軽量の車椅子

新しい車いすにのったタナー•ジェンセン(画像元:byu.edu)

ブリガムヤング大学工学部の学生5人は、卒業課題の一環として作り上げた電動車いすにより、ある二人の子供の生活がより容易になるであろうと述べた。ティム•ガンセーは、3歳児のタナーと生後20ヵ月のスカイラーについて話を聞いたとき、ふたりの少年に助けの手を差し伸べようと決意した。ふたりは脊髄生筋萎縮症と呼ばれる変性筋肉の病気を患い、筋肉を自由に動かせず、歩行やハイハイ、おすわりは愚か、頭部をうまく動かす事もままならない。移動には手動の車いすを使うが、すぐに疲れてしまう。あいにく、家族への金銭的な負担や、ふたりの母親のエステルとっては重量すぎるといった理由から、電動車いすを2台も購入するといった選択は問題外だった。

ガンセーはブリガムヤング大学工学部の4年生達に連絡し、新たな企画を申し込んだ。彼は後にこう語る。「開発チームに私の方針を伝えたときは、とにかく低価格で母親が苦労せずに持ち上げる事の出来るような軽い車いすが欲しかったんだ。」何十時間もの努力の結果、学生達は枠組みにポリ塩化ビニル素材を使用した、50ポンド(約22.68kg)までの子供に使用可能な強さと母親にも持ち運び可能な軽量さを兼ね揃えた生産価格495ドル以下という電動車いすのデザインを完成させた。このデザインはおそらく電動車いす世界最安生産価格、またデザイン上、重量はたったの20ポンド強(約9.07kg)であることから、世界最軽量への挑戦と言えるであろう。

ふたりの母親、エステル•ジェンセンによると、少年達は学生達の企画のことを知るととても喜んだという。子供達が移動しやすいように家を改築したり、医療費の支払いをしたりと、一家への出費は以前より増えたと言う。

 

「ブリガムヤング大学がこの機会を通してわずかな可能性を現実にしてくれたことがとても嬉しい。」と母ジェンセン氏は言う。また彼女はタナーが車いすを試乗したときにとても気に入っていたことも教えてくれた。肘掛けに設置された棒状のコントローラーで作動するこの車いすによって、少年達の生活はより容易に、そして病気によって失われた自由を取り戻す事ができるのではないか、と母は期待している。

企画責任者の一人ザック•ジマーメンは、企画を振り返り、難解だがとても興味をそそる、成功することによって与えるジェンセン家族への喜びを感じる事ができるとても楽しいものだったという。企画チームはタナーの試乗に何度か立ち会い、ジマーメンはこれを素晴らしい経験だったと語る。

タナーの顔は光を放ったように明るい表情で、とにかく車いすを喜んでくれて、プレゼントできる機会はとても嬉しいものでした。

車いすは4月末までに完成し、ジェンセン家族に寄付される予定だ。この斬新な電動車いすのデザインは企画ウェブサイトOpen Wheelchairにて無料ダウンロードも可能である。