モルモン教と呼ばれる末日聖徒イエス・キリスト教会を批判する人たちは、しばしば一夫多妻制に注目して、モルモン教の女性たちと、彼女たちの扱われ方についてあらゆる種類のことを想像することがあります。この誤解は今日に至ってもなくなっていません。1890年以来この制度が取りやめになり、容認されなくなっているのにもかかわらずです。この制度を今日行っている人たちが彼ら自身をモルモン教の会員と呼ぶことがありますが、モルモン教とは何の関係もありません。彼らは分離していった人たちで、それは100年以上前にさかのぼることです。

 

一夫多妻制について

事実は、モルモン教が一夫多妻制を実施していた19世紀後半、モルモン教の女性たちは、その当時の合衆国の大部分の女性や世界中の多くの地域の大部分の女性たちよりよい暮らしをしていたということです。この制度の実施は「モルモン教」の内部でも常に非常に小規模の実施でした。神からの戒めとして選ばれた少数の人だけが行っていたことです。

自由ないし選択の自由はモルモン教の教義の中で常に根本的な原則です。一夫多妻制においてはだれも強制されなかっただけでなく、自分の選択でその制度に入っても自分にはそれが合わないと感じられたら離婚する権利が女性たちには認められていました。ある意味で驚きのことは、多くの女性たちがそのような結婚の制度の中にある特別な自由を享受しました。家の中に複数の女性がいて多くの責任や重荷を共に担うことができたのです。それでもある人たちは、そのような生活のパターンが好きではありませんでした、ですから彼らの選びにより好きな時にそのような制度から離れることができました。

参政権を得たモルモン教の女性

一夫多妻制とはまったく関係がありませんが、モルモン教の女性は合衆国の中で有権者に成れた最初の女性たちのグループの一つです。ワイオミングの準州が最初で、ユタ準州が2番目でした。多くの批判的な人たちは、女性たちが投票権を与えられたら直ちに一夫多妻制度を終わらせる行動に走っただろうと予想することでしょう。虐げられたモルモン教の女性たちというイメージは誤りで、モルモン教の指導者は女性たちに投票権が与えられることに何の異議もありませんでした。指導者が期待したのは、女性たちが投票件を得た後も一夫多妻制を支持することにより(実際そのことが起こりました)、その制度によって女性がどう扱われているのかということに関する公衆の考えが変わることでした。それで、1870年にユタ準州の議会は女性に参政権を与えました。国会はこの権利を1887年に廃止し、一夫多妻制度を国家として止めさせるための手段としました。女性はやがて1895年に参政権を再び獲得します。その時には議員の地位に立候補することも認められました。これらの権利はユタが州となって成立した憲法に書き込まれました。

参政権の他にモルモン教の女性は、教会の初期の時期から尊重され社会に大きな貢献をしました。男女の平等に対する格闘は今日も続いていますが、男女の違いについて覚えておくことが大事です。違いと長所を好意を持って認め、価値としては互いに平等であることを理解することが大切です。

ジョセフ・スミスの妻、エマ・ヘイルの肖像画

女性の可能性と扶助協会の役割

預言者ブリガム・ヤングはモルモン教の2番目の大管長です。彼は次のように女性について語っています。

私がしばしば女性の扶助協会の姉妹たちに話してきたことですが、勉学の機会さえ与えられれば、男性と同じように有能な数学者や会計士になれる姉妹たちがここにいます。私たちは彼女たちがこのような学問の領域について学ぶ特権を与えられるべきで、それによって特定の権威を授けられるべきです。女性は家を掃除したり、皿を洗ったり、寝台をととのえたり、子供を育てたりするだけでなく、帳場の仕事に従事したり、法律や医学を勉強したり、帳簿の付け方が上達したり、会計事務所の仕事ができるようになったりすることで、彼女たちが社会一般のためにもっと貢献ができるでしょう。(ブリがム・ヤング説教集、216−17ページ)

ジョセフ・スミスは1842年3月17日に扶助協会を組織し、妻のエマ・ヘイル・スミスをその第1代会長に召しました。少人数の女性たちがノーブー神殿の建設のために働いている男性たちのために、自主的に集まり助けようとしました。ジョセフは彼女たちを神権の権威と様式に基づいて組織しました。それ以来活動を続け、今では世界一大きくて古い女性の組織になりました。

その目的は、

  • 主イエス・キリストに対する信仰を築き、王国の教義を教える。
  • 一人一人の姉妹たちの神聖な価値を強調する。
  • 博愛精神を養い、困っている人たちを養う。
  • 家族を強め守る。
  • 一人一人の姉妹たちのために奉仕し、支える。
  • 姉妹たちが神権の祝福に十分預かれるように助ける。

モルモン教の女性に対する尊重の精神は、今日にも引き継がれています。モルモン教の指導者は、しばしば女性が生来受け継いでいる神聖な性格や資質について語りますが、そのような特質は彼女たちが母親になるために、とても役立っています。母親であることは従属的で価値のないものであるという風にはモルモン教では教えていません。むしろまったくその逆です。モルモン教は家族が永遠の単位であると信じています。子供に自分が神の子であり、イエス・キリストが救い主であり、イエス・キリストの教える価値と戒めを生活の中で生かすことにより、その子供は世界を変えることができると教えることほど大切なことは他にありません。男性の教会の指導者は、しばしば教会の女性たちについて賞賛と愛を持って語ります。彼女たちは決して劣るものではなく、その責任は神聖なものです。

モルモン教の女性たちは、教会の指導者からの愛と尊敬を感じています。彼女たちはイエス・キリストに付ける女性として、その召しを果たすことに喜びと満足を感じています。

この記事は、ドリス・ワイトによって書かれました。