末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教と呼ばれることもあるが正式名称は前述のもの)の教会員は、厳格な戒めを守っていると思われることが時々あります。日本に住んでいる教会員は、末日聖徒ではない人たちとかけ離れた生活をしているのでしょうか?
「神への信仰」にこれまで寄せられた質問やスタッフの経験から、末日聖徒の生活をちょこっとご紹介します。
1. 神社やお寺などほかの宗教の施設を訪れられない?
わたしたち教会員は神社仏閣へ行くことができます。モスクにも訪れることができます。神社やお寺など他宗教の施設に行くことが、不信仰を表すわけではないからです。
神社やお寺などは日本の歴史と文化の表れでもあります。また、日本の末日聖徒の多くの先祖はお寺などにお墓があります。日本の歴史や文化を知って、それに関係する建物を訪れることで、自分のルーツを知ることもできます。また他者を知り相手への敬意を表すこともできます。もちろん他宗教の信者と関わりを持つ時は、相手への敬意を忘れません。
たとえ信仰している宗教が違っても、わたしたちは同じ人間で、同じ神様の子供です。教会HPにも他宗教とのつながりについて次のように記しています。
「『すべての人に思いやりと敬意を示すよう、 あらゆる地の教会員に勧めます。わたしたちの住む世界は多様性に満ちています。わたしたちと信条を異にする人々に敬意を示す必要があります。』(2008年4月総大会説教)末日聖徒は、 すべての誠実な信仰者を、 信仰生活を送り、 人類に奉仕する偉大な業を行う点で同じ人間として受け入れています。」
ストックホルム・ルーテル教会名誉主教で、ハーバード神学校名誉教授だった故クリステル・スタンダールは、 宗教的理解のための次の3つの規則を定めました。
違うからいがみ合うのではなく、お互いの良いところを認め受け入れることは、キリストの教えにも通じるところがあります。
2. 献血、輸血、臓器移植は禁忌か
末日聖徒イエス・キリスト教会では、献血、輸血、臓器移植を禁忌としていません。むしろ、臓器などの提供は無私の行為で、病気などで苦しんでいる人たちに恵みをもたらすことができると考えています。
日本では教会の活動で献血を行う地域もあります。こちらの記事は東京地域の教会の活動のレポートです。もちろん、献血、輸血、臓器移植は強制ではなく個人の健康状態や意思によって行われるべきです。
教会の手引きには以下のようにあります。
「生きている人が、他人に臓器を提供するかどうか、提供された臓器を受け取るかどうかの決断は、適切な医学的助言と祈りをもって熟慮した事柄に基いて下すべきです。
亡くなった人からの臓器や組織の移植を認めるかどうかの決断は、本人か本人の家族が下します。」
神様が与えてくださったこの体は、自分自身で癒し、健康を維持しようという機能があり、さらには自分の体の一部でほかの人の身体を救ったり健康をサポートする能力を持っていることに、改めて驚きます。
3. 教会員以外の人と結婚できる
末日聖徒イエス・キリスト教会の会員が教会員ではない人と結婚することはできます。神様はわたしたちに自由意志を与えてくれました。結婚相手は自分で選ぶことができるのです。
ただ、教会員ではない人と結婚した場合、信仰や戒めを守ることで苦労する人は少なくないです。ふさわしい教会員しか神殿に入ることができないので、相手が教会員でない場合は、神殿結婚はできません。法律が定める結婚をします。
そして、教会の戒めの1つである純潔の律法により、法的に結婚を認められた男女のみに性的な関係を持つことが許されるので、教会員ではない相手にこの戒めを理解してもらえるかという問題が起きることもあります。
戒めを守ることは本人の自由に任されていますが、戒めを守らないと聖さとふさわしさが失われるため、聖餐や神殿参入などできなくなります。
結婚した後に伴侶が福音に興味を持ち、教会員になるという話もよくあります。結婚相手が教会員であってもそうでなくても、お互いが尊重し合い、良いところを認め合えたらいいですね。
こちらの動画では結婚相手が教会員ではないため、戒めを守ることの悩みについてお話しています。ぜひご覧ください。
4. 避妊はタブー?
結婚している男女に性的な関係が許されているのには、いくつか理由があります。それは子供をもうけるため、そして夫婦の愛を表現するためです。どちらの理由も神聖で、そうあるべきです。
ただ、末日聖徒には子供がたくさんいる家庭も多くあります。そのため、避妊はタブーだと思っている人もいるようですが、避妊も大切なことだと信じています。
「子供をもうける計画については、夫と妻が一緒によく祈り、話し合うように勧められています。その際に、母親と父親の肉体面および精神面の健康と、子供たちの基本的な必要を満たす能力などを考慮するべきです。」
教会HP産児制限
子供を育てるために、金銭面も考える必要があります。夫婦でよく話をし、子供をいつ、何人もうけるかを決めることができます。
ただし、教会では医療目的ではなく子供ができないようにするための、精管切除や卵管結紮術などの不妊手術は推奨していません。また、次のような例外を除いて、人工妊娠中絶は神様の戒めに反していると信じてます。
- 強姦または近親相姦によって妊娠している。
- 資格ある医師が、母親の生命や健康が深刻な危機に瀕していると診断している。
- 資格ある医師が、胎児に重大な欠陥があり、出生後生命を維持できないと診断している 手引き38.6.1より
ただし、上記の例外であっても人工妊娠中絶がすべて正しいとされるわけではなく、携わる人、責任ある人達は祈りによる確認を得るべきです。それだけ、重大な事であるということです。
5.実はおしゃれを楽しめる?
結論から言うと、おしゃれを楽しむことができます。自分の好みの服やアクセサリーをつけることができるんです。ただ、おしゃれのキーワードの1つとして「慎み深さ」という言葉があります。
慎み深さのポイントは、神様の前に出ても恥ずかしくないかということです。わたしの服選びの基準に、「ガーメントが隠れる服装」があります。ガーメントは神殿で聖約を結んだ末日聖徒が身に付ける下着で、いつもそれを着ていることで神様への信仰とふさわしさを表して、聖約を覚えているようにすることができます。
慎み深さをどの程度取り入れるかは、個人の自由です。何を選ぶか、どう振舞うかでその人の価値のすべてが決まるわけではありませんが、信仰を強くし、神様から導きを生活で得るためには、ふさわしさは無視できません。
「たとえ世の人々と違うことをすることになるとしても、自分の肉体の神聖さを尊ぶことが、主の標準です。決断を下すときには、この真理と御霊を皆さんの導き手としてください。自分の体に長期にわたって影響を及ぼす決断をするときには、特にそうです。賢く、忠実であってください。そして、親や指導者に助言を求めてください」青少年の強さのためにー選択の指針より
服の好み、おしゃれの仕方は人それぞれですが、神様から与えられた身体を大切にし、いつも神様の導きや守り、愛を感じていたいなら、そのための基準があり、おしゃれにもそれが求められます。
6.賛美歌以外の音楽も好き
もちろん、賛美歌や教会の音楽しか聞かない教会員も稀にいますが、それ以外の音楽を聞くこともできます。クラシックはもちろん、有名アーティストのライブに行ったり、カラオケで流行りの歌を歌うこともします。
ただ、ふさわしくあるためには、どんな音楽でもいいというわけではありません。暴力的、性的な描写、神聖さをあざけたり不道徳な内容、自分の判断力や御霊に対する感受性を鈍らせるものは遠ざけるように、手引きには書いてあります。(「青少年の強さのために」より)
このようなことが書いてある理由は、ふさわしさが失われないようにするためです。何度もお伝えしていますが、ふさわしくなくなると神様からの祝福に気付けなかったり、導きを受けられなくなります。わたしたちは霊的に鈍感になってしまいます。
わたしたちは自由意志を使って選ぶことができますが、選んだものがもたらす結果は変えることができません。
心を落ち着けたい時、癒されたい時などに賛美歌はおススメですよ。
ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。https://bit.ly/3whzcSA
7.居酒屋などお酒が出る飲食店に行ったらアウト?!
居酒屋やバーなどのお酒が出る飲食店にも行けますよ。ただ知恵の言葉という戒めを守るなら、お酒は飲めません。
こちらの動画では、末日聖徒イエス・キリストと教会の会員になった後に飲みに行った1人の女性の経験が紹介されています。
最近では教会員でなくても、お酒を飲まない人も多いので、ソフトドリンクやノンアル飲料などのチョイスが増えたと思います。わたしも時々教会員ではない友達や職場の人などと居酒屋などに行くことがあります。
以前、初めて一緒に居酒屋に行った相手には、自分が末日聖徒イエス・キリスト教会の会員でその戒めを守るためにお酒を飲まないことを説明していました。しかし、最近ではソフトドリンクやノンアル飲料を注文しても、誰からも何も言われないし聞かれません。
自分の選びを受け入れてくれるのは有難いですが、そこから始まる教会の話もあったので、ちょっと物足りなくも感じています。
もちろん、お酒が出るお店には行かないようにしている教会員もいます。それはその人の大切な選びです。それぞれが決めたことに対して、周りがいろいろ言うことは望ましくないと思います。
8.コーラは飲んじゃダメ??
日本の末日聖徒の中には、コーラを飲まないようにしている会員もいます。しかし、知恵の言葉にはコーラを飲まない、とは書かれていませんので、飲んでも戒めを破ることにはなりません。最近では教会員ではない人でも糖分を考えてコーラを飲まない人がいますね。
コーラが水のように飲めるほど健康的な飲料とは思えないので、気を付けることは健康のために大切でしょう。
実際に知恵の言葉の戒めを守るためには、お酒やお茶、タバコを避けるだけなく、体にいいものを取り入れることも必要です。チョコレートの食べ過ぎや、偏った食事、エナジードリンクの多用も健康のためには良くないので、知恵の言葉を守るためにも気を付けていけたらと考えています。
末日聖徒ができることについて新しい発見はあったでしょうか?末日聖徒イエス・キリスト教会の会員は教会員ではない人と同じ部分も見つけられたかもしれません。ほかにも教会員ができるかどうか知りたいことなどがありましたら、ぜひコメントなどで教えてください。