銃で顔を撃ってしまったモルモン教の男性ブライアン

銃で顔を撃ってしまったモルモン教の男性ブライアン

ブライアンとの出会い

 

私がブライアンに会ったのは、ユタ州立大学に編入する少し前のことでした。以前、日本に交換留学生として共に若い女性のグループに集った女の子(ナタリー)が、私の地元のワードをひと夏、だんなさんと訪れていました。その旦那さんがブライアンです。その当時、私は大学の寮に住むか、近くの家等に住むかとても悩んでいました。するとブライアンが、きっと自分の両親がホストファミリーとして、しばらく私を泊めてくれるだろうと申し出てくれました。知り合いがいなく不安に思っていた留学先で、このようなつながりを頂き、とても心強く思えました。ブライアンの家族には1学期間ほどお世話になりました。

 

人生最大の変化

 

ナタリーがある年に、結婚の案内状をワードに送りました。そのカードが掲示板に張られた時に、カード上の婚約者の顔を見て、あれ?顔が見ずらく何か違うなと思ったのを覚えています。その理由は後で分かりました。ブライアンは13歳の時に、家のたんすの中にあった狩り用の銃を見つけ、自殺を試みました。(ブライアンについての多くの記事やニュースの動画では、これは事故だったと報道されています。しかし、現在では自殺未遂であったことを周りの人にも知ってほしいと本人は望んでいます。)その弾丸はあごと舌を突き抜け、ブライアンの鼻を飛ばしました。クローゼットの中でブライアンはよろめきました。口が失われていたので叫ぶこともできませんでした。最悪の状態でした。銃声を聞いた姉のマリーと兄のブレネンがかけつけました。マリーが救急車を呼んでいる間に、ブレネンはタオルで何とか止血しようと試みました。両親は救急車と同時に家に帰宅しました。

 

父親であるリーは、「今までずっと子供を守ろうと必死だったのに、こんなことになってしまった。自分では何も助けてあげられないという、人生の中で最悪の瞬間だ」と思ったそうです。母親のザンは、「家の周りに不審者がいたので、子供たちをその銃で守りたかったけれど、その代わりに、子供の一人をもう少しで失うところだった」と話しました。

 

療養生活と回復

 

ブライアンはヘリコプターでソルトレイクにある病院に運ばれました。そして、そこで一カ月を過ごしました。姉の鼻の形に合わせて、鼻をシリコンで作ったり、ブライアンのろっ骨を使って、顔の枠組みを作ろうとの試みが行われました。帰宅当時は、ブライアンの体にはあらゆる管やワイヤーが付けられていて、バンドエイドを変えたり、全ての機械がちゃんと動いているのかを確かめることが必要でした。ブライアンは少し話せましたが、理解しにくかったので、独自の手話で家族と交流しました。弾の影響で目のくぼみの位置が少し変わったために、ブライアンは複視にも悩まされました。フロリダにいるあるお医者さんにより、ブライアンの顎が少し回復され、いつもよだれが出るのを防ぐことができました。体のあちらこちらから皮膚と骨を使い、20回以上の手術が行われました。でもまだ唇は無く、口を閉じることはできませんでした。

 

ブライアンが紙に、鏡で自分の顔を見たいという時に、家族は困ったと言います。でも、ブライアンは自分の変形した顔を見てもへっちゃらな感じだったと言います。これは現実に起きたこと。でもこれが自分を制限するべきではなくて、前へ進まなければいけない。自分の感情は自分で選べると感じていたそうです。ブライアンの前向きさはお医者さんたちにも伝わっていて、お医者さんたちにも勇気を与えました。ブライアンは前よりも社交的になったと言います。自分から他の人に話しかけることができるようになったそうです。僕の顔が嫌なら、それはその人の問題だと。僕は失ったものも多いけれど、得たものの方が多いと言うのです。家族や親せきが前よりも親しくなったし、自分自身と人生についても学んだと言いました。余計な物事に集中せずに、人生を生きることに集中し始めたのです。

 

学校ではブライアンは優秀な生徒でした。バスケットボールも得意でしたが、それはあきらめて、ギターを弾くようになりました。友達がベネフィットコンサートを企画したり、多くの人がお金を募金したり助けの手を差し伸べ、治療費などを得ることができました。ブライアンが18歳になるまでにはブライアンの手術の回数は50回に達していました。そのために学校を一年休学しましたが、ブライアンは数学の微分積分学では学校のトップでした。その当時、大学のその分野のテストを20分で解いたほどです。

 

お店ではブライアンを見る子供たちは恐ろしくて、逃げたりしました。大人もブライアンの顔を見て驚かないふりをするのは難しいものです。でも、ブライアンは楽観的でユーモアがあります。レストランでは姉のマリーと喧嘩したふりをして、取れやすかった偽物の鼻をわざと落として、周りをびっくりさせたこともあり、そのようなことを楽しんだと言います。

 

モルモン教の宣教師としての奉仕

3回の手術を乗り越えモルモン教の伝道を果たしたブライアン

3回の手術を乗り越え伝道を果たしたブライアン

ブライアンは伝道に出たいという望みがありました。ブライアンのような境遇の人は、伝道に出なくても良いと言われています。又は、通常の布教伝道よりも、何らかのモルモン教の奉仕伝道に関わることができます。モンソン大管長は、ブライアンに関する記事を読み、その当時の伝道部門の会長であったハイト兄弟に電話をしました。ブライアンの宣教師になるための願書が出されていることと、ブライアンが通常の布教活動をする伝道に召されるべきであること、又ブライアンをよく世話してくれるであろう伝道部会長を見つけるようにと手配してくれたそうです。

 

ブライアンはカナダのバンクーバーで伝道しました。伝道初期の頃は自分のことを忘れて働くことが難しかったと言います。その理由の一つは、あごに感染症があったためです。ブライアンは3回ユタに帰り、手術を受けました。回復後は毎回カナダの伝道部に戻り、伝道することができたそうです。家々を訪問する際に、多くの人がブライアンの話を聞きたくて家に入れてくれたと言います。本人によると、人々はおそらくどのように僕が話すかに興味があったのだろうとのことです。

 

あるアジア人の女性は、通りでブライアンが自信を持って伝道する姿を見てハグをしたと言いました。その女性は台湾か香港で、体の不自由な人々のために働き、それらの人々が、家族から恥のように扱われていたのを知っていたので、ブライアンを見て感動したようです。その女性はモルモン教のメッセージに興味は無かったものの、その経験はブライアンにとって不思議なものだったと話しています。

 

伝道先で出会ったあるモルモン教の会員がブライアンに昨年メールしてきました。その会員は宣教師と一緒に戸別訪問をしたことを告げました。その時に彼らはある女性に会いました。彼女は10年前にブライアンが訪問してくれたことを告げました。その後ブライアンとモルモン教のメッセージについて考えていたと言います。彼らはその女性とまた会う約束は作ったものの、その人が健康上の問題で入院することになったので、その後は会えていないとの便りがあったそうです。ブライアンの伝道が種をまいていたのが分かります。

 

結婚

永遠の結婚をしたモルモン教のブライアンとナタリー

永遠の結婚をしたモルモン教のブライアンとナタリー

ナタリーとブライアンは2001年にモルモン教のインスティテュートのクラスで出会いました。ナタリーがブライアンに、あなたの顔に何があったの?と話し始めたのがきっかけでした。すぐに二人はお互いにひかれ合いました。ブライアンが苦しく思ったことは、ナタリーをキスすることができないことでした。ナタリーは、私はそんなこと気にしないわと言って、泣きながらお互いを抱きしめたそうです。二人は出会ってから9ヵ月後に、ローガン神殿で永遠の結婚をしました。

 

大学と就職

 

ユタ州立大学でブライアンは数学を専攻していました。時々私を送り迎えしてくれたこともありました。ブライアンと話すときに、彼が何と言っているのかを理解することが難しい時もよくありました。時には涙が頬をしたたる時もありました。それは感情的なものではなく、あの事故から起こる自然的なものだと教えてくれました。ブライアンは優しく、賢くてとても良い人です。

 

ナタリーとブライアンは、ブライアンの顔のせいで就職先が見つからないのではないかと不安に思っていました。でもデンバー州の再保険会社で、保険リスクと保険料を計算する仕事をもらえたのです。

現在はノースカロライナ州に本店を持つ再保険会社に勤めています。普段は家から働いていますが、年に3回は本社に赴いています。ブライアンはモデリングの副監督をしています。

 

父親として成長するブライアン

子供と成長するモルモン教のブライアン

子供と成長するモルモン教のブライアン

ブライアンには二人の大好きな子供がいます。子供が大きくなるにつれて、彼らへの愛が深まると言います。子どもたちが学んで、いろいろなことを理解していく姿がとても好きだそうです。大変なことは、子供たちが自分の顔のせいで重荷を負っていることです。聖餐会でブライアンがお話をした後、娘のパールは、子供のクラスで「あなたのお父さんが何を言っていたか何も分からなかったよ。」などと言われます。それはパールを難しい立場に置きます。そこでブライアンは、周りの子供たちがそうやって話すことは大丈夫なことだと伝えます。そして、そのような状況についてちゃんと話してくれるようにしていると言います。

 

復活についてのブライアンの見解

モルモン教ではイエス・キリストが復活して、現在も天で生きておられると信じています。キリストが復活したように、私たちも復活し、体が完全な状況に回復されることを信じています。(参照聖句アルマ書40:23)そこで、ブライアンに復活についてどのように考えているかを聞いてみました。ブライアンはあまり復活については考えないのだと言いました。僕たちが死んだ後にまた生きれるようになるのは素晴らしいことだと思うけど、次の世でどうなるかについては、あまり考えていません。自分の顔が元に戻るまでの人生が苦しいものだと感じていません。今の自分の人生を楽しんでいるし、これからも人生を楽しみ続けるのだとブライアンは話してくれました。

 

ブライアンの人生から、あなたは何を得ましたか?私はブライアンの人生に対する前向きな思考が好きです。本人は復活についてあまり考えていないようですが、私はいつの日かブライアンの体が完全な状態に回復されることを、ブライアンのために喜ばしく思っています。私たちは皆、イエス・キリストのおかげで復活します。イエス・キリストが全ての人の罪の代価を払ってくださったことを心から感謝しています。

 

参考記事(英語):

デゼレトニュース

デゼレトニュース2

HJニュース