皆さんは家族の歴史やユニークな出来事の記録を保存していますか?その他にも考えたこと、良い思い出、大変だった出来事なども残すと、子孫の役に立つことがあるかもしれません。今回はアメリカ人の家族に手渡ったある日本刀に関するお話を紹介します。皆さんも自分に合った方法を見つけてこのような記録を作り保存してみませんか?

ある日本刀の戦後の行方

知り合いのスミス家族の父親は第二次世界大戦後、日本から刀を持ち帰りました。それからその刀は約50年という長い間スミス家族が所有しました。その父親が亡くなった後、娘であるレイチェルさんが刀を相続しました。それは普通の古い軍刀です。わたしはその刀に興味を持ったので、目釘を抜いて中子にある刀の銘のようなものを見つけました。

友人のスミス家族には小さな子供たちがいたので、もう鋭利な古い軍刀を家においておきたくはありませんでした。怖いので持ち主に返せないかとレイチェルは聞いてきました。(わたしは「もし返せなくても別の友人がこのすてきな刀を200ドルで売ってくれると言う話もあったのでそれで良い」と思いました。)

刀には鞘に小さな布が結ばれており、わたしの妻のジョーンズ姉妹が読んでみると、それは四国に近い小さな島に住んでいた田中という男性の名前と住所が記されていました。ジョーンズ姉妹の日本在住の喜一おじさんはその住所を調べて電話番号を見つけ、田中家に電話してくれました。田中家の人はその名前と住所が正しいことを確認しました。わたしたちは田中さんにその刀を郵便で送りました。アメリカから持ち帰ったら税関の申告で大変になるだろうと思ったからです。

数週間後、仕事で日本に出張したときに田中御家族を訪ね、田中さんにお会いしました。彼は白髪の優しい顔をした80代くらいのおじいさんでした。まだ家族の営むみかん農園で働いていらっしゃいました。彼は戦後、降伏する前にこの刀の刃を折ろうと、みかん畑の裏手にある竹や木を切ったけれど刃は折れなかったこと、そしてその刀は田中家に何代にもわたって受け継がれたものだと話してくれました。

若い兵士だった彼はついに刃を折ることをあきらめ、名前と住所を書いた布切れを刀に結びつけて刀をアメリカ兵に渡しました。その時まさか50年以上もたってから、折るのをあきらめた自分の手書きの布切れのついた同じ刀を再び手にするとは思いもよらなかったと思ったことでしょう。

田中御家族は親切な家族でした。戦争のことを根に持っておらず、彼らの住む小さな島を案内してくれました。地元の新聞社からはこの珍しい出来事を取材しようと記者がやってきました。こうして田中家とジョーンズ家の家族歴史に新たなページが加えられました。そしてスミス家の家族歴史の一つの章も終わりを迎えました。

(このお話は実話ですが、登場人物の名前はすべて仮名です。)