38歳のひまわりさん(仮)は個人事業を開業して、家事代行業者として働いているモルモン教の会員です。毎日、お客様のお宅を訪問し、お掃除、洗濯、買い物、料理、お片付けなどのサービスを提供しています。教会の奉仕活動や家事もこなし、忙しい日々を過ごしています。

同級生で会社員のご主人と小学生一年生のこねこちゃん(仮)と関東地域にある海の街で3人暮らしをしています。

 

 

事務から家事代行業へ転職

独身時代からずっと事務職一本で来たひまわりさんが家事代行業に転職したきっかけは、3年前、中国地方に住んでいた時のことです。娘さんの保育園の送り迎えと会社出勤の時間を短縮するために直行直帰の仕事を探し始めました。そのうち目に留まった家政婦の求人に応募すると即採用され、あっという間に家政婦へと転職することになりました。

初めて家政婦として派遣されたのは社長夫人のお宅でした。働くうちに社長夫人から信頼を得るようになりました。誰にも言えないことを打ち明けられたり、「あなたが来てくれて本当に良かったわ」と感謝されるようになりました。家政婦の仕事は楽しいかもしれないと思いました。自分に合ってるかもしれないとも思いました。それと並行して、家事代行の会社に登録して働き始めました。

 

 

開業を決意する

やがてひまわりさんは家事代行業を開業することを考え始めました。ひまわりさんは、独身時代は事務職一本でやって来たましたが、これといって差別化できる技術を持ち合わせていないと感じていました。実力社会で自分がやっていけるのはこの家事代行業しかないと思いました。また「在庫なし」「利益が上がる」「店舗がいらない」これらの3つが実現するのはこの業種しかないと思いました。

今は安定した生活かも知れませんが、これからの世の中は一生安泰ではいられないとひまわりさんは言います。人生何が起こるか分からないことをひまわりさんは幼いころから実感してきました。小学生の時に父親の事業が倒産し、多額の借金が残り、一家は家を失います。母親はうつ病でほとんど毎日寝込んでいました。

 

 

導きを求めて祈る

個人事業を開業することについて、神様から導きを得るためにお祈りしました。すると声こそは聞こえませんでしたが、心の中に熱い気持ちを感じました。神様が応援して下さっていると感じました。その時は「今は開業する時期ではない」と感じました。「夫の転勤で関東に引越しすることになったら事業を開拓しよう」と思いました。

それからひまわりさん一家は、中国地方から北陸にご主人の転勤で引っ越すことになりました。引っ越してきたときに、個人事業を開業するのはこの街ではないと思いました。その街では家事代行業の会社に登録し、仕事の経験を積みました。

派遣された先は、ペットのトリミングサロンとペットホテルを経営している女性のお宅でした。その女性はこれまで多くの辛い経験をしてきましたが、それをまったく感じさせない明るさを持っていました。仕事だけでなく、ボランティア活動にも力を入れていました。

後に彼女はひまわりさんが起業するときに手続きやコツなどを伝授してくれました。

やがてひまわりさん一家は、ご主人の転勤で北陸地方から関東地域に引っ越しすることになりました。

 

 

自分との闘い

関東に引っ越してきてから個人事業を開業する準備を始めました。個人事業を開業するのは大変なことでした。何よりも行動を起こすことが課題でした。ひまわりさんは人に開業することを「宣言する」ことによってプレッシャーを自分自身に与えました。

そうするとちょこちょこと他人に公言する機会が出てきました。娘さんが保育園に通い始めたころは、お客さんもいませんでしたが、保育園の先生に仕事の様子などを聞かれました。「ポスティング」をしていることを伝えましたが、本当にお客様を見つけなければいけないと思いました。教会の友達にも「宣言」しました。すると進捗状況を聞かれるので、それがよいプレッシャーになったそうです。

 

 

これからの仕事の夢

ひまわりさんは少しずつお客様の数を増やしていきたいと思っています。今はお客様は2人います。そしていずれは人手を雇いたいと思っています。お客さん主要の仕事だし、結果が見えない。チラシを配っても不安です。でも神様は助けるからやってみなさいと言ってくださったと感じているので、信じてみたいと思っています。

ひまわりさんの一番最初のお客様は年配の女性でした。しばらくお宅を訪問しましたが、あるとき「もう来なくてよい」と言われました。すごくショックでしたが、その30分後に中年の男性から連絡が入りました。男性は「ネット検索し、他の10社と金額や仕事内容を比べた結果、あなたの会社に決めた」と言ってくれました。

この経験を通してこの先難しいことがあっても、疑わないなら神様は助けてくれるとひまわりさんは思ったそうです。

 

 

最後に

ひまわりさんはこれまで中国地方、北陸、関東と住まいを転々としてきました。行く先々で会うべき人に合い、その土地でしかできない経験を重ねて来ました。ひょんなことから始めた家政婦業の仕事がきっかけで、今は家事代行業を立ち上げる個人事業主へと大きく成長しました。自分を見つめ、自分のできることを見定める思慮の深さ。そして神様にお祈りして相談する謙虚さ。お客さんを見つけたときは決して自分の力に帰したり、偶然の出来事とするのではなく、そこに神様の御手を見出します。そこにひまわりさんの神様への信仰の深さがうかがえます。