わたしが教会で系図(神殿家族歴史)と音楽の関わりが始まったのは、1970年ソルトレーク神殿団体参入の時でした。その年の3月に日本で最初の東京ステークが発足し、4月にステーク音楽委員長の召しを受けました。5月には横浜ワードで市民結婚し、ソルトレーク神殿で自身のエンダウメントや夫婦の結び固めを受けるために戸籍謄本を提出しました。

社会人になって日も浅く、1ドル360円の時代に年収の何倍もの費用を親や親族から借りて、会社から10日間の休暇を何とかもらいました。10月に初めての海外旅行・ソルトレーク神殿参入は緊張の連続で、儀式の内容はほとんど記憶に残っていません。

5年後の1975年8月に、武道館での地域総大会でキンボール大管長が東京神殿建設の発表をした時は、全会衆が歓呼と喜びの涙で感動の拍手をしました。

わたしたちのふるさと、神殿

教会の大会で音楽責任者を果たす

1980年4月に東京神殿奉献式聖歌隊と、武道館での地域総大会で音楽責任者の召しをいただきました。両方並行で召しを果たすのは大変なので、それぞれにまとめ役をお願いしました。聖歌隊員のオーディションと練習、指揮者・伴奏者の訓練会などを約半年間準備しました。いよいよ本番の10月27日に東京神殿の定礎式・奉献式で聖歌隊が歌いました。キンボール大管長が奉献の祈りを捧げた後に、大管長の掛け声で「ホザーナ」と3回出席者全員でハンカチを振りながら唱和し、神を賛美しました。最後に聖歌隊が「Hosanna Anthem」を歌いましたが、途中で歌いながら涙が出て止まらなくなりました。聖歌隊員全員が同様でした。教会幹部も多くの方が涙されていました。この感動は生涯決して忘れられない思い出となりました。 これを機に、神殿家族歴史と音楽を通して生涯奉仕しようと決心しました。

系図を実際に始めたきっかけ

1982年から約5年間、川越ワードのビショップを務めた後、1988年にサム・K・島袋神殿会長から神殿儀式執行者オーディナンス・ワーカーに召されました。

1996年に菊地良彦神殿会長がおられた時は、ステークの神殿家族歴史担当高等評議員、及び土曜日のアシスタント・スーパーバイザーを神殿で務めておりました。

大変多くの儀式が行われる中で、死者の名前をもっとたくさん必要としていることを痛感しておりました。そのような時に神様の導きにより、家族歴史に精通したご夫妻が何度か我家を訪問してくださり、系図の正確な書き方を教わることができました。当時は直系だけでなく傍系の戸籍・除籍謄本まで入手でき、さらに位牌、墓石なども調べました。それがきっかけで、さらに多くの系図熟練者の皆様からのご指導と交流をとおして、たくさんの死者の名前を神殿に提出する助けができました。やがてPAFという家族歴史ソフトにも精通し、さいたまステークの家族歴史センター・ディレクターとして、多くの皆様にPAFを分かち合いました。 

東京神殿奉献20・25周年記念を祝う

2000年には、東京神殿奉献20周年記念の特別大会の音楽部門実行委員として、企画運営に携わりました。神殿奉献式聖歌隊のリユニオンを兼ねて、賛助の方も含めた聖歌隊を再組織し、アジア北地域会長会管理の元で、20年前の霊的感動と思い出を分かち合いました。また第2部では記念のメサイア・コンサートを企画しました。約100名の聖歌隊とソリスト、教会員・非教会員半々から成る約30名のオーケストラを初めての試みで編成しました。当日は吉祥寺の礼拝堂・ホールのほか、2FFにもTVモニターが設置され、800名を越える満員の聴衆と共に、メサイアの忘れ得ぬ大きな感動を分かち合いました。 

2005年には、東京神殿奉献25周年記念コンサートを企画しました。神殿ワーカー聖歌隊ほか4グループの音楽発表、柳田聡子姉妹の神殿にまつわる話、福田眞神殿会長の心からの感謝の言葉がありました。神殿ワーカーの証集が集められ、神殿にまつわる多くの歴史写真も展示されました。 

またその頃から毎年12月初旬には恒例で神殿別館において、神殿ワーカーへの感謝をこめて、地域会長会神殿会長管理のもとでクリスマス・ディボーショナルが行われています。神殿ワーカー聖歌隊ほかの音楽発表、神殿会長・メイトロンご夫妻の話、地域会長会ご夫妻の話をお聴きして、クリスマスの精神と神殿奉仕の喜び・感謝を分かち合い、1年を締めくくるのが楽しみとなっています。

現代の系図

2010年頃から新しくFamily Search/Family Treeソフトが出始め、年々改良を重ねてすばらしいソフトになっています。自分で儀式カードをプリントし、神殿で儀式をすれば即日ソフトに反映され、結び固めの儀式をすれば、夫婦や親子・兄弟がソフト上でもつながって表示されます。(以前使用されていたPAFソフトでは自分で入力してつなげることが必要でした。)

今や神殿家族歴史は、完全にパソコン・スマホの時代となりました。ただし日本は海外と違い、個人情報保護法のためオンラインで先祖の名前を検索できません。また傍系の戸籍・除籍謄本を入手できなくなりました。従って若い青少年・独身成人・両親・祖父母が3世代で協力し、熟年が戸籍・除籍謄本を読み、若人がパソコンに入力し、儀式カードを作成し、皆で神殿参入し儀式を受ける時代です。

2017年10月2020年まで東京神殿は大改装のため3年間閉館となります。長年神殿ワーカー・家族歴史相談員として奉仕してきた者としては少し寂しい気がしますが、札幌神殿・福岡神殿に可能な限り参入し、東京神殿再奉献後に備え、次のステップに進めるという期待と楽しみを抱いております。

著者:さいたまステーク坂戸ワード 吉田憲博Yoshida Norihiro