毎日テレビやネットを見ていると、将来が不安になるようなニュースや情報がたくさん入ってきます。最近よく話題になっているのは、幼児虐待や少子高齢化、自殺者の増加などがあります。これからの人生、一体何が待ち受けているのか考えると不安ばかりが募ってしまいます。まさに「一寸先は闇」です。


1 本物の真っ暗やみ

「一寸先は闇」という言葉で思い出すのが、「胎内めぐり」です。京都の清水寺で体験できるものが有名だと思いますが、「胎内めぐり」は、光が一切届かない暗闇の中を歩くことで穢(けが)れを取ることができ、ほかにもいくつかご利益があるとされています。

数年前、友人と一緒に清水寺に行った時に「胎内めぐり」をやってみたのですが、中は本当に真っっっ暗です!入る前は、「暗闇と言っても、目が慣れれば多少見えたりするんじゃないかな?」なんて考えていましたが、とんでもない。正真正銘の真っ暗闇です。数歩先を歩く友人はもちろん、目の前にかざした自分の手すら見えない状態でした。

「暗い所を歩く体験をしているだけだ」と頭では分かっていても、何も見えない状態に不安を感じずにはいられませんでした。中のルートに階段はないのに「段差があって転んだらどうしよう」とか、前を歩く友達にぶつかってしまうかも、とか。余計な心配をしてしまうくらい不安でした。

行く先が見えない暗闇の中で、どうやって壁にぶつからず進めばいいのでしょうか?

 

2 人生の暗闇を導くのは

実は、「胎内めぐり」の内部には木で作られた大きな数珠(じゅず)が壁伝いに張り巡らされていて、体験者を出口まで導いてくれます。この数珠につかまって進む限り、壁にぶつかることはありません。

数珠に手を添えて進んでいくうちに、「これをたどっていけば大丈夫」と思えてきて不安な気持ちは治まっていきました。数珠は途切れることなく、ずっと進むべき方向を教えてくれていました。

この時、わたしは「聖霊の導き」について思い出していました。聖霊とは、神会の第三の御方で肉体を持たない霊の御方です。聖霊はたくさんの役割をお持ちですが、その中に「人が決定を下すときに…人を導き、肉体的、霊的な危険から守る…」という役割があります。天の御父は、わたしたちが正しい道を歩めるように、聖霊を通して最善の方法を教えてくださいます。その聖霊の導きに従っていれば、迷うことはありません。数珠を頼りに暗闇を進んでいる自分は、何が待ち受けているか分からない人生を、聖霊の導きを頼りに歩いているみたいだと思ったのです。


3 道を示し、不安も取り除いてくださる聖霊の導き

聖霊が導いてくださった実際の経験をご紹介しましょう。わたしと夫は、夫が大学院2年生の時に結婚しました。卒業までの1年弱、夫は大学院で学び、わたしが働いていました。そして就職活動に励んだ結果、夫は関東にある会社に就職できることになりました。ですが、2人とも関西出身で、できれば関西に残りたいと思っていたので、この会社に就職するかどうか迷いました。関東に引っ越さないのであれば、関西圏勤務の仕事を探し続けることになりますが、もちろんいい仕事が見つかる保証はありません。どちらがいいのか分からず、自分たちの判断だけで決めることに不安を感じ、わたしたちは神様に頼ることにしました。2人で断食をして、関東に行くべきかどうか祈りました。すると、わたしたちは「関東に行くべきです」という導きを受けました。

これを読んでいる方の中には、「実は関東に行きたくて、その願望だったんじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。聖霊は「静かな細い声でわたしたちの思いと心に語りかけられます。……わたしたちは御霊の語りかけを声という言葉で表現しますが、この声は耳に聞こえるものというよりはむしろ心で感じるものです。」(「啓示」参照)

十二使徒定員会のリチャード・G・スコットはこのように言いました。

「ある気持ちや促しが神からのものであるかどうかを知る二つの指標は,心の平安と静かな温かい気持ちが生じるかどうかです。わたしが話した原則に従うならば,皆さんは人生の重大な時に啓示を識別できるように備えられるでしょう。」
(「個人の生活で啓示と霊感を受ける方法」『リアホナ』 2012年5月号)

わたしが感じたのは、まさにこの声でした。自分の心に「関東に行きなさい」という声をはっきりと感じました。そして、平安で静かな温かい気持ちを間違いなく感じていました。今まで感じていた不安は消え去り、きっと関東に行くことに意味があると確信して引っ越すことを決めました。

将来に対する不安や今抱えている心配事は、なくならないかもしれません。何歳になっても、その時その時に新しい選択肢が出てくるでしょう。でも、わたしたちは暗闇の中で一人ではありません。たとえ先がまったく見えなくても、聖霊の導きがあればゴールまで迷うことなく歩いていけます。

「胎内めぐり」を体験した日、ゴールにたどり着いて光を目にした時、とても安心したのを覚えています。これに似た気持ちは、わたしたちが求めればいつでも感じることができます。不安にさいなまれる時に平安を祈り求めるなら、天の御父は聖霊を通して慰めてくださり、平安に包まれるでしょう。関東に行くべきだという導きを受けた後も、わたしは何度も似た経験をしています。真っ暗な中で一人ぼっちだと感じる時に祈ると、不思議と不安は消えてゆき、平安な気持ちになります。まるで、暗闇に一筋の光が差し込むように。

わたしは、天の御父がわたしを愛してくださっていて、いつも聖霊を通して導いてくださることに感謝しています。


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