家族と信仰

家族と信仰に関するこの記事は、宗教の価値について書いた5つの記事のシリーズ中3番目の記事です。

モルモン教の聖徒たちは、家族の生活における素晴らしい章である、出生、育児、そして結婚に神聖な意味を確立します。” 

W・ブラッドフォード・ウィルコックス

現代の社会は、その発展と可能性にもかかわらず、先の展望が見えずにいます。どんな時代も、その盲点と戦っていかなければなりません。例えば、古代ローマでは一人の人間の影響力は、100年ほど続きました。その100年の間に、その時代の人々は二世代前のことを覚えつつ、二世代後のことを気にすることもできたのです。それから、その慣習が続くにつれて、その影響は弱まり、新しい人々や新しい悩みとともに明ける新しい世紀が全てをリセットするようになりました。しかし、いつまでも続く社会には、より広い視野が必要です。

現代がわたしたちを引き付ける力はとても強いものですが、過去と未来も同様です。現在という時間の軸、そして今この場所を超える、わたしたちにとって最も大切な二つの橋である家族と信仰は、過去にも未来にも100年以上に渡り、わたしたちの生活の意味と目的を拡大します。

一人として、つまらない人間として生まれた人はいません。わたしたちはこの世界に、前世とのつながり、そして義務を負って来たのです。家族の関係性はわたしたちの世界観を形作り、価値観を教え込み、わたしたちのアイデンティティーを形成します。そして、どんな家族でも、何かを信じる人達のコミュニティーに参加すれば、力強く成長します。その利益は両方向に働きます。教会は家族を強め、家族は教会を強めます。この二つが合わさることにより、家族と信仰はそれぞれの善悪の基準を高め合い、隣人に愛を示し、子どもたちと両親たちが人生のチャレンジを経験していくなかでの基盤に対する支えを与えることができます。言い換えれば、家族と信仰は、わたしたちが孤独になることから遠ざけてくれます。これらはわたしたちが、自分自身以外のことにも責任を広げ、見知らぬ人と友達になることを助けてくれます。こうして家族はこの霊的、また社会的な強みを世代を超えて伝えていくようになります。

広範囲に及ぶ社会学の資料を集めてみると、メアリー・エバースタットは、そのなかでこの2つの力がどれほど緊密なつながりを持っているかを示しています。「家族と信仰は社会において見えない二重らせんのようです。」と彼女は言います。”ふたつのらせんが交わるとき、それは効果的に再生産することができますが、同時にその強さと推進力はお互いに起因しています。”

この結びつきは日曜に教会で見ることができます。エバースタットは、「結婚してから子供をもうけることは、より高いレベルの教会での活動や他の宗教的活動に結びつく」という家族の慣例に参加することに対する社会学的な賛成を指摘します。もうひとつの要因は、子供が両親の宗教的生活にもつ影響力です。社会学者であるW.ブラッドフォード・ウィルコックスはこれをシンプルに説明しています。「子どもたちは、両親を教会へ向かわせる動機になります。」これはよくある話です。教会の教えの中で育った子どもたちは、大学などのために家を離れ、信仰からも遠ざかりますが、結局結婚し、子供ができると教会に戻ってくる、という話です。この現象はどのように説明できるでしょうか?わたしたちが、最も深い信仰や最も近い関係について決断をするとき、それらは決してシンプルなものではありません。しかしウィルコックスは大切なポイントについてこう付け加えます。「子供が生まれるということは、今まで触れられて来なかった愛などの超越したものに気が付き、より良い人生への望みを呼び起こすことができます。」これらのことはとても大切なことです。なぜなら、家族と宗教は人間の最も基本的な社会構造のひとつだからです。これらが一緒になった時、これらは社会をつなぐことができます。反対に、この二つが離れてしまうと、社会は弱まってしまうのです。

この神聖な家族と教会の関係、教会と家族の関係はわたしたちと過去、現在、そして将来をつなぎます。この継続的な関係は、わたしたちがこの大きな宇宙の中で自分の位置を見つける助けとなります。わたしたちは、自分自身が何者であるかを見つけることができるのです。詩人のウェンデル・ベリーはこういった大志についてこのように表現しています。「ふたりの恋人の結婚はお互いをお互いと、子孫と、社会と、そして天国と地上とに結びつけるものである。これは基本的なつながりであり、これなしには何事も成り得ない。」

家族と信仰がもたらす宝は、歴史上で見られるように遠のき、流れゆくものです。しかし、経験はこれらが共に動き続けるものであることを語ります。ひとつが立ちあがるか落ちるかすれば、もうひとつもそれについていきます。歴史の行く道は予見できるものではありませんが、選べるものです。そしてそれらの選択は長い軌跡を残します。その影響はきっと100年以上に及ぶでしょう。

この記事はモルモンニュースルームに掲載されたものです。