フェイクニュースとは?

ある詩人が現代社会の世相を次のように表現しました。

知識に埋没された知恵はどこか?
情報に埋没された知識はどこか?
二十世紀の堂々巡りは
わたしたちを神から 遠ざける

(T・S・エリオット”Choruses from The Rock; The Complete Poems and Plays、1909-1950〔1962年〕96)

共著者である学生の一人は、フェイクニュースと聞くと「ジ・オニオン」を思い出すと言います。「ジ・オニオン」というのは意図的に嘘の記事を普及するウェブサイトです。人々を害するつもりではなく、ただ冗談を広めているのです。「ジ・オニオン」のある記事によると、日本語を話せる人たちの58%は日本人ではなく、23才のアメリカ人男性だというのです。その男性たちが大学を卒業してから、すぐに日本の札幌や神戸に行って英会話を教えたり、日本語を学んだりするそうです。このような記事を読む方が、本当のニュースより面白いかもしれません。しかし、こうしたフェイクニュースがあるからといって、すべてが当たり障りのない冗談とは言えません。混乱させたり、メンツをつぶしたりするフェイクニュースもあります。

フェイクニュースは虚偽の情報で作られたニュースですが、今日の社会では誰でもそんなニュースをインターネット上に掲載できます。辞書によると、フェイクニュースというのは、本当のニュースと似せて作られたもので、インターネットやソーシャルメディアで広まります。単なる冗談として、あるいは大衆を政治的に扇動するために作られる偽りの話です。また、誰かしら本当ではない情報をねつ造して出版することです。そのために、真理を見出したり、真偽を見極めたりすることが、近年ますます難しくなっています。アメリカでは悪意のある掲載の評判は良くないものの、「フェイクニュース」が2017年の言葉として選ばれたほどです。


社会現象としてのフェイクニュース

以下で引用されるニュースについては、わたしたちのグループの中で情報交換されたものです。わたしたちの間では、それらの情報が正しく理解されているものとしてまとめてありますが、そのように判断するに至る過程で、徹底的な調査を行ったわけではないことをお断りしておきます。

各地で最近起こった、フェイクニュースに絡んだいくつかの社会問題を紹介しましょう。

1. 2016年のアメリカ大統領選挙の時に、一人の男がライフルを持って店に入って3回発砲しました。誰も傷つけなかったので、この男は自分の行動が正しいと思っていました。なぜなら、彼はその店で子供の人身売買が起こっているという記事を読んだからです。こんな誤解は本当にフェイクニュースのせいでしょうか?それともライフルを持った人の心境のせいでしょうか?

要因の1つにSNS(具体的に言うと、SNSとはフェイスブックやツイッターなど)による情報の拡散があります。SNSには、たくさんのおとなげなく、公表すべきでない投稿が見られます。ちょっと変わったことや、ささいなことに目くじらを立てる人が大勢いるせいか、フェイクニュースが早く広まってしまいます。また、友だち同士は互いに信頼しているでしょうから、もし一人がフェイクニュースにだまされてSNSに投稿したら、その人の友達もそのフェイクニュースにだまされる可能性が高くなります。また、情報がSNSのような口コミの場合、何が本当で何が嘘なのか判断しようとしても、なかなかできないときがあります。なぜでしょうか。

その理由の一つは、嘘をつくのが楽しいからなのかもしれません。現に、ドラマを好きな人は大勢います。問題を抱える人の話が面白いからです。ドラマは他人事で、直接自分の身に降りかかることではないからかもしれません。ただ他者を扇動するのを楽しんでいる人もいるでしょう。同様に、フェイクニュースが存在していても、それ自体が問題ではありません。フェイクニュースと実際のニュースを区別することができない人々がいることが問題です。

2. 日本の情報社会での現状はどうでしょうか。例えば、2019年1月22日、NHKの取材による記事、「“フェイク”はカネになる その実態を追跡した」には、フェイクニュースの実態が具体的に述べられています。人気番組や人気タレントの画像が改ざんされて、それが偽の広告情報を伝える道具として使われ、消費者を翻ろうしている例がたくさんあげられています。人の注目を集めるような情報を流せば、簡単にお金を稼げるというインターネットに依存する情報社会の落とし穴が、そういうフェイクニュースの普及を助長しているようです。

3. 現在の社会は、よく「ポスト真実の社会」と呼ばれています。具体的に言うと、「ポスト真実」とは政策や時事問題の詳細や事実より、個人的に信じていること、または感情へのアピールが重要視される文化です。ショッキングなニュースがバズって、人々は自分の信条にマッチした情報を早く信じる傾向があります。たとえば、最近あるニュースサイトがカリフォルニア州のソノマ郡についてのフェイクニュースを広めました。ある移住民が、ソノマ郡でいくつかの山火事を起こしていたという誤った記事を掲載しました。これこそはニュースサイトにはあるまじきものです。ニュースサイトの最も大切な目的は、真実を正確に伝えることです。しかし、そのニュースサイトはその移住民についての間違った情報を伝えたために、その移住民に対する社会全体の感情を悪化させてしまいました。


歴史を振りかえる

早くも紀元前13世紀に、戦争のフェイクニュースが出回っていました。諸国の王が自慢したり、敵についての中傷が普及したりすることがよくありました。たとえば、カデシュの戦いというエジプトとヒッタイトの戦いは引き分けになりましたが、エジプトのファラオは弱そうに見られたくなかったので、自国民に対して「戦勝」を宣言したり、勝利のモニュメントを作らせたりする始末でした。日本でも第二次世界大戦に敗戦するまで国民には日本が優勢だと伝えられていました。歴史を通じて戦争のフェイクニュースは多々あります。

古代から噂や口コミが存在してきましたが、印刷機とインターネット発明後には、ニュースや噂を早く普及できるようになりました。よく売れれば収益が出て、ビジネスにできるわけです。嘘が面白ければ人が買ってくれるので、嘘でも劇的に書こうと思って、いわゆるイエロージャーナリズムが生まれるきっかけとなったのです。

フェイクニュースという言葉自体は、アメリカ英語で1940年ごろに登場します。これはコーパス言語学の研究に見られます。その時代に、真実が見極めにくく、たくさんの噂が出回っていたことと、自分の国を支持するために宣伝を強化したことも絡んでいました。

しかし、フェイクニュースという言葉は、20世紀以前には注目されませんでした。21世紀にインターネットが一般化して、どのような情報でも公表することが容易になりました。真実を見極めることは民主主義の基本です。真実の判明無しに、賢明な採決をするのは困難です。真実は個人の考え方によって曲げられるものではありません。


新しい世代をフェイクニュースの悪影響から守る

フェイクニュースついての不安を抱える人が多いと思います。とりわけ新しい世代がフェイクニュースにさらされている状況は危機的です。この状況に対処するためには、まず最初にわたしたち自身がフェイクニュースに気づき、真偽を見分ける識別力を養う必要があります。それができたら、ほかの人たち、特に若い人たちに教えなければなりません。さらに、適切なソーシャルメディアとインターネットを使って、真実で良いものを世に広めることも大切です。フェイクニュースを完全に阻止できないにしろ、その流布が減速するきっかけにでもなれば、十分やりがいがあります。

成人してもフェイクニュースに振り回されないように、若いうちから子供たちを教えなければなりません。そうすれば、ひいては世界の改善につながるでしょう。彼らはほどなくして社会を担う大人になるからです。将来フェイクニュースの問題を解決するために、彼らは大きな影響力になるでしょう。そういうわけで、次世代が真理探求を上手にできるように訓練する社会的責任が、わたしたちにはあると思います。 

真理を学ぶのに最適なのは、子供の時期だと思います。なぜならば子育ての間が、親として一番子供に影響を及ぼせるからです。たとえば、子供たちは親の考え方に従って政治的な判断をくだすことが、統計上指摘されています。フェイクニュースがどのように生まれるのかを理解すれば、対処の仕方が明らかになります。無知を克服するためには教育の助けが要ります。開かれた心でいろいろな事実を学べば学ぶほど、真実を見分ける力が強められるでしょう。

誤解を防ぐ方法は事実関係の確認から始まります。「ジ・オニオン」から正確な事実は学べません。しかしながら、主要な新聞や公的な報道機関など比較的信頼できる情報源もあります。それにしても、一つの出典にだけ頼るのではなくて、複数の情報源から学ぶ方が賢明です。

フェイクニュースについて、とりあえずなんとか対処できるとしても、その悪影響を一掃できるでしょうか?もし一掃できるとすれば、青少年の時期が鍵だと思われます。その時期の教育を改善し、正しいコミュニケーションができるように助けるなら、フェイクニュースは根っこがない樹木のように枯れてしまいます。フェイクニュースの背後に存在する高慢、どん欲、利己心、嫉妬、怒りなどの悪徳は完全になくなるはずはないのです。それは人々の選択を取り去れないからです。しかし、思いやりや謙遜のような道徳を教えることを優先することで、早々に改善を見ることは可能でしょう。


解決方法を求めて 

国際図書館連盟によると8つのフェイクニュースに関する解決策があります。

1.情報源を確認すること
2.著者を確認すること
3.日付を確認すること
4.自分の偏見を確認すること
5.深く読むこと
6.記事を支持するほかの情報があることを確認すること
7.冗談なのかを確認すること、そして
8.フェイクニュースの専門家に尋ねて記事が本物なのかを確認することです。

情報源の確認についてですが、ウェブサイトと情報を流している組織などをチェックして、さらには著者や投稿者もチェックした方がいいです。名前がちゃんと書かれてなければ、真実ではない可能性が高まります。

そして広告が付いていますか?もしそうなら、ただクリックを促し、広告収入を得るために設計されている、ないしはスポンサーの企業の利益につながるように偏った情報を載せているかもしれません。

 factcheck.orgや「フェイクニュースを減らすための簡単な提案など、フェイクニュースを見抜く助けになるウェブサイトもたくさんあります。特定の記事がフェイクニュースかどうかという質問を送ると、答えてくれるサイトもあります。

最後に、自分の信じていることもチェックしないといけません。人は皆、知らず知らずに頭には自分の経験や育ちからきている偏見があるので、気をつけて、その偏りを意識しましょう。

良い内容の記事を投稿することは、フェイクニュースに対処するための最後のステップです。そして何かの情報を公表する前に、その真偽をしっかりチェックすることも必要です。以上のような努力が実ると、ソーシャルメディア上のフェイクニュースよりも良いニュースの投稿が増えるでしょう。


まとめ:フェイクニュースにどのようにアプローチすべきか?

フェイクニュースは見て楽しませるものかもしれませんが、前述したように、否定的な結果につながる可能性があります。しかし、信頼できるニュースとフェイクニュースを区別するにはどうすればよいでしょうか?人々が目にしたり耳にしたりするニュースをうのみにして信用するべきではなく、むしろニュースが本当であるかどうかを確認するために、上記の8つのポイントをチェックすべきであると示唆したいと思います。つまり、1)情報に偏りはありませんか?2)ほかのところでその件に関して、どのような情報が公開されていますか?3)自分の直接的な経験と照らし合わせて、つじつまがあいますか?など自問してみることがニュースが真実かどうかを見分けらる助けになります。

ブリガムヤング大学の学生と先生
この記事は、ブリガム・ヤング大学の日本語を学ぶ学生たちの議論と作文のまとめという形で出来上がりました。以下、投稿者全員のプロフィールを掲載。

(共著者のプロフィール:氏名(専攻、出身地))

  • サム・ボールドウィン(日本語、アイダホ州)
  • ディビッド・ベルナップ(運動科学、オクラホマ州)
  • ジェーク・ベントリー(神経科学、ユタ州)
  • タイラー・エバンズ(神経科学、ワシントン州)
  • アンジェラ・グリフィン(言語学、カリフォルニア州)
  • エディー・ホール(財政学、ハワイ州)
  • ナタナエル・ヘバート(コンピューターサイエンス、ペンシルベニア州)
  • レイチェル・マーティン(言語学、アラバマ州)
  • トア・オコーナー(心理学、アーカンソー州)
  • シドニー・サンズ(脳科学、ユタ州)
  • カウア・スプロート(心理学、ハワイ州)
  • ジェイコブ・ワイズナント(コンピューターサイエンス、オレゴン州)
  • ディラン・ワイズマン(マーケティング、テキサス州)