今回の記事は、将来自分の子供ができて父親になることに不安を感じている人には、特に読んで欲しいです。わたしは父親になるまで、父親としての本当の心配事とは何か理解していませんでした。もちろん、これまでの人生で恐れたり不安になったりするような状況はたくさんありました。しかし「我が子」という小さな魂の責任を授かった時、心配事は何十倍にも増しました。でも、同時に喜びと人生の目的も増えました。

人は、自分でコントロールできないことを怖れるものです。すべての父親は自分の子どもをコントロールできないと分かっています。子どもが幼いころは、ある程度は親の望む範囲に留めておくことができるかもしれません。しかし成長し、神様から与えられた自由を手にし始めると、父親にできることは、子供たちが自分の人生で良い選びをすることができるように育ててきたと、自分を信じることだけです。

大きな期待からくる恐れ

父親が抱える最大の恐れは、子どもが神様から与えられた可能性を最大限に発揮してほしいという望みからきています。父親は子供が悪い選択によって苦しむ姿や、幸せになる機会を自ら手放す姿を見たくはありません。しかし、中には完璧な子供を育てることができると思っている父親もいます。時々父親は子どもを愛しているために、自分が子供にとって最善だと信じている生き方を押し付けようとしてしまいます。そのような状況を目にしたことがあるでしょう。父親が、息子や娘にどの学校へ行き、どのスポーツを習い、どの楽器を弾くのかを指図をする状況です。子供にとって最善の職業は医師か弁護士、または歯科医か会計士と決めつけている状況です。父親は自分の期待に沿うようなキャリアの選択肢を整えるため努力します。それは愛ゆえの行動ですが、恐れからの行動でもあります。父親は、純朴で世間知らずの幼い子供が、道を踏み外すことを恐れ、子供のために成功へのレールを敷こうとします。しかし、父親にとっての幸せが、子供にとっての幸せとはまったく違っていたらどうでしょうか。父親が子供の進む道を決め、それを強制させると、子供の人生にとってかえって逆効果だったり、しまいには悲惨な結果をもたらしてしまうかもしれません。

自分の叶わなかった夢を託す

それと似たように、子供を通して第二の人生を送ろうとする父親もいます。子供に厳しくし過ぎることで、父親はかつて楽しんでいた気持ちを忘れてしまいます。近所の野球場に行けば、自分が若いころには才能がなかったため、もしくはあのころの栄光を思い出したいために、息子に夢を託す「野球少年の父親たち」が大勢います。わたし自身も、審判と些細なことをめぐってけんかをする父親の姿を目にしてきました。そしてその父親のそばには彼の子供がいたのです。そのような行動は、子供の人生を惨めなものにし、子供は父親に憤りを感じるようになります。そしてその憤りは、子供が成長するまで姿を見せないものです。表に出てきた時には、すでにダメージは大きく、その気持ちを消すのは難しいでしょう。

恐れを乗り越え、息子自身に選ばせて得たこと

わたしは4歳から22歳まで、まじめに野球をしていました。22歳の時、大学の奨学金やメジャーリーグのスカウトを蹴って伝道に出ました。そんなわたしはいつも、自分の息子も当然わたしのように野球をし、自分よりももっと優れた選手になると思っていました。守備や盗塁、バッティングも血筋のおかげでお手の物だろうと思っていました。息子がピッチャーマウンドに立って三振を取る姿を見て、とても嬉しかったです。息子は7歳の時、リトルリーグの選抜チームに選ばれました。そして野球をしてもしなくても、どっちでもいいと思っていると、無邪気にわたしに言いました。わたしは、自分の子供がしたくないことを無理やりさせるような父親になりたくありませんでした。今では息子は、バイオリンとギターを弾き、水泳やサーフィンを楽しみ、世界レベルの合唱団や楽団で演奏しています。彼はそんな人生を満喫しています。もちろん今でもわたしは、グローブの香りを感じたり、バッティングの音を聞いたり、刈られたばかりの芝やグラウンドの土の感触を感じると心が踊ります。しかしそれは、国内中のコンサートホールで演奏し、音楽を通して多くの人を喜ばせ、心から歌を歌い、輝く息子の姿を目にする時とは比べ物になりません。

重要なのは、父親がわが子に、自分が最善だと思う人生を歩むことを強制しないということです。子供が得意なこと、楽しんでやっていること、もっと上達して世界中に見せたいと思うことに喜びを感じながら取り組めるように助けることです。数学者が芸術家になるように、企業家が歯科医になるように、サッカー選手がプロゴルファーになるように強制するのは無理なことです。心配に思うことは分かりますが、子供がどんな人間に成長するのか分からないという父親の恐れが、子供たちを助けるかわりに傷つけることになります。父親は子供が自分探しをできるような機会を与え、彼らのそばに立ち、必要なときはアドバイスする備えをしておくべきです。子供が何を選んでも批判してはいけません。批判することで、むしろ子供はそれを続けたいと思うようなります。代わりに、子供が許してくれる間はサポートし、励まし、そして一緒に楽しみましょう。