聖書の始まりは、神がすべてのものを創造したことが書かれています。宇宙や地球、植物、生き物、そして人が順番に創られました。

多くのクリスチャンが知っている「天地創造」の話は、宇宙の起源に関係する多くの科学的な理論と矛盾していて、対立した主張のように見えます。
そして宗教も科学もお互いにこの矛盾を問題と感じているかもしれません。

では、末日聖徒イエス・キリスト教会は、どちらの立場を取っているのでしょうか?

進化論とは

多くの人に知られている「進化論」は、生物が生きる環境に適応していくために、ある部分が発達したり使わない部分が退化しながら、長い年月を掛けて進化してきたというものです。

遠い昔に存在していたサルが生き延びるために道具を使ったり、二足歩行となったりして人が誕生したとされています。

進化論とは

進化論を唱えた有名な学者はダーウィンですが、彼が行った研究の中には、今の科学からしたら時代遅れと感じる部分もあるようです。
科学は日々進歩していて、わたしたちの知らない部分がだんだん解明されていますね。

教会の見解

末日聖徒イエス・キリスト教会の公式ホームページにあるの記事「教会は進化論について何を信じているのか?」には、このようにあります。

「教会は進化論について公式な立場をとっていません。生物の進化、つまり種が受け継いだ形質が時間とともに変化することは、科学的な研究対象です。進化に関する啓示は何も明らかにされていません。」

つまり、進化が真実であるかどうかは、この教会の教義には関係ないんです。

そして科学と宗教の対立は神様は望んでおられず、それは人の間に生まれた問題だと過去の指導者の言葉があります。

科学と宗教の間に対立はあるのか?神の心には対立はないが、人の心にはしばしば対立がある。

ジョセフ・フィールディング・スミス

天地創造とそこから学べること

天地創造とは、聖書の最初にある、神様がすべてのものを6日で作られたという話です。

天地創造1日目2日目
天地創造4日目5日目
天地創造6日目7日目

 教会HP「創造物に敬意を表し、創造主を褒め称える」より

神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」。 

創世記1章26章

さらに聖書には、神はご自分に似せてわたしたちを創られたと書かれています。これは、わたしたちが神の属性を引き継いでいるということです。

神が持つ正義や愛を引き継ぐだけに限らず、わたしたちがいつか神のようになることができる、という希望を持つことができます。

宗教と科学の役割

進化論の真実が末日聖徒イエス・キリスト教会の教義に関係ないとはいっても、宗教と科学はまったく反対の立場にあるとは言い切れないかもしれません。

有名な物理学者アルベルト・アインシュタインも、宗教と科学はそれぞれが異なり、互いに補完的な目的を持っていると信じていました。

科学は事物が何であるかを突き止めることができるだけで、それがどうあるべきかを突き止めることはできない」と彼は記しています。「〔科学の〕力が及ばないところでは、依然としてさまざまな道徳的な判断が必要です。

アルベルト・アインシュタイン、”Science and Religion,” ケン・ウィルバー, “Quantum Quesions: Mystical Writings of the World’s Greatest Physicistes” (1984年)より

科学ではまだ解明されていないことがたくさんあります。この地球は、不思議と奇跡の集まりです。

そんな不思議と奇跡を理解する仮説や真実は、科学を学ぶことで分かる部分もあります

例えば、恐竜の存在です。

聖書に書かれていることだけから考えると、こんな疑問が湧いてきます。

「恐竜は人間が出現するはるか以前に、この地球上で生きて、死んだのだろうか?」

この質問に対する神様からの啓示はなく、科学的根拠は「イエス」です。

アダムとエバより前にこの地球で何が起こったかについては、わたしたちの教義にとって重大なことではありません。

聖書に書かれている天地創造の話は、具体的なプロセスや期間、出来事について科学的説明をするためのものではありません

わたしたちにとって大切なのは、神様がわたしたちのための計画の一つとして地球を創造し、アダムとエバを創造したということです。

アダムとエバはわたしたちの最初の両親です。エデンの園から追い出されましたが(堕落)、その結果私たちは地上に生まれて、神様の計画に参加できるようになりました。(ジェフリー・R・ホランド「憐みと愛の神の恵み」参照)

ある聖句には、この世に起きる不思議と奇跡が、神が存在する証だと書かれています。

あなたの前に聖文がおいてある。まことに、万物は神がましますことを示している。まことに、大地も、大地の面にある万物も、大地の運動も、また各々整然と運行しているすべての惑星も、それらのすべてが至高全権の創造主がましますことを証している。

アルマ書30章44節

きれいな朝焼けや満点の星空などを見て、何か大きな力を感じたことがある人もいるでしょう。わたしたちはそこから神様の存在を感じています。

神を信じる科学者の存在

世界的に有名で、今では多くの人が当たり前と思っている科学の理論を唱えた科学者たちの多くは、神様の存在を肯定しています。

国連の1つの調査で、過去300年のうちに大きな業績をあげた世界中の科学者300人のうち、8〜9割が神を信じていたとあります。(三田一郎 「科学者はなぜ神を信じるのか」2018 p.3 参照)

以下に紹介する3人は神を信じていた科学者たちの例です。

アイザック・ニュートン 

彼はプロテスタントの家族に生まれました。物理学者でしたが、神学関係の論文の方が多かったと言われています。とても熱心なキリスト教徒でした。

「美しい天体は知性を備えた強力な実力者の意図と、統一的な制御があって初めて存在するようになったのである。…神は永遠であり、無限のお方だ。」

三田一郎 p.125

ガリレオ・ガリレイ

数学によって宇宙の仕組みを解明していきました。彼は、数学は神様が宇宙を説明するために使ったアルファベットだと考えていました。
なぜ神様が宇宙を創ったのか知るために、ガリレオは数学を使って研究を進めていました。

ヘンリー・アイリング

末日聖徒イエス・キリスト教会の現在の大管長会第1顧問のヘンリー・B・アイリングの父親は化学物理分野で活躍した一人の科学者でした。
彼は世界的、そして歴史的に有名ではありませんでした。しかし、彼の名前を掲げた論文はおよそ485あり、1945年には米国科学アカデミーに選出されました。

彼は一人の教会員として、献身的に奉仕をしました。彼の信仰心と模範は、ヘンリー・B・アイリングを含む息子たちに影響を与えています。

信仰が科学の理解を助ける

わたしたちは神様がこの世のすべての物を創られたと信じています。そして、科学を学ぶことでこの信じていることについて更に理解できるようになるでしょう。

ブリガム・ヤングは次のように言っています。

福音に属さない真理は存在しません。……天であれ地であれ……真理を見いだすことができるならば、それはわたしたちの教義に包まれます。

ブリガム・ヤング

末日聖徒イエス・キリスト教会の1人の会員で、科学者のガーナー博士はこのように言っています。

「信仰は私にとって重要です。なぜなら、信仰がなければ完全な理解を得ることができないからです。細胞がどのように機能しているか学んでも、細胞やわたしたち自身がこの地上に存在する理由が分からなければ、納得できない気持ちが残るでしょう。」

分子および細胞生物学者であるリチャード・ガードナー博士

科学者の信仰が科学の理解を助けてきた話をシェアしましたが、わたしの場合、科学の知識が自分の信仰を強める助けになっています。

神様の存在を信じながら科学を学ぶと、とても感動することがあります。

例えば妊娠と出産です。たった一つの受精卵が細胞分裂をしながら、人の形になり、そして複雑な感情を持つ生き物になって、親の体から出ていくことが奇跡だと思うのです。

話せるようになる仕組み、経験から学習する仕組み、人の影響が成長に与える仕組みなどを学んでいくと、何のために人はどんどん成長していくのかと考えました。

末日聖徒イエス・キリスト教会の教義にある救いの計画が、人のあらゆる成長に関係していると知って、わたしは納得しました。

人に限らず、植物や動物などの生き物の規則的で柔軟な仕組みも、ただこの地上に生きて死んで朽ちるだけとは思えないのです。意味があって存在しているのだと信じています。

宗教と科学は分かり合えない分野ではなく、どちらも学ぶことで、知識と信仰を深めることができるツールなのかもしれません

まだ科学では解明されていないことがたくさんあります。しかし、神様はわたしたち人間にたくさんの祝福と希望を与えてくださっています。

科学と宗教を分断するのではなく、科学的視点や宗教的視点、あらゆる視点から1つのことを見てみると、更なる発見に繋がりそうですね。

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末日聖徒イエス・キリスト教会の進化論に対する見解