わたしは買い物で失敗したことが何度かあります。例えば、お金に余裕がないのに新商品のお菓子を次々と買って食べていたら、お金がなくなるだけでなく太りました。セールに釣られて買った服は、家に帰って改めて着てみたらそんなに似合わないと感じ、タグを切らないまま数年間クローゼットに掛かかりっぱなしということもありました。神様はわたしたちを愛しておられ、成功してほしいと思っているはずなのに、なぜわたしたちは失敗をしてしまうのでしょうか。わたしと似た経験をしたことがある方は、失敗する意味をうすうす気づいているのではないでしょうか?


失敗は神の計画の一部

新約聖書のローマ人への手紙8章28節にはこのようにあります。「神は、神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、わたしたちは知っている。」わたしたちに起きるすべての出来事は、わたしたちのためであるということです。例えそれが失敗の経験であっても、それはわたしたちのためになるのです。

また、エテル書12章27節には、「もし人がわたしのもとにくるならば、わたしは彼らに各々の弱さを示そう。わたしは人を謙遜にするために、人に弱さを与える。……もし彼らがわたしの前にへりくだり、わたしを信じるならば、その時、わたしは彼らの弱さを強さに変えよう」と書いてあります。人にある弱さは謙遜さを思い出すためで、謙遜になり神を信じ努力するなら、弱さは強さに変えられます。わたしたちの失敗は、学び成長する機会となるためです。


失敗からの成長

買い物の失敗を繰り返したわたしは、使ったお金が無駄であったということと、自分の健康が危うくなってきたことに気づき、今それがわたしに必要なのかを考えて買い物をするようになりました。それによって、無駄買いも買い食いも大幅に減り、体の不調が改善され始めました。ほかにも、イライラして家族に当たってしまい、相手に不快な思いをさせたり無理をさせたりした経験があります。何より、自分の態度のせいで家族を傷つけた後の自己嫌悪の時間が本当に苦しかったです。

そんな自分がとても嫌だったので、平常心の時にイライラしている自分を客観的に振り返り、原因を探しました。そしてなるべくイライラの原因が起きないように、時間や体調を管理する努力をしました。そうすると、いらだちを完全に克服したわけではないですが、その回数は減りました。さらに、イライラする時間をできるだけ短くできるようになりました。失敗は辛く苦しく、できれば思い出したくもないことがありますが、きちんと向き合い認めることで、同じ失敗を回避することができるようになります。


失敗は成功のもと

繰り返される失敗から、大きな成功が生まれた例が世の中にはたくさんあります。その一つが3M社のポストイットです。1968年、3M社の研究者だったスペンサー・シルバーは、強力な接着剤の開発をしていました。しかし、試行錯誤してできたものは、しっかりと接着するのに簡単にはがれてしまう接着剤でした。これは失敗作でしたが、シルバーは何か有効に使えると思い、周りの人にこの結果を共有しました。1974年、同じく3M社の研究員だったアート・フライが、教会の聖歌隊で賛美歌のページをめくった時に、挟んであったしおりが落ちたのを見て、「シルバーの失敗作のあの接着剤を使えばいい」とひらめいたのです。

そこからも苦労の連続で、製造機の開発が進まず、やっとできあがった商品には誰も見向きもしませんでした。それでもあきらめずに努力し続けた結果、この便利な新商品は人気になり、1980年に全米で発売されました。翌年には日本でも発売しましたが、アメリカのような結果は生まれませんでした。その後、附せんのように細い形に変えたところ日本でも大ヒットし、現在では当たり前のように事務作業や勉強に使われるようになりました。(3M ポスト・イット®︎ノート不屈の魂が生んだ世界のオフィスの必需品)「どうせこれは失敗だ」と努力することをやめていたら、生まれなかった成功です。


失敗しても立ち上がる

失敗はそれで終わりではなく、そこから新たに始まるきっかけとも言えます。十二使徒のディーター・F・ウークトドルフ長老は次のように言っています。「わたしたちの行く末は、つまずく回数ではなく、立ち上がりちりを払い、歩みを進める回数によって決まるのです。……再び起き上がって……失敗から何かを学び、その結果としてよりよく、またより幸せになれます。」神は失敗から学び、経験をすることで成功することを望んでいらっしゃいます。辛く苦しい経験も、きっとこれまでの自分よりもレベルアップできる機会となります。もし失敗を恐れて挑戦することをためらっているなら、また失敗して落ち込んでいるなら、失敗も神がわたしたちに望む成功と成長への、大事なステップだということを思い出してみてください。