末日聖徒イエス・キリスト教会の集会に行くと、よく「御霊(みたま)の導き」と聞くことがあります。神様はわたしたちが正しいことを選ぶために、御霊を送ってくれます。そして教会と福音を学んでいる人が抱くよくある悩みの一つは、この導きは自分の思いなのか御霊の導きなのか、と迷うことです。では、自分が受けた印象や促しが御霊なのか自分の思いなのかどうやったら分かるのでしょうか。
御霊の導きとは
まず、御霊について学んでみましょう。御霊とは聖霊からくる影響のことです。聖霊は神会の1人で、身体を持たないのでいつでもどこでもわたしたちの心に働きかけてくれます。
また、神様と目的が一致しているので、わたしたちが困難な中でも正しいことを選んで、元気で幸せにいられるように、また神様の御元に戻って来れるように導いてくれます。
どんな時に御霊を感じるか?
御霊を感じているかどうかは、わたしたち自身で知ることができます。
まず、御霊を感じている時には、脳に反応が出るそうです。ユタ大学の研究をこちらから読めますのでぜひ読んでみてください。
ただ、脳の反応は普段は自分で見ることができないので、自分の気持ちにフォーカスしてみたらもっと分かりやすいかもしれません。
御霊を感じているとこんな気持ちがします。
また、新約聖書のガラテア人への手紙5章22-23節にもこう書かれてあります。
しかし、御霊の実は、愛、喜び、平和、寛容、慈愛、善意、忠実、柔和、自制であって、これらを否定する律法はない。
このような感情があなたの心にある時は、御霊を感じていると言ってもいいでしょう。
ちなみに、末日聖徒イエス・キリスト教会の会員は、ふさわしければいつも御霊の影響を受けることができます。しかし、教会員でない人も皆さんの心に備わっている良心が、ときどき御霊を感じてくれるんですよ。
善悪をわきまえることができるように、すべての人にキリストの御霊が与えられている……。さて、その判断の方法をあなたがたに教えよう。善を行うように誘い、またキリストを信じるように勧めるものはすべて、キリストの力と賜物によって送り出されているのである。(モロナイ書7章16節)
神様はわたしたちが正しいことを選んで成長して、神様の御元に戻って来れるように教会員であってもなくても、正しい道を選べるヒントを与えてくれています。
そんなヒントを伝えてくれる御霊の影響は、「静かな細い声」で話しかけるとも言われることがあります。
「火の後に静かな細い声が聞こえた。」列王記上19章11-13節
静かな細い声なので、騒がしい場所、忙しい時、この世に心が奪われている時などには感じづらいかもしれません。
しかし、警告など大切なことを伝える時には、その声は静かでもはっきりと聞こえることがあるそうです。
耳で聞こえる人もいますが、だいたいの人は心で感じることで認識できます。
自分の感情か
心に感じる思いが、御霊なのか自分の望みや感情なのかが分からないと思うことがわたしにはあります。なのでいろいろ考えたり聖句を読んで気が付いたことがありました。
モロナイ書7章12節の「善いものはすべて神から出」るという言葉がわたしの悩みの解決になったのです。
自分の願いや感情は時々、さまざまなことをネガティブな方へ持っていこうとすることがあります。
人を批判したり、失敗ばかり考えたり、あきらめようとしたり、悪い方の「もしも」を心配したり、プレッシャーや恐れを強く感じます。これらはきっと御霊ではないと思います。
この聖句から考えれば、自分が感じている気持ちや考え、願いが御霊から来るのであれば、良い気持ち、良い印象を持ってきっと前向きになれるはずです。
御霊か自分の考えかを見分けるには
ではどのように御霊の影響と自分の考えかを見分けたらいいのでしょうか。わたしの経験からいくつかの方法を提案します。
1.御霊の役割を知って、自分の感情との違いを知る
御霊は神様の望みをわたしたちに伝えてくれます。幸せになって欲しい、正しい道を選んで欲しい、などです。それは何かを選ぶ時や悩んでいる時、困っている時に励ますように心にそっと浮かぶ感情のこともあります。「これだ!」とひらめきのような感じもあります。しかし、恐れ、不安、面倒くささがあるなら、その思いは自分のネガディブな部分かもしれません。
2.印象を書き留める
心に感じる印象を書き留めることをしたらいいでしょう。いいことも悪いことも書き留めていくと、自分の心の状態を観察しやすくなり、御霊に気付きやすくなると思います。この方法は、教会のあるテキストにも書かれてある方法です。感動したこと、学んだことなどは後から見直してもきっと感動を与えてくれるはずです。
3.訓練する
御霊なのかどうかは訓練して分かるようになります。
ある女性がシェアしてくれた経験です。彼女はある日1人の人が思い浮かび、会いに行った方がいいかなと思いました。しかし、いきなり行ったら迷惑になるんじゃないか、と思い辞めたそうです。あとで分かったのですが、その人はその日夕飯を作ることができないほど疲れていて、子供に十分なご飯を食べさせることができなかったそうです。この経験からこの女性は思い浮かんだ人を迷わずに助けに行こうと決めました。
それから何度もいろんな人のことが思い浮かびました。できることがないかと思い、食事を持って行ったり手作りのお菓子を持って行きました。しかし、相手の反応は突然の訪問で驚いていたり、彼女が想像していたものではありませんでした。
自分の受けた印象が間違っていたのかと感じたこともありました。しかし、祈りあきらめずに思い浮かんだ人たちへ働きかけ続けていたら、「あなたの助けを待っていた」と言ってくれた人にたどり着けました。この経験から、御霊の導きを受けてそれに従えるようになるためには、何度も訓練することが必要ですが、続けることで分かるようになるということを学びました。
この女性の経験は訓練することに加えて、もう一つ大切な学びがあります。
それは最初に感じた気持ちに従うということです。
4.最初の促しを信頼する
ロナルド・D・ラズバンド長老はこのように話しています。
「最初の促しを信頼するのです。時に、わたしたちは理屈をこね、自分が霊的な印象を受けていることを怪しんだり、自分自身の思いつきでしかないのではないかと思ったりします。受けた気持ちに後であれこれ迷いを抱いたり、さらに繰り返し迷うようになると、わたしたちには皆同じような傾向があるとは言うものの、御霊が退き、神からの勧告を疑うようになります。預言者ジョセフ・スミスは、もし最初の促しに耳を傾けたら、10回のうち9回は促しを正しく受ける、と教えました。」
ほかにも、静かな場所へ行く、テレビやゲーム、仕事などこの世のものから少し離れる、なども効果的です。
ぜひ一度試してみてください。
御霊によって気持ちを知る
御霊の影響か自分の気持ちかを知れるように、祈り求めるということもできます。あなたが感じているその気持ちが御霊なのか自分なのか、ぜひ祈ってみてください。
祈った後に、静かに留まり自分の気持ちに注意を向けることがポイントです。
ただ、自分の願い、思い、感情で御霊の影響を打ち消さないようにしてください。求めていたものと違うものを感じたとしても、それが神様からの促しなら、それを認めて受け入れてください。
御霊の導きか自分の思いか判断が難しい時もありますが、神様が自分を導いてくれることを信じて、そして神様の御心を受け入れることを意識していると、だんだん分かるようになります。そしてどんなに小さな促しでも、わたしたちが正しく幸せでいられるようにさまざまな方法で御霊を感じられるということも、ぜひ覚えていてください。