末日聖徒イエス・キリスト教会(以前はモルモン教と呼ばれていた)は、家族をとても大切にしています。家族を大事にするのは、「家庭が良いと社会も良くなる」というだけではありません。もっと根っこには、「人は神様の子どもで、人生には目的がある」という信仰があります。この記事では、この教会の家族についての考え方と信条を紹介します。

「家族—世界への宣言」

この教会の家族観を紹介するためには、「家族ー世界への宣言」が欠かせません。これは、1995年にゴードン・B・ヒンクレー大管長と大管長会、そして十二使徒が公式に発表した宣言です。ここには、家族に関する教会の教えの基準があり、今でも繰り返し引用されています。

男女の間の結婚は神によって定められたものであり、家族は神の子供たちの永遠の行く末に対する創造主の計画の中心を成すものであることを、厳粛に宣言します。

つまり、末日聖徒はただ「家族は大切」と思っているだけではなく、家族は神様の計画の中心だと信じています。

家族は「神様の子ども」という理解から始まる

この宣言では、人は偶然の存在としてではなく、神様に愛される存在として書かれています。

人は皆、天の両親から愛されている霊の息子、娘です。

この一文は、末日聖徒の家族観の土台です。教会員は、親子・夫婦・兄弟の関係を「ただの相性」や「法律上の関係」だけで捉えません。互いを尊ぶ理由が、同じ神様の家族に属する存在という理解にあるからです。

だからこそ、うまくいかない時も切り捨てるより、「回復・和解・成長」を大事にしようとします。

もちろん安全が脅かされる状況は別で、教会では虐待などの行為を厳しく警告しています。

教会は、いかなる形の虐待も許容しない立場を取っています。配偶者や子供、ほかの家族や人々を虐待する人は、神の律法と人の法律に背いています。     総合手引き38.6.2

末日聖徒イエス・キリスト教会では、先祖について調べると、家族の絆を強める事ができると信じている
画像:末日聖徒イエス・キリスト教会

家族は「今だけ」ではなく「永遠」という希望

末日聖徒イエス・キリスト教会の教えを特徴づける考え方の一つが、家族の絆は死で完全に終わるとは限らない、という希望です。

神の幸福の計画は、家族関係が墓を超えて続くことを可能にしました。…また家族として永遠に一つとなることを可能にするのです。

ここでのキーワードは「墓を越えて」と 「永遠に一つとなる」です。末日聖徒にとって家族は、人生の「大切な思い出」だけでなく、神様が与えようとしている「未来」でもあります。

その希望を支えるものー神殿と結び固め

末日聖徒イエス・キリスト教会では、神殿をとても神聖に、そして大切にしています。その理由の一つは、家族の救いが関係しています。

神殿を重んじる理由の一つは、家族の救いと関係しています。教会では、家族を永遠に結ぶ権能をこう呼びます。

家族を永遠に結びつける権能は、「結び固め」の力と呼ばれます。 「神殿の結び固めについて」より

神様は家族を永遠の関係にすることが可能です。そして、そのための神聖な約束(聖約)と儀式を備えたと信じています。その儀式は神殿で行われています。ですから、末日聖徒は定期的に神殿に行き、家族のために儀式を受けます。

さらに、この家族は今の家族だけではなく、自分たちのルーツとなる先祖達やこれから生まれてくる子孫も含まれています。そのために、末日聖徒たちは家族歴史を行い、自分の先祖について調べて知る活動をしています。

これは先祖の救いのため、遠縁の親戚の発見、また家族が世代を越えて永遠に結ばれるためのものですが、今を生きている自分が何者かを知り、好きになるプロセスにもなります。

家族の教えは「道徳の話」で終わらず、「救いの話=人生の最終目的の話」につながっていきます。

親の責任:愛と義のうちに育てる夫婦は支え合う

「家族ー世界への宣言」では、親が子どもを育てる責任を実にはっきりと述べています。

両親には、愛と義をもって子供たちを育て、物質的にも霊的にも必要なものを与え、また互いに愛し合い仕え合い、神の戒めを守り、どこにいても法律を守る市民となるように教えるという神聖な義務があります。

末日聖徒イエス・キリスト教会が家族を大切にするのは、一般的な子どもは社会の宝という感覚とも重なりますが、それ以上に、子どもは神様から託された存在として見ています。

ですから家庭は、ただ暮らす場所ではなく、愛・赦し・責任・奉仕を学ぶ「学校」のような場所となるように努力します。

理想は高いですが、同時に失敗してもやり直せるという、悔い改めと赦しというキリストの教えの中心も、家庭の中で生きているのです。

また、この教会の家族に関する教えの特徴のもう1つが、夫婦関係です。「家族ー世界への宣言」に以下のように明記されています。

  • 夫婦は、互いに愛と関心を示し合うとともに、子供たちに対しても愛と関心を示すという厳粛な責任を負っています 。
  • 夫と妻、すなわち父親と母親は、これらの責務の遂行について、将来神の御前で報告することになります 。
  • 父親と母親は対等のパートナーとして互いに助け合うという義務を負っています 。

家族中心の福音

歴代の大管長は、いつもその時の教会員たちに家族についてのメッセージを伝えていました。

2025年10月の総大会で、第18代大管長のダリン・H・オークスは、教会の教えの中心が家族であることを、教義として明言しました。

末日聖徒イエス・キリスト教会の教義は、家族を中心としています。…イエス・キリストの教会は、家族を中心とする教会として知られていますが、実際にそうです。 神とわたしたちとの関係や現世の目的は、家族という観点から説明されます。     「家族を中心とするイエス・キリストの福音

オークス大管長は、家族が「大切な価値観」というだけでなく、人生の目的そのものが家族という言葉で説明される、とも話しています。

つまりこの教会では、神様の救いのメッセージである福音は、個人の心の平安だけでなく、家族を永遠にする希望へつながる、と信じています。

永遠の家族は、それぞれの努力と互いへの思いやりとキリストの助けで実現できる

不完全な家庭にも希望がある

ここまで読むと、「理想が高すぎる」「家庭に問題がある人はどうなるの?」と思うかもしれません。

オークス大管長は、すべての家庭が必ずしも同じではなく、離婚・死別・分離などの現実に触れています。

自身も父を幼くして亡くした経験を語りながら、主の助けがあることを強調します。たとえ家庭が今不完全でも、神様はあきらめず、回復と将来の祝福へと導いてくれるのです。

これが末日聖徒イエス・キリスト教会が家族について信じていることです。

まとめ

末日聖徒は、家族は神様によって定められ、神様の計画の中心にあると信じています。また家族の絆は、神殿の聖約によって永遠とすることができます。親や夫婦の責任は重いかもしれませんが、キリストの助けでいつまでも成長し、関係が改善できることを知っています。

もしこの記事が、あなたが「家族って何だろう」と考える小さなきっかけになったなら嬉しいです。

また、機会があればぜひ実際に教会員の家族と触れ合ってみてください。教会の活動や礼拝に参加することもおススメします。