末日聖徒イエス・キリスト教会は、結婚は永遠であり家族の関係も永遠に続くことができると信じています。それでは、教会員が離婚を選ぶことはタブーなのでしょうか?離婚した教会員は破門されるのでしょうか?今回はそんな疑問にお答えします。

1. 末日聖徒イエス・キリスト教会の結婚に関する基本的な教え

末日聖徒イエス・キリスト教会には、家族を大切にする教えがあります。そしてこの教会の結婚観は、1998年に発表された「家族ー世界への宣言」から知ることができるでしょう。

家族ー世界への宣言」より

末日聖徒は、神殿での結び固めの儀式によって、家族を永遠にすることができると信じています。そのために、役所に婚姻届を出して法律上の夫婦になる必要があります。神殿で結び固められた結婚は、救いの計画には必要不可欠です。

この教会では婚前交渉はもちろん、既婚者が伴侶以外と性的な関係を持つことは禁じられています。心も行いも伴侶を愛します。

結婚は夫婦だけではなく、神様との関係も大切です。夫と妻の関係に神様も加わり、三角形のような関係になります。夫と妻の関係、夫と神様の関係、妻と神様との関係が等しく大切にされるなら、夫婦と神様の関係は正三角形になります。この三角形が小さくなるくらいお互いと、また神様との距離が短くなることが理想なのかもしれません。

結婚生活で直面する問題は、お互いの努力と支え合う姿勢、福音の教えの実践で乗り越えて、絆を強くすることができることを信じています。

2. 末日聖徒の離婚

末日聖徒イエス・キリスト教会の公式ホームページの検索バーで「離婚」を調べると、多くの結果が出てきます。

世間や、末日聖徒イエス・キリスト教会の会員の中でも、教会員の離婚はタブーだと思われています。実際に、教会は公式に離婚を勧めていません。それは、福音には離婚を避け結婚生活をより良くする要素があるためです。

結婚生活を豊かにするための勧めに従ってください。いわゆる「性格の不一致」を避けるためには、夫婦は最善の友でなければなりません。親切で、思いやりがあり、互いの必要としている事柄に敏感で、互いがいつも幸せであるように努めてください。この世のものへの願望を抑えるために協力し、財政管理の面でパートナーとなってください。


もちろん、相手が自分の期待に添わないために傷ついたり苦しんだりする場合もあるでしょう。そのような事態が起きて嫌な思いをさせられた人は、過去に経験した良いことや将来の明るい展望を思い描いて、現在の失望を帳消しにしてください。

過去の過ちをいつまでも心に残しておき、何度も繰り返して思い出すことのないようにしてください。婚姻関係においては、わだかまりは破滅を招きます赦しは神が定められたものです。過ちを赦し、欠点を克服し、関係を強めるために、…主の御霊の導きを求めてください。

ダリン・H・オークス

しかし、離婚は個人の選択の1つとして尊重されています。

離婚を選ぶ教会員の境遇は、不貞や虐待、重大な関係破綻などさまざまです。

離婚をした教会員でも、教会に通い続けている会員は男女問わず多くいます。

3. 離婚は福音生活の終わりではない

離婚しても教会を破門になったりはしません。また離婚した人の価値が下がるということも絶対にありません。

それは離婚しても、その人は変わらず大切な神様の子供だからです。そして、離婚したからといって救われないということはありません。また、再婚もできます。そして、指導者の助けや面接などが必要になりますが、ふさわしければまた結び固めができます。

主は離婚した人も、より高い律法で定められている不道徳の染みがないものとして、再び結婚することを認められるのです。つまり、離婚した教会員が重大な背きを犯していなければ、その人はほかの教会員に適用されるふさわしさの標準と同じ標準で、神殿推薦状の資格を得ることができるのです。

ダリン・H・オークス

どのような状況の会員にも必要なことですが、離婚後でも個人として霊的に成長することができるように、以下のことをおススメします。

キリストに焦点を当てる
イエス・キリストはわたしたちの救い主です。彼は生涯を掛けて、わたしたちがどのように生きるべきかを教えてくれました。また、わたしたちの至らない部分や、孤独、不安なども補ってくれます。それがキリストの贖いです。

わたしたちが救い主と、主がわたしたちのためにしてくださったことに対して感じる愛が、自分の弱点や自信喪失、悪い習慣に注ぐエネルギーより大きければ、主は、わたしたちの苦しみの原因となっているものに打ち勝つことができるように助けてくださいます。

ジョイ・D・ジョーンズ

戒めを守る
戒めと聞くと「厳しい」「戒律」とイメージする人も少なくないでしょう。しかし、それは誤解です。戒めは神様の愛の現れです。わたしたちが戒めを守れば、生活の中に祝福が与えられます。わたしたちが幸せを感じ、問題を避けたり乗り越えたりする助けとなり、より良い人になるのです。離婚に自暴自棄にならず、変わらず戒めを守り続けることで、離婚によって得た心の傷や疲労を癒すことができます。

神の普遍かつ完全な愛は福音の計画に伴うすべての祝福の中に示されてい〔ま〕す。これには神のえり抜きの祝福は神の律法に従う人々のために備えられているという事実も含まれます。

トピックと質問「戒め」より

定期的に神殿に入る
神殿に入ると、世の中から離れたような感覚になります。とても静かで聖く、心落ち着く場所です。天国はこんなところなのかと想像してしまうこともあります。そんな場所に定期的に入ると、日々の疲れや悩みから一時的に心が解放されて、永遠について考えることができます。

わたしたちの存在は永遠です。今の地上での生活は、自分を成長させて、この世の人生の後にどのように永遠に生きるかと関係があります。

神殿が遠いために頻繁に入ることが難しくても、有効な推薦状を保持し、いつでも神殿に入れるような状態で生活することができます。神殿に入る計画を立てて、実現できるように努めてみてください。

聖典を学ぶ

聖典には神様の言葉が書かれています。預言者が神様から言葉を預かって、長い歴史の中で書き継がれてきた書物です。

そして、そんな書物を通して神様はわたしたちに語りかけてくれます。また、キリストがわたしたちを救うために必要なメッセージを伝えてくれています。

聖文は、時間や場所に制限されずにいつでも会える、誠実な友になってくれます。聖文は、必要なときにいつもそばにいてくれます。聖文を用いるなら、真理の基礎が据えられ、聖霊がその真理を気づかせてくださいます。聖文を学び、深く考え、調べ、暗記するのは、まるで、世界のどこにいても、いつでも助けを求めることができる友と信条と真理をファイルキャビネットに満たすようなものです。

リチャード・G・スコット

解決したい問題や答えを求めて聖典を読むときに、自分に必要なメッセージを得ることができます。多くの人が同じ書物を読んでいても、そのメッセージは自分だけのものになるんです。離婚しても聖典を読んで学ぶことで、神様から自分へのメッセージを知り、霊的に成長し続けることができます。

教会のサポート


離婚した会員が教会から追い出されるようなことはありません。同じ大切な神様の子供をサポートする動きもあります。

例えば、離婚者向けのカウンセリングやプログラムを提供しています。ミニスタリングというプログラムを通して、離婚した会員が教会の中でも居場所を見つけられるように手助けします。

会員たちは、離婚した会員に次のようなサポートができます。

ポイントは相手と一緒に時間を過ごすことです。自分のプライベートを大きく犠牲にしてまで無理をする必要はないですが、きっとそれぞれにできることがあるはずです。

しかし、お伝えしたように教会には離婚を理解できない会員もいます。福音を守っていなかった、信仰が弱かったからだ、と責める人がいるのも事実です。これはとっても悲しいことです。ですから、どうぞその偏見を捨ててください離婚をした会員に必要なのは、責める言葉でも必要以上の距離でもなく、皆さんの愛とその愛を表す行いです。

「離婚を経験している人が自らの状況をどう見ているかを勝手に想像するのではなく、いつでも、どんな形でも、相手の準備ができているときに耳を傾けてください。」

リアホナ2023年7月号「離婚を経験している会員を支援する

まとめ

離婚はほとんどの人にとって、簡単な決断ではなく、離婚によって苦しんだり傷付く人もいると思います。しかし、福音はそのような人にも希望と癒しを与えます。神様の愛はすべての人に与えられていて、どんな人にも救いの道が用意されていると知っています。