末日聖徒イエス・キリスト教会(時々モルモン書を使うことから謝ってモルモン教と呼ばれる)も賛美の歌を歌い、聞き、日曜日には礼拝をして神への信仰を強めています。この教会が初期に使用していた賛美歌は、150年前に出版されたものです。1830年の7月に、預言者ジョセフ・スミスが妻のエマに対する啓示を受けたことがきっかけです。
1835年にエマ・スミスは教会の最初の讃美歌集を作りました。1980年代初頭には、教会の音楽部の委員会が新しい讃美歌集を作り上げる依頼を受けました。その委員会は近年に提出された6,000曲以上の賛美歌を検討しました。1985年のエンザイン記事にこう書かれてありました。
「選択するときに提出された音楽とテキストからすべての名前が取り外されました。そのおかげで一曲一曲をその人の資格ではなく、音楽のメリットで評価することができました」
中央音楽委員会の委員長のマイケル・ムーディはこう付け加えています。
「歴史的に、多くの愛する賛美歌は素人が書いたもので、彼らは人々が共感できる賛美歌を日々の経験からインスピレーションを得て作曲しました。」
提出された賛美歌に対して、委員会メンバー、ヴァンハ・ワトキンス(“家族は永遠に“と“Press Forward, Saints”を作曲)はこう言いました。
「教会では強い証を持っている方々がいて、芸術的に表現できることを嬉しく思います。」
モルモン教の賛美歌の起源と再出版
『また、教会で利用できるように、あなたに示されるままに、わたしにとって喜びである神聖な賛美歌の選定をする務めがあなたに与えられる。わたしは心の歌を喜ぶからである。まことに、義人の歌はわたしへの祈りである。それに対する答えとして、彼らの頭に祝福が注がれるであろう。』(教義と聖約25章11節−12節)
この啓示に従い、エマ・スミスは賛美歌の選定をしました。彼女の働きにより、多くの人々が音楽を通して祝福を受けてきました。
現在モルモン教では、1989年に出版された賛美歌を使用しています。初期の賛美歌に含まれていた多くの曲の他、新しい曲も付け加われました。大管長会によると、これらの曲の選定は、全世界の教会員の必要を満たすために行われたとのことです。日本語の賛美歌には200曲、そして英語版の賛美歌には国家も含めて341曲が載せられています。日本語の賛美歌には現在の英語版には含まれていない曲もいくつかあります。例えば『 やさしき天の父よ』(35ページ)や『 主のみ旨に従い行かん』(132ページ)などです。
賛美歌の役割
大管長会は賛美歌がどのような素晴らしい働きかけをするかを述べています。『霊を鼓舞する音楽は,教会の集会に欠かすことができません。賛美歌は主のみたまを招き、敬虐な雰囲気をかもし出し、教会員をひとつにし、主に賛美を捧げる機会を与えてくれます。賛美歌を歌うことが,すばらしい説教となることもあります。賛美歌は,人を悔い改めと良き行いへと駆り立て,証と信仰を強めてくれます。また,疲れた者を元気づけ,悲しむ者を慰め,そして終わりまで耐え忍ぶように励ましを与えてくれます。』このように、モルモン教の聖徒は、賛美歌を通して励ましや導き慰めを受けています。わたしも今までの人生の経験から、賛美歌が確かに人々を慰め、力を与えてきたことを知っています。
未知の将来に不安を抱えるとき等、172番の『み旨のまま行かん』が何度もわたしに勇気を与えてくれます。
山の上や,荒れる海を越え行き
また戦の場にも 主は召したまわん
わが知らぬ道へと 呼ぶ声小さくも
主によりこたえつつ み旨のまま行かん
主よ,み旨のまま行かん 海,山,野を越え
主よ,み旨のまま言わん み旨に添いまさん
この歌詞を耳にする度に、私の思いでは無く神の思いを求め、神の御心が行われますようにと思うことができます。又、神とキリストのために前進し励んで行こうと思えます。
家族と賛美歌
数年前に、夫の祖母の余命があとわずかだと、親族で病室に集まった時のことです。一人一人が祖母と話終えた後、私はバイオリンで賛美歌を弾き続けました。時折賛美歌を口ずさみ、涙を流す親族の姿を今でも覚えています。賛美歌は親族を一つにし、心の隙間を埋め、悲しむ心に平安と慰めを与えてくれました。
賛美歌は教会だけではなく、家庭や家庭外においても個人的に使われるように奨励されています。家庭でも霊を鼓舞する音楽を聴くことにより、清い心と家族間の愛情を育むことができます。家庭外でも、賛美歌を声に出す出さないに関わらず使用することにより、誘惑に立ち向かい、自らを清めるのに役立てることができます。ですので、好きな賛美歌を暗唱し、普段の生活に使うことが勧められています。そうすることにより、私たちの頭に祝福がそそがれ、神が喜んでおられるのを感じることができるでしょう。
子どもの歌集
モルモン教では一般の賛美歌の他に子供の歌集も出版されています。この歌集を通して、子ども達が教会で何を学んだかをよく覚え、証を強め、良い行いをすることを奨励することができます。又、これらの歌を通して子ども達が良い気持ちを感じ、自分が神の子どもであることを知ることができます。私はこの子どもの歌集が大好きです。大人になった今でもこれらの歌を歌うのが好きです。伝道中にも役立ちました。なかなか眠れない夜に、子ども用の歌集を歌って、慰めや励ましを得ていました。その子どもの歌集の中から一つの歌を紹介します。
『天のお父様の愛』
鳥のさえずり聞いたり 青空見たり
雨が頬ぬらしたり 風が通り過ぎたり
バラにそっと触れたりするとき いつも
造り主お父様を思い 感謝します
美しい蝶々を見る目を下さった
聞く耳も心も 神様が下さった
私の命もみなお父様の愛により造られたと
私は分かります
私たちが清く、心と霊を鼓舞する音楽、又は賛美歌を日常から用いて、神様に近づくことができますように。音楽を通して様々な誘惑、又試練に立ち向かう勇気を得ることができるよう願います。又、これらの歌を作詞、作曲、選定してくれた先祖に心から感謝し、これらの歌集を聖典と同じように大切に扱うことができますように。