ソルトレイクシティ — 「幸いなことに、神さまには計画があります。」これは、元福音主義教会の牧師でモルモン教に改宗したトム・スコットの妻マギーのお気に入りの言葉です。この言葉は、思いがけない魂の遍歴ををたどった二人を支えて来ました。
トムとマギーは、ずっとユタに住んできたわけでもなく、またずっとモルモン教徒であったわけでもありません。トムはジョージア州アトランタ市の郊外にある、ロック・チャペル市で育ちました。少年時代、日曜日にはメソジスト教会に集っていました。そして十代の頃には、地元のナザレン教会の信者であった女の子と付き合い始め、やがて彼女と一緒に集会に参加するようになりました。ナザレン教会の何かが、彼の中で響き渡りました。教会で心が休まる気持ちを感じ、まもなく教会員となるためにバプテスマを受けました。
神の計画に従う
ナザレン教会には、素晴らしい聖歌隊があり、トムはその一員になりました。聖歌隊のツアーは、彼にとって大切な思い出です。「聖歌隊のあるツアーで、わたしは神さまの存在を感じ、自分は専任の牧師になるよう召されていると直感的に感じました」とトムは話しました。
トムは、カンザス州オレーセ市のミッド・アメリカ・ナザレン大学で、フットボールの奨学金を受けました。トムは、神さまが用意してくださっている計画に従っている確信がありましたが、その先には、いくつかの回り道も待っていました。
キリスト教徒の合唱団「信仰・希望・愛」に加わった後、トムはその合唱団の本拠地である、オハイオ州のマウント・バーノン・ナザレン大学に転校しました。大学で学べば学ぶほど、疑問がわいてきました。
トムは、ある時コンサートの間中ずっと神さまの存在を強く感じ、聖霊が働きかけとても感動したと話しました。彼はこの経験について教授に相談しました。教授はトムが経験したことは、悪魔の仕業であるという主張を頑としてしたので、トムは大学をやめる決心をしました。しかしこのことで、彼は牧師になるという目標を、思いとどまろうとは思いませんでした。
試練
トムは、モルモン教はカルト教団であると教え、そう信じていました。モルモン教会の会員を誰も知りませんでしたし、他の推測をする理由もありませんでした。
それからの数年間は、状況が次から次へと変化しましたが、トムは神の業を行うことに喜びを感じていました。大学在学中に結婚し、牧師、伝道者、青少年のための牧師、子供のための教師、キリスト教教育指導者など、ほぼありとあらゆる聖職に就きました。
この頃は、モルモン教は カルト教団であると教え、そう信じていた時期でした。個人的にモルモン教の会員を誰も知りませんでしたし、他の推測をする理由もありませんでした。
信者の世話をし、説教の準備をし、一つの宗派から別の宗派へと移り、御霊を探し求めたすべての年月は、彼の家族の人生に大打撃を与えました。そして27年の結婚生活が破綻した後、トムが聖職者として務めを果たしてきた人々の間で、もはや受け入れてもらえなくなりました。これは、彼の人生の中でつらい時期でした。
その一方で、マギーは、カトリック教徒の家庭で育ちました。彼女が12歳のときに、家族は福音主義教会に入信しました。マギーはやがて看護師になり、結婚し、家族を持ちましたが、結局彼女の結婚も終わりを告げました。トムとマギーはまもなく出会うことになり、友情を築き、この先待ち受けるつらい時期に、お互いを支え合うことになるなど知る由もありませんでした。彼らは、出会って間もなく結婚しました。
もはや牧師ではなくなったトムは、自分たちの将来のことが心配でしたが、マギーの口癖は「幸いなことに、神さまには計画があります」でした。二人は、相次ぐ金銭面での損害、子供たちとの問題、またその他の試練のため、苦しい経験をしました。トムの離婚の影響で、彼がそれまで牧師として務めた教会では、彼らは歓迎されませんでした。
トムは、ついにまた教えを説く場所を見つけましたが、教え始めるやいなや、健康を害したのです。さらにマギーは妊娠し、医者はお腹の子供は重い障害があると診断し、中絶するよう忠告しました。
しかし彼らは、神を信頼し、妊娠を見守ることにしました。トムの健康状態は良くなり、マギーは、完璧なほどに健康な女の子を出産しました。
モルモン教との出会い
しかし彼らの旅は、終わったわけではありませんでした。トムは、ユタ州に本社がある会社の商品販売業者として働き始め、その会社のオーナーと知り合いになりました。オーナーが誠実な人であることを知ると、人々の「あのモルモン」とは関わらない方がいいという警告にも関わらず、トムは家族を連れて、新しい仕事に就くために、ユタ州へ引越しました。
スコット家族は、ユタ州に住むことなど思いもしませんでしたが、到着すると、隣人からの心からの歓迎に驚かされました。引越し先の家の駐車場に車を止めてから間もなくすると、隣人たちはクッキー、食事、家具など、スコット家族が必要な物を持ってやって来ました。トムの十代の息子は、「この人たち、マジなの?」と言いました。しかし、この隣人たちの親切は本物でした。
彼らの親切な行為を見て、トムはモルモン教に関するこれまで聞いた良くない噂について疑問を持つようになりました。
隣人たちの行為は、キリスト教徒のようでした。そして、トムはモルモン教について知ろうと決意しました。
スコット家族は、モルモン教会に集い始め、後に、モルモン教会の宣教師からレッスンを受けるようになりました。宣教師たちは彼らのすべての疑問に答え、トムたちはモルモン教会に改宗することに対して、平安で満ちた気持ちを感じていました。彼らの息子の一人も、改宗しました。
トムは、モルモン教の人を誰も知らなかったので、それまで聞いたモルモン教の間違った噂を簡単に信じていたと言います。トムとマギーは、今ではいかに彼らがモルモン教会を崇敬しているかということと、新しく見つけた幸福を人々を分かち合いたいと熱望しています。 この目的のために、トムは、イングルストーン出版から「It’s True: An Evangelical Pastor’s Journey to Truth in the Mormon Church(真実です。ある福音主義教会の牧師のモルモン教に真実を見い出すまでの旅)」というタイトルの本を出版しました。
トムは、専任宣教師として奉仕したことはありませんが、代わりに、彼の経験が書かれている自分のブログ(tomscottitstrue.blogspot.com)を読むよう人々に声をかけています。
「この本を書き、真実にたどり着くまでのわたしたちの旅について話すことにより、わたしは伝道しているのです」とトムは話しました。
彼はお話をするときに、聖書のマタイ 5:13 「あなたがたは、地の塩である。もし塩のききめがなくなったら、何によってその味が取りもどされようか」をよく引用します。 お話の終わりに「しょっぱくいなさい」と勧告するのが彼のお気に入りです。
トムとマギーは、もはや将来何が起こるか心配していません。神さまには、彼らのための計画があるからです。
この記事はもともとStephanie Abneyによって書かれ、www.ksl.com に投稿されました。
画像はトムのブログIt’s True より