末日聖徒イエス・キリスト教会の宣教師を見たことはありますか?いつも2人か3人で行動します。そして、左胸には黒い名札を付けています。しかも宣教師の活動ではお給料はもらいません。どうしてそんなことをするのでしょうか?そして宣教師にはどうやったらなれるのでしょうか?今回はそんな質問の答えになることでしょう。
宣教師ってどんな人?
【任期】
実は宣教師になれる年齢と、宣教師として働く期間が決まっています。
- 男性18歳から26歳まで 2年の奉仕
- 女性19歳から29歳まで 1年半の奉仕
これらの年齢基準や任期は独身の宣教師に当てはまります。40歳以上の扶養している子供がいない夫婦はシニア宣教師として奉仕します。任期は6ヵ月から23カ月と様々です。(以降宣教師は独身の宣教師、既婚宣教師はシニア宣教師と表します。)
【2人行動】
宣教師は1人では行動できません。いつも同僚と一緒です。時々3人の宣教師で行動することもあります。いつも同僚やほかの宣教師と一緒にいることで、お互いに助け合い守ることができます。ちなみに、同僚は数カ月ごとに変わることがほとんどです。
【黒い名札】
宣教師は左胸に黒い名札をしています。その名札には宣教師の名前と「末日聖徒イエス・キリスト教会」と書かれています。男性の宣教師は長老といい、女性の宣教師は姉妹といいます。
もともと男性の教会員のことを〇〇兄弟と呼びます。しかし、男性の宣教師が「長老」と呼ばれるのは、彼らが保持している神権の位を表しています。
【ヘルメット必須】
日本にいる宣教師は、出身の国に関わらず、みんな安全のために自転車用のヘルメットを被って自転車に乗っています。そして男性の宣教師は大抵ビジネススーツ、女性はスカートやスラックスのような服装でヘルメットを被りながら自転車に乗っていますよ。
【奉仕活動】
宣教師の期間はお給料が出ません。毎月宣教師として生活するのに必要なお金が支給されますが、それはすべての宣教師が出したお金を一度集めて、それぞれの地域に必要な金額ごとに振り分けられています。
宣教師は、赴任した地域のための奉仕、無料英会話、福音を人々に伝えるなどをします。その中でもメインは「福音を伝える」です。そしてイエス・キリストについても証をします。
【任地】
宣教師として奉仕する場所は、本人が選ぶことはできません。申請書類に希望を記入する欄はありますが、任地は最終的に神様から啓示を受けた使徒が決めます。
【規則正しい生活】
宣教師は6時半に起床し、22時半に就寝します。とっても健康的ですね。ほかにも1日のうちにいつ何をするべきかスケジュールが決まっています。
宣教師になるための方法
宣教師には誰でもなれるわけではありません。以下が宣教師なるための条件になります。
- 末日聖徒イエス・キリスト教会の会員である
- 心身共に健康である
- 教会の集会に活発に参加している
- 教会での召しを行っている
- セミナリーやインスティチュートに参加した(あるいはしている)
- 宣教師として相応しいか(地域の指導者の推薦)
他のキリスト教会のように、神学校で履修する必要はありませんが、セミナリーという青少年向けの福音学習プログラムの卒業や、インスティチュートという成人会員の福音学習プログラムの受講は、伝道に出る資格を得るために大きな助けになります。
宣教師になりたいと思ったら、まずはその意思を、住んでいる地域の教会を管理しているビショップに伝えることから始まります。そして、申請書類の記入もあります。ここでは母国語以外の言語を話すことができるかということなどを聞かれます。
健康診断や予防接種の確認も必要です。赴任先が海外の場合は、日本で受けてきた予防接種だけでは足りないこともあります。その場合は、追加で予防接種(自費)を受ける必要があります。健康診断も予防接種もどちらも病院でできます。
申請書類や健康面での準備と平行して、ビショップやステーク会長と面接を行います。これは宣教師になるために相応しくなれるようにするためです。悩みや問題があったら解決するようにします。面接を通して、宣教師として相応しいという推薦をもらいます。
必要な物を準備する
宣教師に召されると、大管長の名前で電子メールや手紙が届き、どこに赴任されるか伝えられ、その後の準備や手順が示されます。
【物理的な用意】
- 服(季節に合わせた相応しい服装)
- 自転車(任地によるが日本では必要)
- 詳しくは召しを受けた時に準備品を提示される
- 伝道資金
人生の早い段階から伝道の計画をしておくと、伝道資金を貯めやすくなります。
伝道の計画は両親や帰還した宣教師、地元のワードや支部の指導者と相談することができます。
【内面の準備】
- 聖典や指導者の言葉を学ぶ
- 御霊と共にいられるように相応しくなる
- 料理や洗濯、ボタン付けなどの簡単な裁縫などの家事をできるようにしておく
- 宗教教育プログラムの参加
(青少年向けのセミナリーの卒業)
(大学生、社会人向けのインスティチュートへは積極的な参加)
普段からよく祈り、神様に頼って問題を解決する習慣があるかないかでも宣教師としての奉仕に大きく影響があります。
宣教師訓練センター
宣教師として召されたら、赴任先へ行く前に宣教師訓練センターへ行きます。訓練の期間は赴任先の言語ができるかどうかで変わります。ほとんどの日本人の宣教師は、アメリカのユタ州にある宣教師訓練センターへ行きます。
訓練センターでは福音や宣教師としてどうあるべきか、そして同僚と協力することを学びます。また、福音を伝える練習をします。訓練センターへ入所してからは、宣教師の24時間スケジュールで生活します。
宣教師になる理由
宣教師になることを決意する過程はそれぞれ違います。ですが多くは、それまでの人生で得た神様への信仰や感謝、祝福に心を動かされて決断をします。伝道から帰還した宣教師の模範も影響をもたらします。
ラッセル・M・ネルソン大管長はこのように言っています。
「すべての宣教師は、人々の人生をより良くするという望みをもって奉仕します。伝道に出る決断は、その宣教師、将来の伴侶、そしてこれから来る世代の子孫の霊的な運命に影響を与えます。伝道に出たいという望みは、人の改宗、ふさわしさ、備えからわきおこる自然な思いです。」
またモンソン大管長は、「ふさわしく、能力があるすべての若い男性は伝道に出る準備をするべきです。宣教師として奉仕することは神権の義務です。非常に多くのものを受けているわたしたちに、主が望んでおられる務めなのです」と言いました。
若い女性の教会員たちは伝道に出ることができますが、男性の会員のように義務ではありません。
伝道に出ても、さまざまな理由で、途中で帰還しなくてはならなくなった宣教師もいます。しかし、怪我や病気でやむを得ず帰還した宣教師が、治療を終えて再び伝道に戻って任期を終えるということもあります。
社会的にも人間的にも未熟な20歳前後の若者が宣教師として召され、教会を代表して全世界で福音を述べ伝えるという業は、まさしく神様の計画です。
完璧な人はこの地上にいません。どのような立場の人でもわたしたちは互いに支え合い、共に成長する機会が与えられています。
末日聖徒イエス・キリスト教会の宣教師のプログラムは、社会的にはなかなか珍しいですね。しかし、確かにこれは神様が定められた方法です。宣教師になる人も、宣教師から教えられる人も、宣教師を助ける人も、神様からたくさん祝福されます。もし街で末日聖徒イエス・キリスト教会の宣教師を見かけたら、ぜひ話を聞いてみてくださいね。
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