現在、不登校の小・中学生は14万人を超えています。

2018年文科省が2018年に発表した調査によると、全児童生徒数に占める不登校の児童生徒数割合は、この20年間で1.5倍に増加したと報告されています。少子化により児童・生徒数は減少しているのに対し、不登校を経験する生徒の割合は年々増えています。


・理由

不登校の理由は色々あります。いじめなどの人間関係、勉強についていけないなどの学業不振、家庭環境の変化、親子の関係、対人恐怖症や緊張症、うつ病、ただ単に学校に行きたくない、学校が合わない、など理由は様々です。理由がひとつ、という場合もあれば、複数の要因が組み合わさって不登校につながる場合もあります。不登校を解決することができずに、引きこもりになってしまうケースも少なくありません。

また、最近は学校に行けなくなったのではなく、学校に通うことが自分に合わないという理由から「ホームスクール」を選ぶという人も増えています。


・不登校の児童・生徒サポート

不登校の児童・生徒をサポートする機関や、情報を提供しているウェブサイトはたくさんあります。いくつかをピックアップしてみました。

不登校サポートナビ
こちらのサイトでは、教育機関を探すこと、不登校について知ること、みんなの体験談、不登校に関する最新ニュースなど、色々な情報を得ることができます。ウェブサイトも見やすく、おすすめです。料金は無料です。

メンタルヘルスサイト
厚生労働省が運営するサイトで、特に若者を対象としています。ここでも地域に設置されている相談所の情報を得ることができます。


・自分の体験

わたしは4人兄弟の3番目です。実は、わたしたち4人中、3人が不登校を経験し、わたしもその1人です。小学校2年生のころと、中学校1年生のころに2度経験しました。一度目は、なぜ学校に行けなくなったのか、今まであまり考えたことはありませんでしが、とにかく不安で仕方なかったのを覚えています。学校に行くことが億くうになり、保健室登校や午後からの登校、学校に行っても公衆電話から母に迎えに来てくれと、電話をするようになりました。不安だったこと意外は何がきっかけだったのか、今もはっきりしませんが、恐らく母が交通事故で大きなケガを負ったばかりで、情緒不安定だったのではないかと思います。しばらく家で母と過ごした後、学校に行けるようになりました。

二度目の不登校は、年齢のせいか簡単には解決できませんでした。6年生に進級する時に、生徒が少ない田舎の学校から、4クラスある少し大きな学校に転校しました。すぐになじめたと思っていましたが、実は色々なことを我慢していたのだと思います。ある日、友達がわたしの前の席に座ったと思ったら、きゃー!と大きな声を上げました。はっとして見てみると、床に大量の髪の毛が落ちていたのです。無意識のうちに髪の毛を抜くようになっていて、気が付いたら頭のあちらこちらに10円玉はげが出現していて、手遅れの状態でした…。ふさふさだったまつ毛を失ったのもこの時です。(10円はげは治りましたが、ふさふさまつ毛…これだけは今でも後悔しています)

違った環境で、必死になじもうと頑張ったものの、友達関係や年齢的にも色々と変化する時期ということもあり、その我慢がついに爆発し、夏休み以降、学校に行けなくなりました。担任の先生や友達が代わりばんこに訪ねてきてくれましたが、自分の部屋に閉じこもり、みんなの姿が見えなくなるのを確認するまでは部屋から出られませんでした。初めは困っていた母も、姉の不登校の経験からか、何も言わずに待ってくれました。父は、「学校なんて行きたくなければ行かなくてもいいよ。行きたくなるまで家で好きなことをすれば良いよ」そう言ってくれました。

その日から、わたしは自分の好きなことや興味のあることに専念しました。鉢と花を大量に買ってきて家の外を花だらけにしたり、不器用な手で縫物をしてみたり、ハリーポッターの本を徹夜で読んだり、外国人と文通がしたい!とペンパルを探してみたり…。今考えると、今までで一番充実した日々を送ることができていたような気がします。自分が何に興味を持っているのかを知る機会となったのです。あの時、自分を責め続け、楽しいこと、好きなことに専念することができずにいたら、わたしの人生は今ごろ違っていたのかもしれません。結局、次の学年に進級する時に、少し遠いけど、生まれ育った田舎の中学校に転校することになりました。みんなが友達や幼なじみだったということもあり、最初は少し緊張したものも、また学校に行けるようになりました。わたしはこの経験から、苦しい時や元気が出なくなった時、環境を変えてみることも一つの方法だということを学びました。大人になった今も、そのような時には近場に小旅行してみたり、自分の好きなお店に行って好きな物を眺めたりと、環境を少し変えてみる努力をしています。


・メッセージ

不登校を経験して感じたことは、不登校の経験はわたしの人生の中でマイナスにはなっていないということです。大学入試や就職活動にもほとんど影響していません。学問は大切ではないと言っているわけではありません。学ぶことは人生において、とても大切なことだと思っています。しかし、学校に行かなきゃいけないというプレッシャーやストレスに押しつぶされ、引きこもりになるくらいなら、学校で学ぶ内容を家庭やオンラインスクールなど、ほかの方法に変え、心のケアをしっかりすることに焦点を当ててみると良いかもしれません。将来を心配する気持ちも、とても分かります。しかし、過度に心配する必要はないと思います。ものの考え方や見方、感じ方は人それぞれです。ほかの人にとって何ともないことも、自分にとっては、居てもたってもいられないほど辛いこともあります。そんな自分を受け入れ、今したいこと、できることを思いっきり楽しんでみることが、大きな一歩になるかもしれません。そしてもう一つ大切なことは、学校に行けなくても何かしらの方法で他の人との交わりを持つということです。言い換えれば、自分の居場所を見つけるということです。同じ趣味を持つ人、同じ信仰を持つ人、スポーツ、音楽、何でもいいと思います。

わたしは時々、幼稚園時代の親友に会いに行ったり、昔住んでいた地域の友達と遊んだりしていました。「不登校の自分」を知らない人たちの前では、100パーセントではなくても昔の元気な自分を取り戻せたような気がします。そして普段は家の中に引きこもっていると、「買い物に行って友達に会ったらどうしよう」とか、とにかく人を避けた生活になってしまいますが、勇気を出して一度外の世界に出てみることで「一人じゃない」ということに気が付くと思います。

記事の初めにも書きましたが、不登校児童・生徒は、小中学生だけでも14万人います。あなたの気持ちを理解してくれる人は必ずいます。しばらくゆっくり休養し、好きなことをしたり心の整理をしてから、何が理由かを考え、自分に合った方法で解決方法を探ってみると良いと思います。ネットで調べるだけでも色々な情報があります。ひとつの記事を読んで、それが答えだと早急に判断せずに、色々な人の体験談やサポートの事例を読み比べてみて、何が一番自分に合っているのかを見つけてみるといいかもしれません。

そして、わたしがイエス・キリストの福音に出会って学んだことがあります。それは、わたしたちがこの世に生まれてくる目的です。わたしたちは、試練を受け、成長するためにこの世に生まれてきました。試練の種類は様々です。しかし、試練のない人生を歩む人は一人としていません。すべてがうまくいっているかのように見える周囲の人も、あなたの知らないところで必死になって試練を乗り越えようとしているかもしれません。わたしは、大きな試練を与えられ、それを乗り越える時、試練が大きければ大きいだけ成長の幅が大きいと思えるようになりました。2012年4月の総大会でアイリング管長がこう話しました。「今、皆さんの多くは、肉体的、精神的、情緒的な試練に遭遇しています。…『生涯、善良であろうと努力してきたのに、どうしてこのようなことがわたしの身に起きるのだろうか。』そのような問いに対して、預言者ジョセフ・スミスに主がどのようにこたえられたか、皆さんは御存じでしょう。『また、たとえあなたが穴の中に投げ込まれたり、殺人者の手に渡されたりして、死刑の宣告が下されても、たとえあなたが深みに投げ込まれても、たとえ寄せて来る大波があなたを巻き込もうとしても、たとえ暴風があなたの敵となっても、たとえ天が暗黒を集め、すべての元素が結束して道をふさいでも、また何にも増して、たとえ地獄の入り口が大口を開けてあなたをのみ込もうとしても、息子よ、あなたはこのことを知りなさい。すなわち、これらのことはすべて、あなたに経験を与え、あなたの益となるであろう」ヘンリー・B・アイリング管長(2012年4月総大会)

最後に試練を経験している時、いつもわたしを励ましてくれるメッセージを皆さんに分かち合いたいと思います。

神は,今この瞬間にありのままのあなたを受け入れ,ともに働き始めてくださいます。」