マリアとジョセフに見守られる赤ちゃんイエス

写真提供はldslivingより

子供の頃、わたしが大好きだった我が家のクリスマスの伝統は、オマと呼んで親しんだドイツ人の祖母と一緒にクリスマスイブのお祝いをすることでした。毎年、祖母が愛を込めて作ってくれたおいしい料理をたくさん食べて、彼女のプレゼントを開けてあげて、いろんな楽器でクリスマスらしい音楽を演奏しました。

クリスマスの演奏はたいてい熱狂的で心のこもっていたものでしたが、キーキーと鳴る弦楽器や耳に刺さるようなフルートは、オマのリコーダーで演奏するやさしい「きよしこの夜」の足元にも及びませんでした。そして時折オマは、彼女の演奏に合わせて、三人の孫たちにドイツ語の「Stille Nacht(きよしこの夜)」を歌わせたものです。

わたしたちは少し成長し、オマが聞き慣れたこの曲をリコーダーで演奏しながら、彼女の目に涙があふれているのに気づくようになりました。きっとオマは演奏しながら、ドイツで過ごしたクリスマスや、亡くなった家族のことを思い出していたのでしょう。

わたしはクリスマスの音楽はなんでも好きです。でも賛美歌「きよしこの夜」はなにか特別なものを感じます。この曲は、わたしたちに愛する家族や過去のクリスマスの思い出を思い出させてくれる力があるだけでなく、敬虔に、また平安に救い主の生誕について証するのです。

この人気の賛美歌の歴史を学んだとき、その証と思い出はより特別なものになりました。

「きよしこの夜」の歴史

未婚の母の元に生まれたヨゼフ・モールは、幼少期を牧師で音楽指導者でもあったヨハン・ネポミューク・ヘインルのもとで過ごし、宗教と音楽を学びました。1815年モールは牧師になり、はじめての任務としてオーストリアのマリアプファールに配属されました。それは彼の父親とその家族が住む町でもありました。

1816年、若い副牧師がドイツ語で「Stille Nacht(きよしこの夜)」という文章を書きました。ナポレオン戦争後、経済的にも社会的にも困難な生活をしていたモールは賛美歌の歌詞を書きました。戦争の影響で、国境は変わり、経済恐慌が起こり、どんな将来が待ち受けているのかわかりませんでした。

それから2年後の1818年のクリスマスイブにモールは書いた歌詞を学校の教師であり教会のオルガン奏者であったフランツ・ゼイビュアー・グルーバーのもとへ持って行きました。多くの歴史学者は古い教会のオルガンは故障していると思っていたので、オーストリアの聖ニコラス教会で行われた「Stille Nacht」のはじめての発表はギターで伴奏されました。

モールは寛容な人として知られていました。賛美歌の発表についての歴史的な証言は様々ですが、記録によるとモールは親切で寛容な人だったといいます。そして彼が書いた賛美歌の歌詞を読むと、彼に明らかに救い主に関する証があったことがわかります。

最初の発表のあと、賛美歌のメロディーは広範囲で人気になりました。「きよしこの夜」は100以上の言語に翻訳され、ほぼすべてのクリスマスアルバムCDに様々なバージョンで含まれています。

しかし、この賛美歌のすばらしい歴史はそこでとどまりませんでした。

「きよしこの夜」は第一次世界大戦のクリスマス休戦のきっかけとなる

1914年の第一次世界大戦のクリスマス休戦について聞いたことがある人もいるでしょう。ドイツとイギリスの兵隊たちが、北フランスの泥だらけの塹壕で非公式の休戦をしたのです。

歴史的な記録によると、兵士たちは握手を交わし、贈り物を交換し、物語をかたったと言いますが、ある兵士は、クリスマスイブに塹壕に最初に響いた音は遠くの兵士たちの歌声だったと記録しています。イギリスの兵士たちにドイツ語は理解できませんでしたが、彼らは聞き慣れた「きよしこの夜」のメロディーを認識しました。そしてそれを聞いた兵士たちは、おそるおそるお互いに近づき、敵軍の兵士たちと挨拶を交わしたのです。その日の兵士たちは、敵同士ではありませんでした。クリスマスは泥だらけの塹壕なんかではなく家で過ごしたいホームシックの兄弟たち、息子たちであふれていました。

クリスマスを家ですごしたいという兵士たちの望みはもちろん大きな影響だったでしょう。しかし、単純なキャロルが兵士たちのあいだに生まれた仲間意識と平和に何か関係があったのでは、と考えずにいられません。

どんな環境にいても、この単純ながらも力強いキリスト降誕についての証があると「きよしこの夜」を聞く時に、やさしく平安な御霊を感じることができます。救い主に関する経験で率直な証のおかげで、この賛美歌は戦や経済恐慌、個人的な試練のときでも平安と喜びをもたらします。

クリスマスにその美しいメロディーをリコーダーで奏でてくれるわたしのオマはもういませんが、賛美歌を聴くたびに平安と、「キリスト、救い主がお生まれになった」という喜びを感じることができます。

 

モルモンタバナクル合唱団の「きよしこの夜」を視聴する

 

この記事はもともとKatherine Lyonによって書かれ、ldsliving.comに”Why Silent Night Is the Most Iconic Christmas Song in the World” の題名で投稿されました。

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