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現実的なゴールを決める
時々若い選手は、自分の体が可能なこと以上のパフォーマンスをしなければならないという大きすぎる期待をかけてしまう事があります。だから、現実的な目標を決める事は両親とコーチにかかっているのです。もし子供たちが、試合の結果をいつもコントロールできるわけではないということを理解し、それでもベストを尽くしたことを知っていれば、負けたとしても彼らの自尊心は傷つかずにすむでしょう。“あなたが出来る一番のことは、準備や態度、そして努力など自分でコントロールできることに集中することです。”というのは、チェンバーレインからのアドバイスです。“対戦相手のする事や天気などはコントロールできません。もしこれらを受け入れる事を学べれば、よいパフォーマンスができる可能性も高くなります。”
不運なことに、現実的でない期待を持ってしまうのは子供たちだけではありません。“大人として、わたしたちは自分たちの志を果たすために子供のスポーツに参加しているわけではないということを確認しなければなりません。”とマーフィーは言います。“子供に学び、レベルの高いパフォーマンスをするようにという大きすぎるプレッシャーがかかると、子どもはやる気を失いかねません。”このパフォーマンスに対するプレッシャーが長い時間の練習と一緒になると、子供が楽しんでいたスポーツから楽しみをはじき出し、燃え尽きさせてしまう可能性があり、そうして早くにやめてしまうと、子供たちはスポーツから精神的な、そして身体的な利益を得る事ができなくなってしまいます。“両親は子供たちと、彼らの進歩をただ楽しむべきです。”とベイリーはいいます。マーフィーはそれに加え、“わたしのプロとしてのキャリアでも、父はいつも試合の前にわたしにこう言いました。「楽しんでやっておいで。」”と言います。
もし子供が、自分はアスリート奨学金やプロへのスカウトを受けるために投資されていると感じしまうと、彼がスポーツに対する興味を失うだけでなく、自尊心も深く傷ついてしまうでしょう。ダメージが大きいだけではないんです。プロになるのは信じられないほど起こりにくいことなのです。統計的には、プロになるよりも奨学金をもらう確立の方が高いのです。そしてオリンピックで金メダルをとる確立は百万分の一です。
両親は、学業に対する奨学金には、スポーツに対する奨学金の70倍もの金額が当てられているということを知っておくべきです。では、アスリートが成功する秘訣はなんでしょうか?“自分自身のゴールを持っても、それを自分自身に押し付けない事です。”とヴィッドマーは言います。“わたしの両親はわたしに強要しませんでした。動機付けはしてくれましたが。トレーニングは楽しかったし、競争も、そして勝つ事も楽しかったです。だから成功できたのです。”
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結果より努力に集中する
“青少年スポーツでの勝利に関するわたしの哲学は、道のりの方が結果よりも大切だということです。”とマーフィーは言います。“もちろん、わたしたちは皆、勝つために尽力するべきですが、毎年勝つのは、若いアスリートたちを誠実な人格者に育てることに集中したチームです。その経験は、得点表がなんと言おうと彼らの益になります。”もしあなたが、子供がやる気をなくしていることを感じたら、ホッケースターのマーセル・ディオンや、バスケットボールの偉人カール・マロン、そしてフットボールの伝説ダン・マリノなど、素晴らしい人格を手に入れたがチャンピオンにはならなかったアスリートたちの話をしてあげてください。また、マラソンなどの勝てないとわかっていても競争し続けるスポーツについての話をしてもいいでしょう。多くのランナーたちは一位になるためでなく、自分自身の限界を押し広げ、パフォーマンスを向上するために出場します。ヴィッドマーはこのような個人的なゴールを持つのはスポーツの最も大切なことの一つであると思っています。“スポーツにおいて、勝つ事は自分の可能性を広げることほど大切ではありません。わたしの娘は彼女の陸上チームで一番の選手ではありませんが、個人記録をもち、賞やトロフィーに関係なく個人的な勝利を残す事が出来ています。”
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参加する
両親は、最終的には子供たちがさらされる環境に対して責任があるので、コーチがフェア・プレイに重点をおき、良い指導者であることをよく確認した上でプログラムに参加させましょう。もし可能なら、自分自身がコーチになることもよいでしょう。子供は喜ぶでしょうし、あなたが若いアスリートたちの態度によい影響を与える事ができます。
しかし、もしあなたがコーチなら、自分の子供に特別厳しくすることを避け、お気に入りを作るのもやめましょう。“もし自分の子供によい経験をしてほしいなら、参加してください。あなたが参加することで子供の人生に長く続く良いインパクトを与える事ができます。継続的に子供と過ごす時間を見つけるのは簡単なことではないからです。”とマーフィーは言います。もしコーチになるのが選択肢でないなら、おやつをもっていったり家で子供の練習に付き合ったりして一緒に時間を過ごしてください。あなた自身がそれほど運動が得意でなくても、サッカーボールを蹴ったり野球のボールを投げ合ったりする事であなたの子供があなたの気遣いを感じることにつながったりします。
参加するのは良い事ですが、決して批評し過ぎたりして子供を圧倒しないでください。“子供にいつもなにかを教えようとするのではなく、時には子供からあなたに話をさせてあげてください。試合前にどんな気持ちか、彼ら自身のチームについてどう感じるかなどを聞いてあげましょう。”とベイリーは言います。
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事実を正しくとらえる
時々、アスリートとその親たちは競い合いの熱と、最善を尽くす事に夢中になりすぎてしまいます。しかし、もし子供がすべての時間をスポーツに費やすようになったら、一歩引いて、深呼吸をし、これはただのゲームだということを思い出す必要があります。“教会の会員としては、福音がわたしを守ってくれたと言えます。”とヴィッドマーがいいます。“スポーツは素晴らしいですが、人生そのものではありません。わたしは自分の経験に感謝してはいますが、体操選手として自分を定義するのは避けるようにしています。”
ベイリーは驚くべき功績を手にしましたが、彼もまた、バスケットボール自体を人生とするのを拒否しました。“スポーツを自分のアイデンティティの大部分にしたいと思った事は一度もありません。”と彼は話します。“今親として、わたしと妻は子供たちが地に足をつけていられるようにできることを全てしています。子供に楽器をやらせたり、スポーツ以外の事に集中させたりしながら、教育が最優先事項であることを確認してください。”
最後に、あなたのアスリートが尊敬に値する特質を身につける事に集中できるように励ましましょう。“受け取るトロフィーや勝った試合の数よりも、スポーツを通して身につける特質に集中しましょう。一番大切なのは人格です。実際に一番大切でないとわかりきっている事に最高の注意を向けるのをやめましょう。”とマーフィーは言います。
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人生の教訓に集中する
“スポーツは、他の至る所で起きている事を小宇宙に圧縮したようなものです。”とベイリーは言います。“アスリートがスポーツを通して学ぶ事の多くは、プレッシャーとどう向き合うかや、違う性格の人たちとうまくやっていく事など、人生においての他の局面に使えることです。”マーフィーもそれに賛成します。“人生を形成するような教訓が青少年のスポーツに参加することで得られます。義務、チームワーク、責任、そして誠実さは、試合の後勝っても負けても子供たちの人生にとどまる教訓のほんの一部です。”
ヴィッドマーは、これらの価値ある原則を学ぶ事に加えて、スポーツは周りの人の大切さを子供たちに教える独特の機会を提供してくれると言います。“あのポディウムに立つために手を貸してくれたすべての人たちへの感謝で圧倒されたことを覚えています。家族、友人、コーチ、チームメイトたち、そして妻もです。”とピーターは回想します。“あのメダルでわたしに属するのはほんの一部です。この人生では、人々との関係なくしてはほとんど何も成し遂げる事はできません。それがスポーツの全てに他なりません。”