73年前のこの日、アンネ・フランクはユダヤ人であることを理由に逮捕されました(記事2017年8月4日執筆)。アンネと彼女の家族、そして友人たちは、2年間身を潜めていた隠れ家から連れ出されて強制収容所に送られたのでした。アンネの父親がただ一人生き延びました。人の残酷さに翻弄されながらも、アンネは善を信じてやみませんでした。アンネ・フランクの日記は何十年も前に書かれましたが、その中には人生で得られる多くの教訓について、そしてイエス・キリストの福音について彼女なりの言葉でつづられています。

人を信じること

アンネは人を信じ、人の良いところを見ようとしました。これは彼女が狭い場所に他の7人の住人と一緒に隠れている時に、幾度となく学んだ教訓でした。この経験やユダヤ人への残虐行為にもかかわらず、彼女が人の中に見い出そうとしたものは暗闇ではなく、光でした。

「色々なことがありますが、わたしは信じます。人の心は本当は善良だということを。」

ディーター・F・ ウークトドルフ管長はこのように言いました。「十分に探すなら,どんな人にも,またどんなものにも,良いところと悪いところのどちらも見い出すことができます」(2011年当時)ですから、良いところを見る方がいいと思いませんか?

人の多面性についての引用

思いやり

アンネは人に信頼される人になるべきだと考えていました。彼女は思いやりの心がもたらす力を信じていました。

「長い目でみれば、一番力のある武器は思いやりと優しさだと思います。」

それは複雑なものでも目立つものでもありません。それは勇気ある行動のように称賛を集めたり、人目を引くことではありません。しかしそれは世界を変えたり、人生の波を少しずつ変えることができます。ジョセフ・B・ワ―スリン長老は、思いやりという美徳についてこのように話しました。

「思いやりは,偉大さの本質であり,これまで出会った立派な人々が皆持っていた特質です。思いやりは扉を開く鍵であり,友情を築きます。また,心を和らげ,生涯にわたる関係を作り出します。」

思いやりについての引用

あなたがたの光を輝かしなさい

隠れて生活する間でさえも、アンネ・フランクは日記を通して自分の光を輝かせました。彼女は生前、自分の言葉が人々の人生を変える様子を見ることはありませんでした。しかし彼女の言葉の影響力は変わらぬ事実です。

「たったひとつのろうそくが暗闇に屈せず、明るく照らす様子を見てください。」

戦争や差別が生み出す暗闇に翻弄されながらも、彼女がそれに屈することはありませんでした。聖典の中にも自分自身の光を輝かすことについて何度も書かれています。マタイ5章16節には「そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かし、そして、人々があなたがたのよいおこないを見て、天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい」とあります。世の中には暗闇が迫りきて、時としてアンネの時代のように暗闇が勝利を得たかのように見えますが、わたしたちは光を輝かせる使命を担っています。トーマス・S・モンソン大管長はこのように説明しています。

「これらは、わたしたちを世の大多数の人々とは違う者にするだけでなく、ますます暗くなる世を照らす特別な光と霊をわたしたちに与えてくれるのです。」

自分の価値を知る

アンネは人間以下の扱いを受け、個人の権利をはく奪され、命をも奪われましたが、自分の価値を忘れることはありませんでした。

「誰もが良い素質を持っています。すばらしいことに、わたしたちは計り知れないほどの可能性があるのです!どれだけ深く愛することができるのか!どれほどのことを達成することができるのか!自分の可能性を知らないのです!」

様々な説教、運動、そして若い女性のスローガンまでもが個人の価値に重点を置いています。教会の指導者たちはそのことについてよく説教しますし、聖典の中でも教えられています。マリオン・G・ロムニー長老はこのように話しました。「主ご自身が述べておられるように、人 に永遠の生命をもたらすことこそ、神の無上の御業であり、栄光なのである。」

希望を持つ

希望について理解している人がいるとしたら、それは1940年代のナチス占領下にいたユダヤ人です。アンネはこのように書いています。

「希望のある所には人生があります。それはわたしたちに勇気を吹き込み、また強くしてくれます。」

希望は福音の柱の一つであり、わたしたちがよく理解するべき原則です。柱には信仰、希望、慈愛があります。慈愛はその中で最も偉大なものかも知れませんが(アンネが慈愛について書いた一節です。「与えることにより貧しくなる人は一人もいません」)、希望も同じように大切です。それは困難な時に乗り越えられる力を与えてくれます。ウークトドルフ管長はこう述べました。「神と、神の慈しみ、神の力に対して希望を持つなら、難しい状況の中で勇気を得、気持ちを新たにすることができます。」(2008年)

アンネ・フランクは今とは異なる時代、世界、そして環境に育ちました。彼女は異なる宗教を信仰していました。それでも彼女は物事を明確にとらえていました。自身が信仰していないにもかかわらず、福音の土台を理解していました。わたしたちは彼女に対する感謝の気持ちを抱いたり、その言葉から少しでも学ぶことができると思います。

この記事はもともと Allison Weberによって書かれ、MORMON HUBに投稿されました。