モルモン教は、会員たちに「互いに愛し合いなさい」14日間のチャレンジを提示しました。 最終日14日目のチャレンジは、「神様の目を通して、あなたが話す全ての人を見る」です。
この物語は、ある母親が小さな娘を大切に育てている様子を記したものです。大きな苦しい試練の中でも、この母親は主に頼り、娘ができる限り長く家族と一緒にいられるように、懸命に看病しています。母から娘への深い愛を見るときに、わたしたちは神様の愛を思い起こすことができるのではないでしょうか。
娘は1歳10か月になりました
2014年、我家のもとに待望の2人目の赤ちゃんがお腹に宿りました。辛いつわりを乗り越え、わが子に会える日を楽しみにしていたある日、お腹の中の赤ちゃんの成長が止まっていることが分かりました。原因を調べるために総合病院で精密検査を受けたほうが良いとの医師の勧めに従い、里帰り先の実家にある沖縄の総合病院で検査を受けることとなりました。
産婦人科の先生だけでなく、小児科の先生にもエコーを見てもらい原因を調べました。医師の診断の結果では、お腹の赤ちゃんは18トリソミーという染色体異常であることが分かりました。18トリソミーとは通常2本ずつできている染色体のうち、18番目の染色体が1本多い先天性疾患で、遺伝的なものではなく突然変異で起こるものです。
発育遅延や重度の心疾患や体の奇形、極度に免疫力が弱く、それぞれの臓器が正常に動くか分からない、産まれてみないとどのような疾患があるか分からないというのです。最悪の場合死産の可能性もあること、無事に産まれても2か月以内に50%の子供が亡くなり、1歳まで生きられるのはほんの10%ですと宣告されました。そして産まれた場所で看取ることになるので、どこで出産するか、そして積極的な治療を行うかを決めてくださいと言われました。
その事実を聞いてすぐに受け入れるのは難しく、悲しみにくれるばかりでした。夫婦でよく考え話し合い、積極的な治療を望むことと、生活を拠点にしている神奈川ではなく、サポートが多い私の実家で出産することを決めました。その日から夫と離れて暮らしながらも、子供が無事に産まれるように願う生活をしました。
2014年4月14日、沖縄県内の病院にて緊急帝王切開の末、次女の莉愛(りあ)が誕生しました。出生時の体重は930g。出生後すぐに新生児集中治療室(NICU)に入院し、24時間体制で医師による治療、看護師による完全看護が始まりました。
夫は休暇を取り、病院に毎日足を運びました。わたしはあまりに小さく、たくさんの管に繋がれた娘を見て泣いていました。人工呼吸器に繋がれていたので抱くこともできず、手や足、背中をさすりながら小さな命の灯火が消えてしまわないように保育器の前で祈っていました。
莉愛は期待に応え、大きな峠をいくつも乗り越え生きながらえてくれました
半年間の治療とケアの後、無事退院し、2014年11月にはわたしたちが通っているモルモン教の教会で命名式を受けることができました。こんなに待ち望んだ命名式は初めてでした。
退院してわたしの実家で生活を始めた莉愛は何度も風邪をひいたり、心不全になったり、痙攣をおこして入院しました。家ではわたしがお世話をしています。酸素の調整をしたり、ミルクの注入をしたり、昼も夜も数時間ごとに様子を見ています。引き続き神奈川で仕事をしている夫は1カ月に1回は沖縄に来て家族との時間を過ごしています。わたしの家族の大きな助けもあり、奇跡的に1歳を迎えることが出来ました。
1歳を迎えることができたのは、家族の助けだけではなく、友人やワードの皆さんのおかげだと思います。家族で祈ってくれたり、看護でくたくたになっているわたしたちの為に食事を持ってきてくれたり、神殿に名前を書いてくださって、たくさんの愛を感じ励まされました。長女もママがいなくても泣いたりせず、妹のために頑張りました。そして本を読んであげたり、歌を歌ってあげたりとてもかわいがっています。莉愛はたくさんの人から愛をもらってすくすく育ちました。
1歳2か月になったころ、莉愛の体調が安定してきたので、念願だったパパと一緒に暮すために飛行機に乗って神奈川へ引っ越しました。自宅看護はただならぬ労力が必要なため、おばあちゃんも一緒に神奈川に引っ越してくれました。
神奈川に戻ってきたものの、沖縄と同じような積極的な治療は受けられませんでした。莉愛の命が脅かされ、不安な日々が続きました。莉愛のためを思い、神奈川に来てから半年もたたずに沖縄に戻ることになりました。せっかく家族みんなで暮らせるようになったのに、なぜ家族で暮らすという当たり前のことが許されないのだろう。どうして神様はこのような試練を与えるのだろうと落胆しました。
しかし、莉愛にできる限り長く生きてほしい。必要な時に必要な治療を受けさせ、神様のもとに帰るときに後悔しないために、みんな頑張ったと納得して神様のもとに送り出せるように沖縄に戻ることを決断しました。
現在1歳10か月になった莉愛は、入退院を繰り返しながらも沖縄ですくすくと育っています。よく笑うようになり、少しずつ口から飲んだり食べたりできるようになりました。人それぞれ試練の形は違いますが、神様はいつでも試練を乗り越えられるように道を備え、助けの手を差し伸べてくださいます。
著者:前田英美
編集部より
莉愛ちゃんは2016年2月11月現在、状態悪化のため病院に入院しています。莉愛ちゃんとご家族の上に神様の特別な見守りがありますように。
バレンタインの季節に愛についての記事を書きたいと思っていました。そんなときに沖縄の島で病気を持ちながら頑張っている小さな莉愛ちゃんと母親である英美ちゃんのことを思い起こしました。わたしが大まかに書いた原稿を、英美ちゃんの夫の修平に渡しました。修平が原稿に訂正を加えてそれに肉付けしてくれました。しかし修平は多忙であるために、奥さんの英美ちゃんに原稿を託して、残りを仕上げるように頼んでくれました。でも英美ちゃんも多忙でした。記事を書いてくれた時は、ちょうど莉愛ちゃんの状態が悪化して入院したときでした。莉愛ちゃんの付き添いをご家族にお願いして、実家のパソコンでわずかな時間で記事を書き上げてくれました。送られてきた原稿を読んだときに、娘の莉愛ちゃんへの深い愛を感じました。それと同時に天父とイエスさまのわたしたちへの深い愛を感じました。お二方は私たちを愛してくれて、とても大切にしてくださいます。弟の修平も多忙な時に記事を書く手助けをしてくれました。前田家族を助けてくれている皆さま、本当にありがとうございます。莉愛ちゃんは今入院していますので、引き続き皆様のお祈りが力となるはずです。
皆さん、多忙の中時間を割いてくださって、莉愛ちゃんとの経験を書いてくださって心から感謝しています。莉愛ちゃんの体調が回復するようお祈りします。
記事を読みながら、お友達 の状況に似てるなー、と思ってよくよく見てみたら、わたしの知っている英美ちゃん家族でした。娘さんへの愛がとてもよく伝わってきて、本当によくやっているなーと涙なしでは読めません。莉愛ちゃんの命は家族の愛や皆の愛で生き延びている、そんな感じがしました。
本当にその通りですね。私も記事を読んで感動しました。人は皆、神と周りの人のおかげで生きているんですね。コメントをくださりありがとうございました。
全ては神々の深い御心と想います。
個人的には生涯 自身の子供には無縁な位置の人生でやがて死を迎える立場です。
早く 霊界に行きたい考えがあり現世が決して住み良いかは判りませんが、生きる 時間、死を与えられる時間 皆 違いますが、無駄な体験では無いと想いたいです。
返信が大変遅くなってしまい、すみませんでした。でも、コメントありがとうございます!
皆、一人一人違う試練があります。そして、その試練は神様が私たちを成長させるために与えてくださっているもの。手放しで喜べない試練の方が多いですが、主への信仰を使うときに平安があると知っています。姉妹のおっしゃる通り、この人生で無駄な経験は一つもないですよね!