2つの宣教師

末日聖徒イエス・キリスト教会には、若い人が宣教師として奉仕する際に、「ティーチング宣教師」と「奉仕宣教師」という二つの形があります。

ティーチング宣教師は、自宅を離れて伝道部で奉仕し、主に人々に福音を教えます。福音を受け入れ、バプテスマを受けるためのレッスンも教えるのがこの宣教師です。

一方、奉仕宣教師は自宅に住みながら、それぞれの状況や才能、地域や教会の必要に応じて、教会や地域社会で奉仕します。

そのため、奉仕宣教師を「家を離れて宣教師として伝道することができない人」と考えるのは間違っています。教会の公式な定義はそのようなものではありません。

奉仕宣教師も、神様と神様の子供たちに仕えるために召された、正式な専任宣教師なのです。

そして大切なのは、ティーチング宣教師も奉仕宣教師も、どちらも主から与えられた召しであるということです。どちらも教会の大管長から宣教師として召され、その人に最もふさわしい形で奉仕する機会が与えられます。

参照:教会、ヤング奉仕宣教師のティーチング伝道部への統合を発表

奉仕する場所や方法は違っていても、そこに優劣があるわけではありません。それぞれが自分に与えられた役割を通して、イエス・キリストを代表し、人々に仕える大切な働きを担っています。

今回紹介するのは、奉仕宣教師とティーチング宣教師、その両方を経験した1人の女性です。

2種類の宣教師として奉仕した彼女の経験は、「宣教師として仕える」とはどういうことなのか、そして主が一人一人に合わせて、どのように奉仕の機会を与えてくださるのかを考えるきっかけになるかもしれません。

宣教師への志願をし受けとった任地に驚きました

召しを最初に受けた時

細谷姉妹は教会員の両親に育てられ、生活の中に福音があったので、喜びも苦難も通して彼女の信仰を育てることはとても自然でした。その育まれた信仰は、キリストの贖いへの証を強くし、それを人に伝えたいと望むようになりました。

その結果、専任宣教師として奉仕することを望み、申請を出しました。その後届いた召しは、予期していなかった自分の住んでいる地域の伝道部での「ヤング奉仕宣教師」でした。

日本では奉仕宣教師という召しの認知度がまだ低いこと、MTC現地に行けなくなったこと、同僚がいないこと。そして何より、自分の宣教師としての目的が、直接福音を教えることではないという現実に、正直、落胆しました。

また、自宅を拠点に奉仕することにも不安を感じていました。

当時の状況について、細谷姉妹はこのように話してくれました。

それでも彼女は自分の召しと向き合います。任命されるまで祈りを重ね、神殿へ行きました。さまざまな感情と葛藤しながらも、自分が何をするべきか、どのように主に仕えるか自分に何度も問いました。

その問いはいつも同じ答えにたどり着いていることに、細谷姉妹は気が付きました。

『教える宣教師』か『奉仕を中心に行う宣教師』かは神様の目には重要じゃない。大切なのは、どのようにわたしが主に仕え、わたしがどんな人間になって神様の御前に帰るのかということなんだ。

この答えに対して、彼女の胸の内側から燃えるような確かな気持ちを感じました。そして、「自分の持てるすべての信頼を主に置き、この召しを受け入れることを決意」しました。

日本語しか話せなくても奉仕宣教師として愛を伝えることができた

奉仕宣教師としての働き

召しを受けた後、伝道部会長と奉仕宣教師アドバイザーの元、奉仕宣教師として働きました。

細谷姉妹の場合、週のほとんどはホームワードの姉妹宣教師と一緒に伝道活動をしていました。街頭で伝道したり、家を周り、宣教師のレッスンへの同席もしていました。ただ、夜には自宅に帰りました。

ほかにも、神殿で奉仕したり、インスティチュートのデザートを提供したりと、必要に応じてさまざまな奉仕をしていました。

ヤング奉仕宣教師として召されて間もない頃、ワードの姉妹宣教師と一緒に福音を学んでいる人に会いに行く予定がありました。しかし、姉妹宣教師たちが急遽行けなくなり、細谷姉妹は1人でその人の家に行くことになりました。

彼らは外国人だったため、英語に自信がなかった彼女は不安を感じました。訪問をキャンセルすることもできましたが、彼女は奉仕宣教師の目的を思い出したといいます。

「救い主がされるように、愛にあふれた優しさをもって仕えることで、人々がキリストのもとへ行けるよう助ける。」

彼らに愛を伝えよう!そう思った細谷姉妹は、彼らの家に行きニーファイ第二書 第4章21節を分かち合いました。

その後、翻訳機能を使って「神様があなたを愛していることを伝えたくて来ました」と伝えました。

奉仕宣教師は、福音に興味がある非教会員にレッスンを行うことはできませんが、彼女は愛を伝えることができました。

細谷姉妹はこの経験からミニスタリングの本質を初めて学んだと、話しています。そして、ヤング奉仕宣教師としての働きが大好きになりました。

参照:奉仕宣教師奉仕と愛を通して王国を築く

ティーチング宣教師として出会った高校生に証を分かち合い、いい時間を過ごした

ティーチング宣教師としての働き

細谷姉妹は、召しを受けた当初は予想もしていなかったことに戸惑いましたが、ヤング奉仕宣教師として働く中で喜びを感じるようになり、気が付くとその召しを全うする気持ちが強くなっていました。

しかし、伝道部会長と面談を重ねる中でティーチング宣教師に切り替えることが適切だということになり、最終的にティーチング宣教師に切り替えることになりました。

これはよくあることではありません。しかし、彼女は御霊による促しを受けました。そしてヤング奉仕宣教師の務めを果たしながら、その促しに従って個人で祈り導きを求めました。

正式に彼女の専任宣教師としての働き方が変わり、その後の伝道活動でも細谷姉妹は熱心に人々に福音と愛を伝えていました。彼女の経験と伝道する姿から、主が細谷姉妹への役割を認めて、彼女に主の代わりに働くことを求めたことを表しています。

また主は、伝道も含めて一人ひとりに合わせた道や学びを用意しています。

細谷姉妹の出来事も、そんな主の愛の一例です。

ティーチング宣教師としての召しを受けた細谷姉妹は、その時「今度は自分の口を通して伝道するんだ、と純粋に嬉しさを感じた」と言います。

連絡を受けてから2日後に移動する必要があったため、楽しみな気持ちと緊張を感じながら、パッキングしました。

ティーチング宣教師となってすぐに、奉仕宣教師の時とは違った大変さに気付きました。

「教える相手を見つけること」「人々の霊的な成長をどのように助けられるか」を考える必要がありました。

また奉仕宣教師の時は1人でスケジュールの管理や様々な判断をすることが多かったのに、同僚を得てからは、一緒に考え、一緒に計画し、一致して伝道することなど、新たな課題に直面しました。

ティーチング宣教師の間にも多くの印象的な経験をしました。

ある雪が降り積もる日、細谷姉妹は同僚と1人の女子高校生に声をかけ、モルモン書について話しました。

最初、その子はあまり興味がないようでしたが、彼女たちが心から証をすると、最終的にモルモン書を受け取ってくれました。

彼女と交わした言葉や、雪の中を歩いていく後ろ姿を、細谷姉妹は今でも覚えています。

それは、イエス・キリストをまだ知らなかった人に、少しでも主とのつながりを感じるきっかけを届けられる時に、大きな喜びを感じたからです。また、人がすぐに福音を受け入れなかったとしても、その人を愛して祈る中で、神様が1人1人をどれだけ愛しているかを感じました。

公園でほほ笑む姉妹宣教師
赴任先の公園で同僚に写真を撮ってもらった細谷姉妹

2つの宣教師を経験して感じること

奉仕宣教師もティーチング宣教師も経験して、彼女はこのように話します。

「末日の時代、わたしたちが出会う人々は皆、それぞれ異なる性格や状況、背景を持っています。だからこそ、一人ひとりに合わせて、さまざまな形で働きかけることが大切なのだと強く感じます。

その中には、ミニスタリングに焦点を当てる奉仕宣教師と、福音を教えることに重点を置くティーチング宣教師がいます。

どちらもフルタイムの専任宣教師であることに変わりはありませんが、それぞれ働き方が異なるのは、主がそれぞれに望まれている価値ある目的と役割、そして可能性があるからなのだと知りました。

そして、わたしたちがそれぞれの役割を尊重し、一致して主の御業を進める時、その働きはより早く、より力強いものになるということを、何度も感じることができました。

ヤング奉仕宣教師として奉仕する中で、自分の立場や働き方に迷い、目に見える成果が分かりにくい奉仕に価値を見失いそうになることもありました。

それでも、そんな時に思い返すのは、召しを受け入れると決意した時のことでした。

何度も自分に問いかけた言葉があります。

『本当に大切なことは何?』

『私は宣教師になりたかったの?それとも主の弟子になりたかったの?』」

そう考えると、主に仕えることを諦めてはいけないと立ち返ることができました。

その後のティーチング宣教師としての経験も含め、主の真の弟子であり続けることの大切さを学びました。そして、将来出会う人々や友人、家族を愛し、支え、教え導くための備えになったと感じています。 」

編集後記:

多くの宣教師が経験しないような伝道をした細谷姉妹は、確かに神様から召されて、彼女を必要とされた土地で奉仕しました。

伝道中の彼女は、いつも笑顔で1人1人に真摯に向き合い、愛を示していました。

「主に仕えたい」という思いや、彼女の証で救われた人達がいます。

伝道後も彼女は、愛と証をもって多くの人と主に仕えています。細谷姉妹の特別な宣教師としての経験は彼女を強くし、またこれから出会う人たちを救い導くのでしょう。

【あなたにおススメの記事】

教会史上最多の宣教師たち:彼らが世界で教える理由とは?

宣教師の息子へ:父の手紙があなたの心にも響く