視覚障害者のために資料を印刷する団体である、視覚障害者のためのアメリカ出版機構は1936年にモルモン書の点字版を出版しました。点字のモルモン書が出版されたとき、ヒーバー・J・グラント大管長はこのように言いました。
「モルモン書が点字で出版されたことにとても感謝します。全能の神からの霊感に満ちたこの素晴らしい本が、今までモルモン書を読むことのできなかった人に、これからたくさんの喜びを与えることを確信しています。」
グラント大管長は、特にある人物が点字のモルモン書の特権を得ることができるようにしました。その人物とは、ヘレン・ケラーです。
タバナクルでのヘレン・ケラーのリクエスト
1941年3月11日、ヒーバー・J・グラント大管長(当時85歳)はヘレン・ケラー(当時61歳)に点字のモルモン書を贈りました。デゼレトニュースの記事によると、彼女は「贈り物への感謝を述べると、すぐにそれを読み始めた」そうです。
その翌日、ユタ州盲委員会やLDS盲人協会といった視覚障害者サポート団体の指示のもと、ケラーはユタ州にあるテンプルスクエア内のタバナクルを訪問しました。視覚障害と聴覚障害がありながらも読むこと、タイピング、そして話すことを学んだことについての質問に答えたあと、ケラー自身もある質問をしました。
末日聖徒イエス・キリスト教会の有名な詩人であるエマ・ロウ・ゼインは、ヘレン・ケラーがタバナクルでグラント大管長にこう尋ねたときのことを次のように思い返します。
「グラント大管長は階段を上り、壇上に上がりました。そして大管長はヘレン・ケラーの手を引きました。するとケラーはこう言いました。『ぜひ、このオルガンで有名なあなたたちの開拓者の歌を演奏してくれませんか?ここでその曲を聞いたことを覚えておきたいんです。』」
ケラーは、オルガン奏者のアレクサンダー・シュライナーが「恐れず来たれ、聖徒」を演奏する手に自分の手を乗せました。壮大なオルガンからの振動のみを感じていたケラーの姿に、聴衆は涙を流しました。
この記事はもともとSierra Sivertsonによって書かれ、ldsliving.comに”Helen Keller’s Beautiful Request When She Visited Temple Square with Heber J. Grant” の題名で投稿されました。
以下の動画はアレクサンダー・シュライナーのオルガン演奏ではありませんが、レイトン・スーザンによる「恐れず来たれ、聖徒」です。彼女の豊かな感受性と表現力は、心を惹きつけ霊を高めてくれます。