この記事はもともとLDSリビングによって投稿されたものです。
ジェーミー・アームストロング
今年、何百万もの子供たちが、世界中のサッカーやフットボールのフィールドで、バスケットボールのコートで、そして野球の内野でのスターとしての活躍を目指して夢を追いかけていくでしょう。では、わたしたちはどうやって意欲的なアスリートが、最高の勝利のスリルや、または厳しい敗北の痛みに寛大に向き合えるように助ける事ができるでしょうか?
3人のモルモン教の伝説のアスリート、野球のスター、デール・マーフィー、オリンピック金メダリストのピーター・ヴィッドマー、そしてバスケットボールの偉人サール・ベイリーが、自身が子供たちに、スポーツにおいて、また人生という名の試合において潔い人になるために教えている方法を紹介します。
5千万以上の青少年たちが、毎年それぞれのスポーツに参加していますが、試合を楽しむ事ではなく、勝ち負けにこだわることに固執するような社会のなかでは、両親にとって子供たちが得点表ばかりを気にするような苛酷な態度を身につけてしまうのを防ぐことは、とても難しいことです。では、わたしたちはどのように自分の子供たち(時には他の子供たちも)に、勝つ事がすべてではないと言い聞かせる事ができるでしょうか?これらはそれを助けることができる10のコツです。
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模範を示す
誰しも、熱心すぎる母親や父親たちが、子供のスポーツイベントの真っ最中に叫んだり、コーチ、審判や観客たちと暴力的な騒々しいけんかをはじめたりするような恐ろしい話を聞いた事があるでしょう。親が子供に潔いプレーヤーまたは観客になることを教えるためには、親がまず始めにその模範になる必要があります。
“親として出来る最高のことは、模範を示す事です。” と、サール・ベイリーは言います。“子供たちは見る事を模倣するものであり、不幸な事に、両親は子供たちの試合を見ているとき、しばしばスポーツマンシップの最悪の模範になってしまいます。”もしあなたが、自分の子供にかんしゃくを起こしてほしくないなら、アスリートたちやコーチたち、そして審判たちを激しく責め立てたり非難したりしない方が賢明でしょう。もちろんこれは、あなたが快適な家の中で試合を見ている場合も同様です。もしあなたの子供が、あなたがテレビに向かって怒鳴っているのをみたら、彼女はそのような言動はフィールドやスタンドにおいて許容されるものだと学んでしまう可能性があります。同時に、彼女は自分自身の試合中にもあなたが同じようなリアクションをすることで、自分に恥をかかせるかもしれないと心配するかもしれません。
スポーツは、賛成はできなくても相手を尊重することを子供たちに教える機会を多く与えてくれます。しかし親たちが理性を失ってしまうと、子供たちの、フットボールのフィールドやホッケーのリンクにとどまらないその意義ある学びを奪ってしまう可能性もあるのです。事実、エキスパートは、スポーツのフィールドで他人を尊重できない子供たちは、ほかの状況下でも似た言動をとる傾向があると語っています。反対に、良いスポーツマンシップを行動にうつす子供たちは、コートの中でも外でも尊敬の意をもって人に接する事が出来ます。
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横から見る
子供を試合に送り届けて、後でどうだったかを聞くよりむしろ、傍から観戦する努力をしましょう。そうするときは、良いプレーだったときにどちらのチームの選手であっても声援を送るようにしてください。こうすることで、子供たちにスポーツとは楽しみながら成長する事であって、勝つことがすべてではないと教える事ができます。そしてコーチや役員たちに試合後に感謝を示すのを忘れないでください。これは選手たちだけでなく、ほかの両親にとっても良い模範となります。
両親といえば、相手チームの両親とも親しくしましょう。彼らは敵ではないのです。それから、コーチたちは多くの場合ボランティアだということも覚えておいてください。“彼らの、あなたの子供のチームに対する時間の犠牲と決意は尊敬され、感謝されるべきです。”とマーフィーは言います。もしコーチの経験がそれほど豊富でなくても、両親はそのコーチのやり方を批判したり新しい提案をするまえに長い時間をかけてよく考えるべきだとマーフィーは言います。どうしてもそうしなければならないなら、一日か二日待ち、個人的に話をするようにしましょう。子供の前では絶対にしてはいけません。
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試合前に戦略を練る
戦略を練るのは、決して若い人たちの役目ではありません。実際のところ、リトル・リーグでもワールド・シリーズでも、戦略を練っておくことは、白熱した戦いのなかでパフォーマンスをするにあたってすべての命運をわけると言っても良いとスポーツ心理学者のロン・チェンバーレインは語ります。“人々が理性を失ったとき、彼らは同時に論理的に考え、良い選択をする能力をも失います。”と彼は続けます。“もしあなたが考え方を変える事ができれば、行動パターンも変える事ができます。その能力を失う傾向があるなら、相手はそれにつけ込む計画を既に開始しています。”これはベイリーが彼の子供たちに使うのと同じ方法で、彼自身がバスケットボール歴で経験しつづけてきたことでもあります。“いつも、「僕はばかな事をして自分自身やチームメイトを傷つけたりしない。」と自分に言い聞かせます。”と彼は言います。“かわりに、その怒りのエネルギーを、チャンネルを変えてなにかポジティブなことに変え、対戦相手は自分のバスケットボールのスキルで懲らしめるのです。怒って殴り掛かると、チームを傷つけることになります。何かに対して反応するとき、その結果は何なのか考える必要があります。”あなたの選手が、物事がうまく行かないからといって理性を失うのを防ぐ最高の方法のひとつは、試合が始まる前に作戦を練っておくことです。もしあなたの子供がまだ幼いなら、勝ったらどんなに嬉しいか、また負けたらどんなに悔しい気持ちになるかを話し合います。そして、彼が結果に関わらず、試合の後に言える、勝ってほくそ笑んだり、負けて不機嫌になるのを防げる一言を考えておきます。単純な一言、「良い試合だった」や、「君のチームはすごく強いね」といったものが、子供が興奮していても親切になることを助けてくれます。
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子供の負けを認める
両親は、無意識に子供の成功を願うものです。もちろん負ける事はあなたとあなたの子供、どちらにとっても心が痛む事ですが、それは彼らの人生に必要な処理能力の発達のためには必要な事です。エキスパートによると、子供の頃に失敗を経験しなかった子供たちは、自己統制の発達に多くの問題が生じるそうです。
それに加えて、自尊心の大切な構成要素は、失敗とどう向き合っていくかです。もしあなたが子供を失敗から守ってしまうと、あなたは彼らの学びの機会を奪うことになり、将来挑戦する事を避けるようになってしまうかもしれません。失敗することは人生で避けられないことですが、ピーター・ヴィッドマーによると、失敗はアスリートがチャンピオンになるのに不可欠な役割を果たすと言います。“素晴らしいアスリートは失敗の上に成り立ちます。”と彼は言います。“わたしたちがもっと良いパフォーマンスをしようとするとき、失敗はつきものです。しかし、それらには価値ある教訓がついてくるものです。わたしたちは自分自身にこう尋ねるべきです。「この経験から何を学べるだろうか?どうしたらもっと良くなるだろう?」こういった分析はスポーツだけでなく、人生のあらゆる局面で助けになります。”
子供たちに勝ってほしいと願う一方で、彼らが負けたことに対していらだつのは全く別の話です。“両親やコーチにとって、子供たちが失敗してもいい環境を作り出してあげることはとても大切なことです。”とマーフィーは言います。“子供たちにとって、素晴らしいプレーが出来なければ怒鳴られたり、からかわれたりすると怯えながら試合にのぞむ事は有害です。継続的なマイナスのフィードバックは、子供の練習したいという気持ちをそいでしまいます。”
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言い訳をしない
とても難しいことではありますが、両親は子供たちに失敗を許すだけでなく、彼らが失敗したとき、その責任を取らせなければなりません。割りいってなぜ失敗が起きてしまったのかの理由を提案したいという誘惑に打ち勝ってください。あなたの子供の敗北を(あなた自身の地域のゴルフトーナメントでの敗北であっても)、説明してあげることは、アスリートに多大な危害を加えます。道具や天気、コーチ、チームメイトや対戦相手のせいにすると、子供たちに負けることは恥ずかしいことで、言い訳を探さなければならないのだと教えてしまいます。“時々、アスリートたちが勝てなかったり、思ったほど良いパフォーマンスができなかったりすると、役員たちや対戦相手、またはコーチたちのせいにしたりする人がいます。”とロン・チェンバーレインは説明します。“多くの両親がこういった言動をとってしまいますが、この言動は子供たちに「人生でうまくいかないことにはいつも言い訳がある」と教える以外なんの役にもたちません。”
スポーツでの負けに対する言い訳作りは、のちのち仕事での悪い成績や能力不足に対する言い訳へとつながってしまう可能性もあるので、両親は子供たちが彼らの失敗を自分自身で認められることを許す方がずっといいのです。“いいチーム、いい選手は試合を正直に、責任を持ってみることができ、次はもっと良いプレーをしようと努力する事もできます。”とマーフィーは言います。“最高のチームは彼らの失敗を認め、敗北のあとで調整をするものです。”