断食証会で、赤松百与姉妹が末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン書があるので誤ってモルモン教と呼ばれる)の宣教師として伝道に出る前に悩んでいたこと等についてお話と証をしてくださいました。そのことについてもっと詳しく聞いてみたいと思い、今回お話を伺うことにしました。百与姉妹のルームメイトの中村あい姉妹のお話もとても良いという百与姉妹の勧めで、あい姉妹のお話も聞かせていただきました。二人は宣教師トレーニングセンターと東京南伝道部で同僚だったそうです。そして、現在お二人はユタ州で留学中ですが、今はルームメイトとして一緒に充実した生活を送っています。

 

百与姉妹が伝道に出る前のいきさつ

百与姉妹は、幼いころから伝道に出ないことを決めていたそうです。自分は女の子なので伝道に出なくてもよい。女の子で良かった!と思っていたそうです。ですので、ご両親にも伝道には出ないことを断言してきたそうです。では、一体何が百与姉妹の心に変化をもたらしたのでしょうか?

大学生活で一人暮らしをしていた時に、父親からの電話があったそうです。お父さんは真剣な声で、伝道に出ないかと百与姉妹に聞き、伝道の偉大さを語ってくれました。ご両親は改宗者で、伝道に行く機会がありませんでした。ですから、なおさら百与姉妹に伝道に出てほしかったのでしょう。でも、百与姉妹の決意は変わりませんでした。その後は、ご両親が伝道に出ることを語ることは無くなったそうです。

百与姉妹は総合科学科で四大を卒業し、就職しました。順風満帆の人生に思えました。ところが、就職後はこれ以上人生の転機が無いことに気が付いたのです。職場での人間関係にも疲れを感じていました。これから毎日が同じことの繰り返しだと思うと、ぞっとしたそうです。これまでの人生では、皆と同じ「普通」のことばかりしてきたように思えて、何も達成感を感じることができませんでした。もっと自分がやりたいことをすればよかったという後悔の気持ちを抱くようになりました。

そこで、会社を辞めて専門学校に行き、自分がやってみたいことをしようと思ったそうです。その時、頭の中を「伝道」という言葉がふとよぎることがありました。でも、以前に固く伝道に出ないという決心をしていたので、伝道という選択肢はすぐに頭から消えていきました。そんな時に、百与姉妹の弟さんが彼女の車で事故に遭いました。車は運転不可能な状態になり、急遽新しい車を買わなければいけない状態に陥りました。ここで驚くべきことは、車を買った後に残った金額がその当時の伝道資金とぴったり合っていたということです。学校に行くお金は無くなってしまったものの、伝道には出られる!という思いが頭をよぎりました。初めて伝道という道について真剣に考えられるようになりました。

 

伝道への準備の始まり

その頃、周りの人から伝道の話を聞く機会が増えたと百与姉妹は言いました。YSAの神戸のカンファレンスに行った方が良いという促しに従い参加すると、同じ班の子がどれだけ伝道に出て良かったかという話をしてくれました。このお話を聞いて、これは確実に自分が伝道に出るべきだという神様からのサインだと感じたそうです。そして、百与姉妹は伝道に出ることを決意することができました。

ビショップに、今更両親にこのことを伝えるのが恥ずかしいので、召しが来るまで内緒にしてほしいということを伝えましたが、ビショップは即、ご両親に百与姉妹の伝道について伝えたそうです。ご両親は娘が伝道にでることを非常に喜んでくれました。その時期に百与姉妹は「自分は正しい選択をしたんだ」という確信を心にしっかりと受けることができたそうです。それからは、伝道に出るために一生懸命福音を勉強して、備えたそうです。

百与姉妹は伝道に出るか悩み始めてから1年ほどの時を経て、伝道に出る決意をすることができました。百与姉妹は、伝道に出て本当に良かったと言っています。伝道に出たからこそ、英語に興味を持ち、留学する決意をすることができました。そして、その際に何よりも心強かったのは、伝道中に同僚だった中村あい姉妹が、留学先でルームメイトとして支えてくれることがわかっていたことだそうです。神様が少しずつ、個人の啓示を百与姉妹に与え、彼女を導いてこられたことが、百与姉妹のお話を聞いて分かります。

モルモン教宣教師の赤松姉妹と中村姉妹

左:赤松姉妹、右:中村姉妹

中村あい姉妹が伝道に出る前のお話

あい姉妹は、幼いころから伝道に出たいという思いがあり、将来は伝道に行くことを決めていたそうです。高校生になると、地元の宣教師と一緒に道で人に声をかけるなどの伝道活動を積極的に行っていました。そうして、伝道に出る備えを始めていました。

東京外国語大学でロシア語を専攻するために、生まれ育った北海道を離れ、東京で一人暮らしを始めました。ところが大学1年の夏に学校に行くことが辛くなり、ほぼうつ状態になりました。寝てばかりの生活が半年ほど続き、学校に通えない状態になってしまいました。学校に通えないならばせめて働こうと思い、学校を休学して英会話教室で働き始めました。このような期間中も、毎週日曜日の礼拝行事と教会の英会話には行っていたそうです。

ある時、吉祥寺の教会で総大会のお話を聞いていました。その中のお話で、「天の御父に祈ってください。これは御父の神聖な業です。御父は皆さんのなすべきことについて導きを与えてくださるでしょう。御父は扉を開け,妨げとなるものを取り除いてくださり,皆さんが妨害に打ち勝てるように助けてくださいます。」とのメッセージがあったそうです。そうするべきだと感じたあい姉妹は、伝道に出ることについて神様に祈りました。すると、今伝道に出るべきだと確かな促しを受けました。体力が弱っていることも感じていたし、人と接することに不安を抱いていた自分に、伝道は無理なのではという思いが頭をよぎりました。そして、その思いを神様に祈りを通して伝えました。

すると、人々を癒すキリストのイメージが思い浮かびました。それと共に、人々は癒されるという信仰をもとに癒されていたことも思い起こしました。自分が伝道に出ることで信仰を示せるとあい姉妹は感じました。周りの人には反対されましたが、大学を辞めて、伝道に出る決意をしました。奇跡が起こり、伝道に出るための願書や、お医者さんとの約束などの準備を始めると共に、弱っていた体力は回復していきました。願書を出し、召しをもらってから4か月後に宣教師訓練センターに入り、東京南伝道部で奉仕することができました。

伝道中の同僚の1人が、あい姉妹にユタ州に留学することを勧めてくれたことがきっかけで、今の留学生活に至っています。百与姉妹とあい姉妹は、違う時期に伝道の願書を出したものの、宣教師訓練センターでも、伝道地でも同僚になり、今も一緒にルームメイトとして暮らしています。神様には何らかの計画があり、互いが必要なことを御存じなのでしょう。接していても、2人はとても仲が良いことが分かります。これからも、2人で支え合って充実した留学生活を送り、福音から受ける祝福を味わっていってほしいです。