ドーラとフランクはわたしが時々訪問する年配の隣人でした。彼らは小さなトレーラーハウスに住んでいました。冬になると、わたしは彼らがいつでも薪木を焚けるように彼らの物置からまきを玄関の前に移しに行きました。冬のある日、彼らの家を訪問した時、留守でした。それは少し珍しい出来事でした。なぜなら彼らは冬はめったに出かけることがないからです。しかしわたしはそのことについてはそんなに気に掛けていませんでした。きっと買い物か何かだろうと思っていました。

ドーラのサプライズ

わたしは薪の補充の仕事に取り掛かりました。そして彼らの家の前の雪かきと氷を削り落としました。わたしがその作業を終え、帰る支度をしていると、他の隣人が通りかかり足を止めました。

「ドーラが病院に入院したことを聞いているかい?」彼はわたしに尋ねました。

「いや、聞いていないよ」わたしは答えました。「どうしたんだい?」

「何かにアレルギー反応を起こしたようだよ」彼は言いました。

わたしはドーラとフランクに会いに病院に行くことにしました。しかしわたしは汗をかいていて汚かったので、直接訪ねることができる状態ではありませんでした。急いで家に帰り、シャワーを浴びて着替え、病院に向かいました。

病院に到着し、入口で受付を済ませると、ドーラの病室に案内されました。わたしはその部屋へ行き、開いているドアをノックしました。無口なフランクが部屋に招いてくれました。ドーラはわたしに挨拶し、わたしはドクターが来るまでの間短い会話をしました。

ドクターはフランクにいくつかの検査をする必要があることを話しました。フランクは頷きました。しかし先生がドーラの元へ行くと彼女はとても怖がっているように見えました。

「ドーラ」ドクターは言いました。「二階へ行く時間ですよ」

ドーラは叫び始めました。「嫌だ!嫌だ!行きたくないわ!」

彼女が立ち上がろうとしたので彼女の腕から点滴が抜け落ちそうになりました。ドクターは彼女を止めようとしましたが、なかなか一人では止めることができそうになかったので助けを呼ぶためナースコールのボタンを押しました。ナースが来て協力しましたが、ドーラはまるでライオンのように抵抗しました。彼らは他の人達の助けを呼びました。フランクとわたしはもう一人のナースと用務員の二人が来たので邪魔にならないようにその場から動きました。ドーラを止めるために、多大な労力を必要としました。

ドクターはフランクにドーラを落ち着かせるための鎮静剤を投与しても良いか聞きました。フランクは頷きました。鎮静剤の注射によってドーラはやっと落ち着き、すぐに眠りました。そして彼らは彼女を検査に連れて行きました。わたしはフランクにさよならを言い、彼らと一緒にエレベーターに向かいました。その次の日、仕事帰りにわたしはドーラの様子を見に病院へ行きました。フランクは挨拶代わりにわたしに頭を下げました。彼女は座って晩御飯を食べていました。

ドーラの心得違い

「今日の調子はどう?」とわたしは彼女に聞きました。

ドーラは食事を横に寄せました。「昨日のことを説明しなきゃいけないと思うの。」彼女はそう言いました。

「話したければでいいよ」とわたしは答えました。

「問題は、」彼女は続けました。「あなたが来たとき、わたしはまだアレルギー反応によって少し頭がぼんやりしていたの。そしてあなたがいつも訪ねて来てくれるときいつもわたしたちの家で話をしたりするから、どういうわけか、病院がわたしのいえだと心得違いをしてしまったようなの。

それで、わたしたちが話をしているときにドクターが入って来て、わたしはそれが誰なのか、なぜ彼が家に来たのか、なぜ白い服を着ていたのか、わからなかったの。彼がわたしを二階に連れて行くと言ったとき、わたしのトレーラーハウスには二階がないことを思い出したわ。そしてそこに座って白衣を着た彼をじっと見ているうちに彼が言っている二階というのは天国のことで、死の天使がわたしを迎えに来たのだと思ったの。」

わたしは彼女にこう言いました。「ドーラ、あのくらい強く戦うことができるなら死の天使もあなたを連れて行くのに手一杯だったでしょう。レスリングでオリンピックに出なかったのが残念なくらいだよ。」

フランクは微笑み、今まで彼の口からは聞いたことのないような言葉を口にしました。

「彼女は間違いなく金メダルを取っていただろう。」

この記事はもともとDaris Howardによって書かれ、Meridian Magazine に投稿されました。