子育てやいくつもの習い事の送迎。気遣いだらけの結婚生活。週末提出の大学の課題。月曜日からまた仕事。日曜日には教会での召しで時間を捧げる…
この中のどれか一つでも。心当たりはありませんか?
自分の人生を振り返って、「もっと上手にバランスを取れたらいいのに」と思ったことありますか?きっと多くの人が1度は考えることでしょう。
わたしたちは漠然と、バランスの取れた完璧な生活を何年も追い求めています。
時間管理がもう少し上手になればいいのに。
もっと効率よくいろんなタスクをこなせたら生活が改善するのではないか。
睡眠時間を削ればバランスが取れるようになるかも。
そう考えてしまうかもしれません。
しかし誰も教えてくれない真実があります。
それは完璧なバランスなど存在しないということです。これを早く受け入れることができれば、あなたは自由になれます。

バランスという神話
物事がうまくいかなかったり、疲労が抜けなかったり、生活を改善しようと思うと、多くの人はほかのことを調整して、バランスの取れた毎日を目標にすると思います。
一方、成功してどんなこともきちんとこなしている人は、家族、仕事、健康、人間関係、信仰など、何1つ取りこぼさない人だと信じていませんか?
しかし実際に人生のバランスを完璧に取ろうとすると、どうなってしまうか想像してみましょう。
子どもの学校の発表会に心から集中しているとき、仕事のメールには返信できません。仕事の締め切りに集中しているとき、宿題を手伝うことはできません。ジムにいるとき、夕食を作ることはできません。
あなたは1人の人間です。脳も1つしかありません。本当に存在できる場所は、1度に1か所だけなのです。
末日聖徒イエス・キリスト教会の十二使徒定員会会員であるデビッド・A・ベドナー長老は、Facebookで公開された動画の中で率直にこう述べています。
「そんなことで悩むのはやめませんか。バランスなんてものは存在しません。そんなものはないのです。」
これは悲観的な言葉ではありません。むしろ、あなたがこれまで聞いた中でも、最も心を解放してくれる言葉の1つでしょう。

マルチタスクをしているとき、実際には何が起きているのか
科学もこれを裏付けています。クリーブランド・クリニックの神経心理学者シンシア・クブ博士は、次のように説明しています。
「わたしたちの脳は本来、1度に1つの作業しかできない『シングルタスク』向きにできています。わたしたちがマルチタスクをしていると思っていても、多くの場合、実際には二つのことを同時にしているわけではありません。個々の作業を非常に速い速度で切り替えている、つまりタスクを切り替えているだけなのです。」(Cleveland Clinic, 2021)訳:信仰プラス
さらに、心理学の学術誌であるQuarterly Journal of Experimental Psychology に掲載された、より最近の研究(Schubert et al., 2026)では、たとえ十分な訓練を積んだとしても、人間の脳は2つの作業を同時に行うことはできず、予想外のことが少し起きるだけでも、ミスの発生率が大幅に高まることを確認しました。
言い換えれば、あなたがバランスを取るのが下手なのではありません。誰も上手ではないのです。なぜなら、それは神経学的に不可能だからです。
そして、神経科学がこれを証明するずっと前から、イエス・キリストはこの本質を突く言葉を語っていました。
「だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。 」(マタイによる福音書 第6章24節)
わたしたちが集中して向けられる意識は、1度に1つのことだけです。

本当の答えはバランスではなく、意図的な集中
では、バランスが存在しないとしたら、何を目指せばよいのでしょうか。
ベドナー長老の答えは、驚くほど実践的です。
「わたしたちは、その瞬間には1つのことしかできません。ですから、家族と一緒にいるときには、教会や仕事、あるいは自分自身にさえ十分な意識を向けていないことになります。運動しているときも、何かをおろそかにしています。
そして、その瞬間ごとに『今やっていないこと』ばかりを気にしていると、自分自身を追い詰めてしまいます。そうなると、本当に大切なことは何一つ成し遂げられません。だから、家にいるなら家のことをしましょう。教会で奉仕しているなら、その奉仕にしっかり取り組みましょう。」訳:信仰プラス
ここで大切なのは、ほんの少しの発想の転換です。その小さな変化が大きな違いを生み出します。 常にすべてのことに少しずつ意識を向けようとするのではなく、そのとき1つのことに全力で注意を向け、それから次へ移るのです。
これは、棒の上で皿を回すサーカスの芸人のようなものです。すべての皿を同時に同じ力で回すわけではありません。1枚を回し、次へ移り、落ちる前に最初の皿へ戻り、それを繰り返します。すべての皿が同じ瞬間に意識を必要としているわけではありません。ただ、それぞれが止まる前に意識を向ける必要があるだけなのです。
ベドナー長老はこう表現しています。
「人生で最も大切な二つ、三つ、四つの優先事項を見極めましょう。そして、それぞれが必要とする回転を与えられるよう、常に適切なタイミングで戻るようにしましょう。」訳:信仰プラス

実際にできること
バランスを追い求めることから、意図的に集中することへ移るための5つの方法を紹介します。
1. 自分の「皿」が何かを書き出し、本当の数を正直に認める
あなたの意識を奪い合っているすべてのことを書き出してください。そして、そのリストを見ながら、自分に問いかけてください。「本当に欠かせないものはどれだろうか。」
ダリン・H・オークス管長は次のように教えています。
「わたしたちにできる良いことの数は、それらを達成するのに必要な時間数をはるかに超えています。…わたしたちは、より良いものや最も良いその他のものを選ぶために、良いことをあきらめる必要があります。 」(2007年10月総大会)
あなたのリストにあるものすべてに、意識を向ける必要があるわけではありません。
2. あなたがいるその場所のことにフォーカスする
子どもと一緒にいるときは、スマートフォンを置きましょう。仕事中は仕事をしましょう。休むときは、しっかりと休みましょう。
あなたがいる場所に心を注ぐことは贅沢ではありません。意味のあることを成し遂げるための唯一の方法なのです。
3. いくつかの「皿」を置いておくことを自分に許す
「おろそかにする」という言葉は、必ずしも悪い意味ではありません。その語源をたどれば、「取り上げない」「選ばない」という意味です。
今は回しておく必要のない皿もあります。1つだけに絞ることは、失敗でも間違いでもありません。それは集中なのです。
4. 最適化する前に、まずシンプルにする
パトリシア・T・ホランド姉妹は、かつてこう語りました。
「人生を振り返って、もう一度どこかの時点に戻れるならば,一つ大きく変えたかったことがあります。それは、シンプルにすることです!シンプルにすると、…すべてが良くなるようにわたしには思えます。 」(ヤングアダルトのためのワールドワイド・ディボーショナル、2023年1月)
多くの事を管理しようとする前に、「より少ないことを、より良くできないだろうか」と自問してください。
5. 最も大切なことに定期的に立ち返る
バランスを上手に取ることは、いつか到達する目的地ではありません。一度整えたら終わりではなく、何が大切かを何度も見直し、そこに時間と力を戻していくことです。
毎週、自分にとって最も大切な優先事項を見直しましょう。
回転が遅くなっている皿はどれでしょうか。今週、あなたの意識を必要としているのはどれでしょうか。

バランスではなく、何を求めるべきか
正直に言えば、わたしたちの多くが本当に求めているのは、バランスではありません。求めているのは平安と安心です。
自分ができていないことに対して罪悪感を抱くのをやめたいのです。「これで十分だ」と感じたいのです。
そしてその平安や安心は、より多くのことをすることからは生まれません。
正しいことを、正しい時に、十分に心を向け、意図を持って行うことから生まれるのです。
M・ラッセル・バラード長老は、こう語っています。
「シンプルにしてください。そのシンプルさにこそ、わたしがこれまで話してきた平安と喜び、幸福を、皆さんは見いだすのです。 」(2019年4月総大会)
あなたは1人の人間です。それで十分です。
今、最も大切なことに集中し、残りは今すぐ必要ではないと信頼してください。
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