宗教的信念が、アメリカ人の道徳的善悪に影響を与えることは当然のことです。ギャラップ(世論調査及びコンサルティングを行っている企業)は、どの宗教に所属しているかによって、道徳問題に関する人々の立場が明らかにされるという、新しい調査(英語)を発表しました。

調査は、堕胎、離婚、同性愛、医師による自殺ほう助、非嫡出子の出産などの一連の道徳問題について詳しく調べました。

中絶反対の立場をとるモルモン教徒、プロテスタント、そしてカトリック教徒と、自由主義の立場をとるユダヤ教徒と無宗教の人々との間に大きな違いが見つかりました。

堕胎の問題において、モルモン教徒は堕胎を「道徳的に許す」可能性が最も低く、その割合は18%を占めました。続いて、プロテスタントが33%で、カトリック教徒が38%でした。一方ユダヤ教徒は堕胎を許す可能性が最も高いことを示す76%でした。

世論調査から見えてくるもの

ギャラップの報告:

ユダヤ教徒と無宗教の人々では、堕胎、医者による自殺ほう助、同性愛、およびクローン動物に関する倫理観は、実質的に同じ見解を持ちます。ユダヤ教徒が非嫡出子の出産を道徳的と受け入れる可能性は無宗教のアメリカ人よりやや少なく68%で、それに対し無宗教のアメリカ人は80%でした。

モルモン教徒、プロテスタント、およびカトリック教徒は、堕胎、医者による自殺ほう助、クローン動物を、道徳的に受け入れられないと信じています。モルモン教徒は、堕胎、同性愛、医者による自殺ほう助、および非嫡出子の出産に関して、プロテスタントやカトリック教徒よりもより保守的ですが、クローン動物に関してはそうではありません。

ギャラップは2001年以来連続して、3つのグループに分けられる16の問題を調査に付け加えました。

1:複数の宗教グループ間の意見の相違する事柄

2: 米国の主な宗教のグループが広く合意する事柄、

3:モルモン教がその他すべてのグループと異なる点

 

ギャンブル(37%)、婚前交渉(29%)および幹細胞研究(46%)に関して、唯一道徳的に受け入れられない立場を示したのはモルモン教徒でした。プロテスタント、カトリック教徒、ユダヤ教徒および無宗教のグループは、この3つの件に関してはより自由主義ですが、ユダヤ教徒と無宗教のグループは最も自由主義でした。

2010年のピュー調査(アメリカにある、ピュー・リサーチセンターが実施した調査、英語のみ)で、宗教が人々の道徳的な考えに影響を与えることを正式に発表しました。キリスト教徒は、人の生命は神の姿に創造されたと教えられているため、キリスト教徒の大多数は、妊娠中絶反対運動に傾くことにつながっています。

ピュー調査はさらに次のように報告しました:

堕胎の問題に関して、全体の26%は、宗教は自分の意見に対して最も重要な影響力と話し、その中に堕胎反対者の45%が含まれます。

合法的な堕胎を支持するたった9%は、宗教は自分の意見に影響を与えていると言いました。

死刑に対する考え方について、19%は宗教の影響力を感じ、貧困対策に対する考え方については10%、移民問題に対しては7%、環境問題に対しては6%という結果から、宗教は他の激しい政治問題と比べて、堕胎に関する考えに、より大きく影響を与えています。

文化的変革、調査員がインタビュアーに話すことの相違、人口統計の変化とその他の要因と関係があるのかもしれませんが、宗教を持たないアメリカ人の増加を受けて(英語)アメリカ人はさらに自由主義の考え方へと傾いていく可能性が非常に高いでしょう。

モルモン教会の道徳問題に関する立場

堕胎
「会員は、堕胎手術を受けたり、施したり、手配したり、その費用を支払ったり、それに同意したり、それを勧めたりしてはならない。例外と考えられる可能性があるのは、次の場合だけである。

  1. 強姦または近親相姦によって妊娠した。
  2. 母親の生命や健康が重大な危機に瀕していると、資格ある医師が診断している。
  3. 胎児に重大な欠陥があって出生後生命を維持できないと、資格ある医師が診断している。」

非嫡出子の出産
「独身で妊娠している教会員は、ビショップのもとへ行くように勧められている。ビショップはその神権の職と召しによって、彼ら自身とその子供の福利に影響を与える重大な決断を彼らが下すときに、助言を与えることができる。...男性と女性が結婚生活によらずに子供をもうけたときは、二人が結婚するように、あらゆる努力をして彼らに勧めるべきである。年齢やその他の事情で、実りある結婚生活を送る可能性が薄い場合は、LDSファミリーサービスの協力を得て子供を養子に出すように、未婚の親に助言を与えるべきである。そうすれば、その子供は神殿に参入するふさわしさを備えた両親に結び固められる機会がある。...親になろうとしている人がその子供を育てると決心した場合、教会指導者およびその他の会員は、配慮と思いやりをもってその親子に接し、また親としての能力を伸ばすようにするべきである。」

自殺
「自分の命も含めて、命を取ることは間違っている。しかしながら、自殺した人がその行為について責任を問われない場合もある。このようなことは神のみが判断されることである。」

同性愛
「同性愛行為は、神の戒めを破ることであり、人の持つ性の目的に反しており、家族生活の中に、また救いにかかわる福音の儀式の中に見いだすことのできる祝福を人々から奪うものである。...教会は、同性愛行為に反対する一方で、同性に魅力を感じてしまう人に理解と敬意をもって手を差し伸べている。...会員が同性に魅力を感じるものの、同性愛行為を行うことはない場合、指導者は、純潔の律法に従って生活し、義にかなっていない思いを抑えようと決意している彼らを支援し、励ますべきである。これらの会員は教会の召しを受けることができる。彼らはそのほかのあらゆる点でふさわしく、資格があれば、神殿推薦状を持ち、神殿の儀式を受けることもできる。」

離婚
「男女は結婚するとき、結婚する相手と神に対して厳粛な聖約を交わします。その聖約を守り、結婚生活を守るために、あらゆる努力を払うべきです。離婚することになった場合、当事者には相手を非難するのではなく、相手を引き上げ、助ける義務があります。」

ギャンブル
「末日聖徒イエス・キリスト教会は、政府が後援する宝くじを含むあらゆる形のギャンブルに反対しています。教会の指導者は、形態を問わずあらゆるギャンブルの合法化および政府の後援に反対する人々と協調して、自分たちの地域での反対運動に賛同するよう教会員に奨励しています。」

 

この記事は、もともとスージーン・リーによって、LDS.netに書かれたものです。