この世で弱点がない人はいません。自信に満ちあふれ、適応力がある人でも反発を覚えることや、不安に感じることもあるでしょう。人生という旅を続ける中で、誰しも困難に直面します。困難の中には、わたしたちの自尊心を傷つけるものもあります。健全な結婚生活は、そういった自尊心に関する問題を包み込む小さな気泡がたくさん付いた緩衝シートのようなものです。

わたしは、あなたが大切で価値があり、愛にあふれ、そして賢く立派で、思いやりがあり、美しく独創的で、人を活気づけ、勇敢そして正しく、強い、能力のある人であるということを、あなたが気がつくその時まで伝え続けます。(The Virtual Typewriterより)

伴侶の自尊心を高める

もし自分の伴侶に、わたしにとってどれほど大切で価値のある存在かを毎日伝え続けたら、彼らの傷ついた自尊心をただ緩衝シートで包むだけでなく、瞬間接着剤ともなりうるでしょう。自分の伴侶の人格を擁護する瞬間接着剤だと信用してもらえることは、なんと光栄なことでしょう!これこそが、結婚生活がほかのどんな関係とも違うところです。わたしたちは、伴侶の心と魂を開く鍵をこの手に握っているのです。鍵を開けて愛と思いやりを注ぐか、それとも鍵を隠して伴侶の目の中の光が小さくなっていくのを、ただ見ているのもわたしたち次第です。

時々、伴侶の自尊心を高めることは自分の大事な役目だということを忘れてしまいます。偏見かもしれませんが、男性の方が妻に対する感謝を表現するのがうまくないと感じています。その一方で女性は、夫たちが強く勇敢であると思っていて、繊細で傷つきやすい部分があることを忘れてしまいがちです。男性と女性は、わたしたちが思っているよりも似ているのです。わたしたちは外からの攻撃に弱いのです。わたしたちは皆、傷ついた心を治してくれる少しの薬を必要としています。

心理学者であり家族問題のカウンセラーであるC・ケイ・アレンは、この件について次のように語っています。

良い自尊心と良い関係はどちらもお互いにとっての動機であり、結果です。わたしは、特定の人達に特別な信頼と親近感を寄せています。わたしがその気持ちを一度家庭で味わってから、わたしはそれ以下のものはなにも欲しくないことがわかっていました。何年もかけて、わたしと妻はお互いとどう向き合ったらいいかについての直感を養ってきました。そしてその直感はほとんどいつも正しいのです。わたしは妻や子供たちと過ごす時間を渇望します。なぜなら、それはわたしにとって完全に安全な場所だからです。完全な愛と信頼があり、自分の自尊心が高められ、自分を変える力が大きいことを感じるからです。わたしは、どんな問題でもみんなで解決していくことができることを知っています。(C・ケイ・アレン「自尊心の始まり」『リアホナ』1979年2月号)


安全な家庭を築き、保つ方法

結婚は完全な信頼関係を基としたものであるべきです。辛い一日の終わりには、綱渡りの綱から飛び降り、セーフティーネットに飛び降りるような感覚を感じるべきところです。そのセーフティーネットは緩衝シートとの層になっていて、外側は発泡スチロールのチューブで守られ、ネットの下には体操マットが敷かれているようなものです。それぞれの部分は、わたしたちが褒め言葉を伝え合い、自信をつけたり、傷を手当てしたり、逆境を乗り越えたり、信頼を築き、永遠の誓いと聖約を守るときにつくられてきたものです。

わたしたちがパートナーに言う言葉は、いつも親切であるべきです。言い争いをすることもあるでしょう。しかし、フェアに争うべきです。怒りに任せてパートナーの個人的な価値を攻撃してはいけません。あなたがそうする度に、セーフティーネットの結び目は解け、気泡がひとつつぶれます。それは作り上げる時間に比べると、とてもはやく消えてしまうものなのです。

自尊心を養い,高めるためには,その人が有能で大切な存在であることを常に伝えなければなりません。聖典の中では「高く挙げ〔る〕」という言葉が使われています。心理学者は「長所を強調しなさい」と言うでしょう。自尊心を養う秘訣は簡単です。常に一人一人の長所を探し,高く評価し,それを言葉と態度で示すことです。「ばか」とか「まぬけ」,「何ひとつまともにできない 」などという頭ごなしに決めつけるような言葉は自尊心を傷つけますし,どんな場合であっても使うべきではありません。否定的な言葉が口をついて出てきたり,態度に表われるようでは良い点を強調することは不可能です。(ダラス・N・アーチボルド「善い父母から生まれて『聖徒の道』1993年1月号, 31)

何年も前、青少年キャンプファイヤーグループの指導者として、わたしは10歳の子供たちに友人との問題にどう対処するのかを教えました。要は自尊心を築くためのクラスでした。一番難しかったのは嫌がらせについて教えることでした。わたしたちの社会では、そういったものを受け入れるだけでなく、助長する傾向があるようです。子供たちにその習慣は深く根付いてしまっており、人を卑下する言葉を褒め言葉に変える活動でも彼らは大変苦労しました。しかし、これこそが常に悪い習慣を直す道ではないでしょうか。悪い習慣を正すことは、そのような習慣を身につけないようにすることに比べると、ずっと大変なのです。

「それゆえ、忠実でありなさい。わたしがあなたを任命した職において務めなさい。弱い者を助け、足れている手をあげ、弱くなったひざを強めなさい。」(教義と聖約81章5節

あなたをこの職に任命したのは、あなたの伴侶、永遠のパートナーです。わたしたちはみんな弱く、もろい部分を持っています。忠実に伴侶を支え、その手を取り、弱くなったひざを強めるのはわたしたちの仕事です。あなたのパートナーの自尊心を高めてください。あなたがあなたの命以上に愛するその人に、大切で価値があることを知らせましょう。褒めること、信頼して耳を貸すことを習慣としましょう。あなたの語彙から相手をけなす言葉を消してください。そして、神があなたに与えられた何より尊い贈り物を、しっかりと緩衝シートで包みましょう。あなたの結婚関係を地上で一番安全な場所にすることができます。

 

この記事はTudie Roseによって書かれ、ldsblogs.comに掲載されました。