の例として、鼓動が早くなり、体がこわばる(力が入る)、顔や胸が熱くなる、歯を食いしばる、などがあります。

また、イライラや怒りが落ち着いた後、どうしてそのような感情になったかを考えてみましょう。これは自分の感情を客観視する助けとなります。不安なのか恐れなのか困惑なのか傷ついたからなのか、さまざまな理由があるでしょう。必要なら一緒に考えてもいいと思います。


耐えることも必要になることもある

イライラしてハンカチをかむ男性

心許せる家族だからこそ、イライラしたとしても忍耐が必要になることもあります。

スケジュール調整をしたり、対処法などを考えても、相手は何でもできるパーフェクトな人間ではありません。せっかく話し合って決めたのに、早速その決まりを忘れられてしまうかもしれません。

しかし、自分も完璧でないから、と相手の欠点を受け入れる努力をすることで苛立ちから解放されることもあります。それでも、ひたすら忍耐することはとても辛いです。そんな時は、自分の知っている人の中の忍耐強いと思える人をお手本にしてみてはどうでしょう。もし、思い浮かべることがなければ、キリストをお手本にするのが一番いいかもしれません。

「これらは大変な努力を必要とすることかもしれませんが、価値ある目標を達成するのに苦労は避けて通れません。生まれながらの人を克服し、もっとキリストのように忍耐強くなることは、この上なく適切な目標です。わたしたちが勤勉にそして熱心にこの道を歩めるよう祈ります」(ロバート・C・オークス「忍耐の力」2006年10月総大会) 

試練の中で、自分の忍耐が強められるよう、主に祈り求めましょう!


家族のルーティンを作る

何をしていいか分からなかったり、ダラダラ過ごしていることでイライラすることもあります。そんな時は家族の中のルーティンを作ります。朝起きたら散歩に行く、勉強をしたらビデオゲームをする、わたしが朝ごはんを作ってあなたは昼ご飯を作る、寝る前はみんなでリビングを片付ける、など、その家庭にとってやりやすく、必要なルーティンを1つ作ることから始めることがいいかと思います。

ただ、厳格にする必要はありません。厳しい決まりごとは負担にしかなりません。片付け方が不十分とか作ったご飯がイマイチ、というような評価はルーティンを確立させません。しかし、とりあえず決めたからやる、という一貫性は大切です。


一緒にいることを楽しむ

自分のやるべきことやイライラしていることを少しの間だけでも忘れて、一緒にいることを楽しむことで解決されることもあります。どんなことが一緒にできるでしょうか?

  • ゲームなどで一緒に遊ぶ
    (ビデオゲームだけでなく、ボードゲームやジェンガ、カードゲームなどオーソドックスなゲームは絆を深める効果があります。普段子供だけでやっている遊びを親が一緒にすることも効果的です)
  • 一緒に笑う
    (面白動画やお笑いなどを観たり、変顔、おかしい話をシェアしたりズームで笑いヨガに参加することもできます。)
  • 映画を見て感想をシェアする
  • 普段なら絶対しないであろうことにチャレンジする(家の中にテントを張ってキャンプするなど)
  • 何かを一緒に学ぶ(言語・料理・片付け方・子供やパートナーが好きなこと)
  • 出会ったころ、一緒に住み始めたころのワクワクや嬉しさを思い出す
  • ご褒美タイムを作る
    (頑張った子供にはビデオゲームがいつもよりちょっと長くできる、頑張った大人にはちょっと高いスイーツやお肉、など)


どうしても一緒にいることが辛くなったら

パソコンの前にあるカップ

いろいろ試したけど、どうしても一緒にいるのが辛いということになったら、家族がいる中でも一人になる方法を見つけます。例として、以下のことを提案します。

  • 少しの間イヤホンをつけながら好きな音楽やドラマなどを見て、一人の世界に入る
  • ガーデニングや家庭菜園など植物に触れる
  • ペットなどの動物と過ごす
  • 一人でゆっくりとお風呂に入る
  • 少しの間だけほかの部屋へ行く
  • 散歩などをして外の空気や太陽の光に触れる
  • 近場へドライブする
  • 寝る
  • マインドフルネスをしてみる(アプリなど活用)
  • 一人で好きなご飯を作って一人で食べる
  • 友だちや家族、ミニスタリングシスターやブラザー、セラピスト、自治体などの心の相談窓口などに「苦しい!助けて!」と悩みやSOSを聞いてもらう。(すぐに会えない状況でもLINEやZOOMなどオンラインを活用する。相談じゃなくても話すだけでもリラックスできるので、試してみる価値があるでしょう。)

尊敬し合う

家の中で、お互いを尊敬することは必要です。しかし、尊敬される人の存在は、男女関係なく、大人も子供もみんな平等です。家庭の中の誰か一人が王様のように威張っていると、家にいることが苦痛となるでしょう。尊敬されることと威張ることは違います

ですから、家族のみんながお互いを敬い、それぞれができることをみんなで一緒にするということは、家庭が安らぎのある場所にする1つの方法です。家事も育児もできる限り一緒にする、みんな欠点がある、ということを頭の隅に置いているだけで、イライラは消えて、家がリラックスできる場所になるでしょう。

いかなる成功も家庭の失敗を償うことはできない」(デビット・O・マッケイ)という言葉があります。皆さんの家が、ギスギスしたものではなく、癒しの空間になるために、ちょっと努力して大切な人と一緒にいる時間をかけがえのないものとすることができますように。

 

そのほかの参照元

Ask a Latter-day Saint Therapist: How Can I Keep My Family Sane Under COVID-19 Quarantine?