聖霊とは、神様と共に御業に携わっていらっしゃる霊の御方で、その影響力の元でわたしたちはあらゆる真理に目を開かれます。聖典を学んだり、霊的なことについて考えたりする時に聖霊を受けられるように祈るように勧められています。わたしたちの生涯を通しての教育(義務教育から始まり、高等教育、専門分野の資格を得るなどの教育、社内研修、生涯教育など)で、日々の小さな学習課題に聖霊の力を受けていますか。驚いたことに、学生のほとんどが教会員であるユタ州のブリガム・ヤング大学(BYU)でさえ、聖霊の助けが大切だと分かっていながら、大半の学生は日常の学習ではあまり祈っていないことが分かったのです。どのようにもっと聖霊の影響下で理想的な学習ができるのか、小さな研究を重ねた結果をここで報告致します。この記事の内容は、主に13人のBYUの学生による考察と議論の結果です。紹介は記事の最後にあります。


わたしたちの置かれた状況

聖典には「常に祈れ」とあちこちに書かれています。たとえばモルモン書の中のアルマ34章を読むと、畑の収穫や家畜が増えるように、また家族など周りの人々の幸いを求めて祈れと勧められています。教育はわたしたちがより意義深く豊かな一生を送るために欠かせないもので、神様はわたしたちが霊的なことも世俗の知識も学び合うように(教義と聖約88:77〜79)勧めてくださり、その結果は来世にも有益である(教義と聖約130:19)、と教えてくださっています。そのように大切な教育のために、わたしたちが祈りによって聖霊の導きを得れば、その影響下でより適切で効果的に学習ができるはずです。しかし、わたしたちには「聖霊と共に学ぶ」ことについては具体的で、組織立った訓練を受ける機会がほとんどありません。

わたしたちの研究が目指すのは、「聖霊と共に学ぶ」という経験がどういうものであり、聖霊の影響力をもっと得て、豊かで意味のある学習ができるための方法を追求することです。このような研究開発はパイオニア的なもので、ここに述べられていることはその第一歩ですが、これから読者の皆さんからも経験やアイデアを伝えていただき、深くかつ幅広い研究を進めたいと願っています。


聖霊の影響力のもとで学ぶとはどのような経験か?

最初に、ある学生の模範についてご紹介します。似た経験をする人もいるでしょうが、大切な原則がこの中にはあります。

ぼくは、忙しい学生生活で大変なことも多いですが、聖霊の助けを求めるには、神様を優先すべきだと思います。たとえば、大学からの帰宅後、まず聖典研究をします。その日も、宿題などがやり切れないほどありましたが、聖典を読みました。それから2時間ほど難しいクラスの勉強をしましたが、まだ時間が足りませんでした。そんな時に暗い顔をしたルームメイトが帰って来たのです。力になりたいとは思いながら、余裕がないと正直感じていました。しかし、霊的な促しを受け、彼の相談に乗る決意をしました。話し終わった時には、既に遅く、そのまま課題は中途半端なままで寝ました。ところが、次のクラスで、ずっと悩み、そのために勉強し続けていた難しい概念が、突然スーッと頭に入ったので、驚きました。確かに聖霊の力が強く働いたと感じています。

イエス・キリスト教会の会員は、バプテスマを受けて教会員として確認される時に「聖霊の賜物」を受けます。それはその時からふさわしくあれば、必要な時にはいつでも聖霊の導きを受けられるという特権です。

聖典の中で教えられているのは、聖霊は人の「思い」と「心」に影響することです(教義と聖約8:2)。つまり、知性と感情に訴えてくれます。もう少し詳しくこの経験について考えてみましょう。教会員はこの点についてかなり正確に意識していて、しばしばそれが個人の体験談として話されています。思い出すこと、気持ちが落ち着くこと、慰めや励ましを受けること、新しいアイデアが浮かぶこと、問題などの解決方法が見つかること、怒りや消極的な気持ちがぬぐい去られること、物事の理解が開かれることなどです。このリストはまだまだ続きます。


聖霊の影響力を受けるための条件

聖典や末日聖徒イエス・キリスト教会の総大会などで聖霊を受けるためにどのような備えができるか、原則的なことが良く教えられています。この点についての理解が不足していると思われる方は、それらの資料が容易に得られますので、次のサイトで探してください。ChurchofJesusChrist.org ただ、この記事の中では学習者に特化した条件について考えます。わたしたちが詳しく話し合う中で4つのポイントが浮かび上がってきました。


第1ポイント:ふさわしくあるように準備する

わたしたちの心や思いがふさわしくないと、聖霊は働きかけることができません。依存症に陥って、悪いものや自分の長い人生にとって価値のあまりないものに気持ちがとらわれていたら、聖霊が入ってくる余地がありません。さらに、ストレスと忙しさで頭がいっぱいの状態で心の目が閉じていると、たとえ聖霊の働きかけがあっても、それは「静かな細い声(旧約聖書の列王紀19:12)なので、気づけません。ですから、頭や心の中を整理しておく必要があります。決め手は、たとえば安息日(日曜日)に、神様の導きのもとに前の週の活動を振りかえり、優先順位について考え、新しい週の計画を立て、時間の管理をすることかもしれません。そして、その週の中で、心を鎮めて、御霊(聖霊)の声に耳を傾ける時間と場所を予め決めておくことが必要かもしれません。そうしないと、忙しい生活でそのような時間をとることは困難になるでしょう。一人の学生がマインドフルネスについての経験と簡単な提案やアプリについて説明してくれました。忙しさの中で、心を空にして瞑想する時間を作るために役立ちます。関心のある人はここ(For Mindfulness Practice)をクリックしてください。


第2ポイント:目的をはっきりさせる

漠然と聖霊の力を借りて学べるように祈るといっても、なかなか気持ちを入れて祈れないようです。その前に時間をとって、今行なおうとしている勉強がなぜ大切なのか少し考えてみる必要があります。できれば、それを書き出してみると効果的です。すると、その過程の中で、その勉強が自分にとってどのような価値があるのか、また将来どのようなことに役に立つのかが分かってきて、それだけでもやる気が出てきます。もちろんそのような答えを得るためにも、まず祈って聖霊の助けを借りながら目的について考えることもできます。


第3ポイント:人のために役立つように学ぶ

利己的に学ぶことには限界があります。しかし、他の人たちに教えるために学び、実際に教えることを通して、最高の学びが起こってきます。神様は、わたしたちが人に仕えることを喜ばれます。神様の子供であるわたしたちが互いに愛し合い、仕え合って成長することを霊の父として望んでおられるからです(新約聖書のマタイ伝22:36〜40。自分で納得するレベルと相手に説明できるレベルとの間には大きな差があります。教えるにはより深く学ぶ必要がありますから、より良い学習が起こります。周りに目を向けてください。勉強の助けを必要としている人がたくさんいます。その人たちに巡り会うように助けを求めて祈ることも大切です。聖霊の導きはそのようなことにこそ与えられるはずです。このポイントに関連して、一人の学生のレポートがあるので、興味のある方はここ(Learn for others)をクリックしてください。


第4ポイント:小さな、一見ささいなことについても祈る

多くの学生が、とても霊的で、素晴らしい奇跡的な体験を通して聖霊の影響力を受けています。しかし、わたしたちの研究で明らかになったことは、「困った時の神頼み」では不十分であるという点です。わたしたちはその上を目指します。つまり、毎日の学習の小さなこと1つ1つに「神様の指を触れていただき(モルモン書のエテル書2;3」、自分たちの思いもつかなかったようなことに繰り返し眼を開かれることです。神様は小さな手段によって大きなことをなさいます(モルモン書のアルマ書37:6。このことを実践するために、一人の学生が「モリアンカマ―効果」と呼んでいる現象について考えてみることをお勧めします。ここ(Moriancumer Method)をクリックするとそれについての小さな記事が読めます。

主の指を見て驚くヤレドの兄弟

画像はChurchofJesusChrist.orgより

それでも、ともするとわたしたちの祈りは漠然としたものになりがちですね。そうすると祈りは機械的な言葉の繰り返しになり、本来の精神が失われて意味の薄いものになってしまいます。第2ポイントの、目的をはっきりさせるために熟考することと重なりますが、次のような具体的なことに心を向けて祈ることが、より意味のある実践となるでしょう。以下のリストをしばしば使って、祈るべき具体的なポイントに的を絞り、学習活動の1つ1つで意味のある祈りをしてから始めることができるでしょう。それから、学習し終わって、その時に起こった聖霊の助けにちゃんと感謝の気持ちで祈ることもお勧めです。

1.大切なことを覚えられ、思い出せるように
2.読書課題をやる前に、その中のポイントが良く把握できるように
3.気持ちが落ち着いて、冷静に学べるように
4.御霊の導きについて具体的に感謝できるように
5.想像力を発揮して何か新しいもの(考え、論文、演奏方法、作品)を創れるように
6.様々な、学んでいることの中に相互関係を見出せるように
7.生活の中に、また社会の中で応用できるように
8.だれかのために使えるように
9.問題解決ができるように
10.そのためにどのような資源を使い、誰に相談したらよいか分かるように
11.自分の学習についての弱点がはっきり分かるように
12.その弱点を改善する方法を見つけることができるように
13.もっと効率良く学べるように
14.学ぶ環境を整え、改善できるように
15.やる気が起こるように
16.時間の管理がもっと上手にできるように
17.生活の中でもっと良くバランスがとれるように
18.なぜそういうことを勉強しているのか、その意義がはっきり分かるように
19.学習のための恵まれた環境があり、助けることに目を向けられるように
20.自分とは異なる意見の人たちの考えにも耳を傾けて、自分の狭い見方や偏見を克服してもっと幅広い見方ができるように


体験談

体験談から自分が実際にできそうなアイデアを試してみてください。


努力と犠牲

たくさんの学生が、何らかの犠牲を払った後に、学習の面で大きな成果を上げたことをレポートしています。特にその犠牲が、誰かのために、あるいは神様の御業のために払われた時に、学習への効果が顕著になりそうです。

(学生B、女性):わたしはもともとBYUで学びたかったのですが、家庭の事情で母親代わりをしていました。妹や祖母を車で送迎したり、家事をしたりするために地元の大学に入らなければなりませんでした。ところがしばらくして、家族の勧めと支えがあって、BYUに編入できました。ある時大学の集会で、賛美歌「イスラエルの救い主」を大きな声で歌っていた時、わたしは御霊を感じて、このような環境で信仰を育てながら勉強できることに深く感動しました。優秀ではないですが、この「聖霊と共に学ぶ」プロジェクトに関わった学生たちと議論する中で、聖霊の力を具体的に求め始めました。その結果、もともとやる気を失って落ち込むタイプでしたが、どこからか湧き出る力によって学び続け、自信がつきました。教義と聖約60章13節に「あなたは時間を無駄に過ごしてはなら」ないとあるように、時間を管理できるように祈りました。だらだらと時間を使ってしまうことがよくありましたが、聖霊の導きによって、もっと節度のある態度で状況をコントロールできるようになりました。


天に目を向ける

頑張っていることが必ずしも知的な生産性と結びつくとは限りません。時には無駄な努力をたくさんしていることがあります。聖霊がわたしたちの道案内です。

(学生D):もしイエス・キリストに倣って勉強すれば、どうなるだろうか?イエスは神殿に訪れて教師たちの話を聞いたり質問なさったと聖書に書いてあるので、僕もこのことを実験してみようと思って次の3つのステップからなる計画を立てた。1つ目は、自分にとって大切な質問を考えてそれを熟考してから書いて、神殿へ持っていく。2つ目は、神殿の中で考え、祈る。3つ目、その考えた言葉や頭に浮かぶイメージを言葉で描写する。この3つの行動を繰り返し、最後に書いた言葉を振り返って学んだことをまた祈りで神に伝え、その過程が終わる。

試してみようと思ったが、この計画を立ててから質問を1つも思いつかなかった。計画を報告する期日が迫っていたので、自分の能力について疑問を抱きながら、とにかく神殿へいこうと決心した。翌日、日の栄えの部屋で新たに考え始めた。すると、天がいきなり開いて頭にあった霧が消え、悟りを得た。最近家内とよく言い争ったり、勘違いして小競り合いをしたりすることがあったので、学校も宿題も仕事も効率よくできなくなってきていたし、辛くなってきていた。帰っても、心は休むことが出来なった。その時、こう考えた。「どうすれば家内と仲良くできるのか?どうすれば仲のいい夫婦になれるのか」と。その神殿にいた自分が聖霊から貰った答えは聖書の言葉だった。「偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。」(マタイ7:5)と。もう一度振り返ったら、家内との小競り合いの多くは僕が始めたのだった。「もし、あやまって家内の目標とやりたいことを自分のやりたいものにすれば、助けになる」と次に強く感じた。その時に頂いた答えに圧倒され、書くことを忘れるところだったが、最後に聖霊が思い起こさせてくださった。 そして家に帰ってから、僕が経験したことをすぐに実行に移すと、家内との関係が改善し始め、神殿で勉強すること、すなわちイエス・キリストのように勉強することが、最も効率的で感動的な勉強法に違いないと確信している。


消極的な気持ちを乗り越えて

勉強の大切さは誰にも分かっていますよね。しかし、大事とは分かっていても、やる気が起こらないのは人の常です。わたしたちの周りには次々にいろいろなことが起こり、気を散らされたり、気落ちさせられたりすることも良く起こります。果たして聖霊はこのようなわたしたちの中に起こってくる消極的な思いを克服できるように力を与えてくださるのでしょうか?難しい事態に立ち向かえるように勇気を与えてくださるのでしょうか?わたしたちを備えさせてくれる方法について細かいアドバイスを与えてくれる記事はここ(Beyond negative feelings)にあります。

(学生E):わたしにとって、時間を大切に使うための鍵は重要事項を優先することです。そうすると余った時間は気楽に好きなことに使えるからです。時間を無駄にせず、夜はいつも日記に心に浮かんだことを書くのも大切だと思います。今学期は意識的に祈り、聖霊の導きをいろいろなことに受けることができました。たとえば、聖霊の力によって友達が作れ、それから宿題や試験のことなど、もっと的確に理解できるようになりました。学んだことがしっかり身につくようになりました。がんばった分、実力がついたという感じです。優先順位がはっきりしてくることで、忙しくても実際にできることが多くなりました。やる気がなくなった時でも、時間の管理ができるようになりました。授業でも先生の話が分かるようになりました。やることが多過ぎて、どこから手をつけたらいいか分からない時がありますが、聖霊の力によって、そのような状況でも、成し遂げていることがあることに驚きます。神様を第1におくことによって、人生は良い方向に進み、物事がうまく行き、良い結果が期待できます。


考え過ぎずに行動を起こそう

わたしたちは、物事を始める前から、メンタルブロックを作って二の足を踏んだり、見慣れない課題に萎縮して手が出せなかったりもします。勇気を出して、とにかく1歩踏み出してみることや、すかさずだれかの助けを求めることが功を奏します。実は、後になってみると「何だ、意外と簡単だった」と振りかえることが多いかもしれません。もう1つの方法は、自分なりの行動パターンを作ってそれに従うという方法もあります。ある学生が、5つのステップによる、聖霊を招く行動パターンを紹介してくれました。ここ(Pattern to bring the Spirit to study)をクリックすると見られます。

(学生F):聖霊をメガネに例えましょう。メガネなしで全然見えないというわけではないですが、付けたら違いはなんとも大きいものです。付けなかったとしても、日々の勉強はまだできます。メガネ無しでも、闇と光を区別し、信号が青いのは分かるでしょう。しかし、はっきりとは見えませんし、視点が合わなかったり、集中するのが難しくなったり、多くのことを意識しなかったりするかもしれません。聖霊の働きは同じです。その助けを借りるようにお祈りしないならば、自分の力で宿題や勉強をすることになります。でも聖霊というメガネを付けたら、自分だけの能力より多くを達成できます。もう1つのポイントは、聖霊は新しく特別な力を与えるのではなく、わたしたちが自分の可能性を果たすように力を与え、導かれることが普通です。


自分に合った方法で工夫する

聖霊の受け方、効果的な方法は、人それぞれです。自分に合った方法を少しずつ築きましょう。周りの人からのアイデアも大切ですし、教会員であれば、ミニスタリングの兄弟姉妹に協力を求めたり、神権の祝福をしてもらったりすることもできます。自分の好みや適性を良く理解する。例えば特定の場所や状況で気持ちが落ち着くというような小さな気づきが、積もり積もって大きな違いを生みます。

(学生G):毎日祈りで始めます。そしてもしアイデア(ある人の名前とか、今日やるべきこととかなど)が頭に浮かんだら、その小さい声に従います。そうしないとその声は聞こえなくなってしまいます。先週の土曜日に、期末試験の勉強をBYUのキャンパスでしました。わたしは広い黒板かホワイトボードがあると、集中出来るからです。4時間ぐらい休憩を取らずに勉強できました。その同じ日の夜には、気持ちよく試験を受けに行けました。このように、聖霊の力によって、長い間集中でき、テストの準備が冷静に出来ます。自分に合った方法を聖霊の力を借りて選ぶ事が大切です。わたしは静かになれるところ、個人的な空間、落ち着く場所を選びますが、にぎやかなところや、地下鉄の中などが一番集中できる人もいます。とにかく自分が集中できて、聖霊を招くことできる環境を作る、もしくは選ぶことが鍵です。音楽を取り入れることも効果的かもしれません。わたしの場合、聖霊と共に学ぶと、妨害となる人間関係のことなどを忘れることができます。その他に、時間の管理が良くできるように、カレンダーにスケジュールを書き込んだり、疲れ過ぎたりしないように、早く休むことも助けになります。


この記事に何らかの貢献をした学生たちのリストです。括弧内は専攻と学年です。

Jake Bentley(神経科学、4年生)
Adam Christensen(物理学、4年生)
Josh Eyre(日本語、3年生)
Michael Gailey(生産工学、4年生)
Angela Griffin(言語学、4年生)
Andy Hassell(政治学、3年生)
Sayaka Herrera(日本語、4年生)
Steven Leach(日本語、4年生)
Austin Leftwich(政治学、4年生)
Matthew Lutz(専攻未定、3年生)
Lauren Schlueter(日本語、4年生)
Casey Strauss(運動科学、4年生)
Taylor Talentino(生化学、4年生)