自力では這い上がれないくらいに落ち込んだ時、どうしていますか?新しい環境になかなか適応できなかったり、憂鬱な気持ちを抱えたりする時に、どのように対処したらよいのでしょうか?信頼する人や心理職の専門家に相談することを考えたことはありますか?
信頼できる人に相談したり、適切な支援を受けたり、福音を実践したりすることで状態が大幅に改善することがあります。
一般的に精神的、情緒的な問題を抱えた時に、それをオープンに話さない傾向があると思います。わたしもそんな一人でした。
カウンセリングの経験談
そんなわたしが離婚の苦しみを乗り越えるために、カウンセリングを受けることになりました。最初、ワードのビショップから教会のファミリーサービスのカウンセリングを勧められたときは、かなり抵抗を感じました。
「そこまで自分は落ち込んではいない、何とか自分で対応できる」と考えました。でもどん底の状態で、自分の力だけでは歩けないほどに落ち込んでいました。
初めてのことなので不安でしたが、意を決してカウンセリングを受けることにしました。
カウンセリングを受け始めた時、まずカウンセラーの兄弟から、自分で変えられない問題について考える時間を減らすように勧められました。最初は問題について一日24時間考えてました。それを一日2時間に減らすように言われたのです。
無理難題に思われましたが、少しずつ問題について考える時間を減らしていきました。そうすると徐々に気持ちが前向きになり、新しい目標に向って歩き出すことができるようになりました。
カウンセリングは自分の状況を客観的に捉えたり、自分を見つめたりする素晴らしい経験になりました。憂鬱になることも少なくなり、危機的状況を乗り越えることができました。
憂鬱な気持ち、心の病、そのほかの様々な問題で悩んでいる人は、家族や友達など周りの信頼できる人に相談してみて欲しいです。末日聖徒イエス・キリスト教会のビショップという指導者も助けになるでしょう。また必要に応じて専門的支援を受けることも視野に入れてみて欲しいです。
うつ病と診断されて
わたしの友達は、ちょうどコロナ自粛期間中にうつ状態になってしまいました。憂鬱な気持ちが続き、体が思うように動かなくなってしまいました。しばらく朝ベッドから起きることもままならなかったそうです。
いつもなら大好きな自然を見ると元気になっていたのに、この時は何をしても気分を上げられませんでした。「あ、これはやばい」と感じたそうです。今までの対処方法では乗り切れないと感じ、たどり着いたのが心理カウンセリングでした。
そこで分かったことは、実はうつ病になっていたということでした。仕事で抱えていたストレスが原因のようでした。職場で新しい仕事を任されるようになったのですが、それが全くうまくいきませんでした。
カウンセリングを通して自分を見つめ直すことで、自分にどんな仕事が合っているのかが見えてきました。そして今まで憧れだと思っていた仕事が、実は自分の最も苦手とする分野だったことが分かりました。
それはとても衝撃的な事実でした。でも不思議と心が軽くなり、前向きな気持ちになれたそうです。
今、彼女は新しいスキルを身に付けるために研修を受けています。表情も明るくなり活動的になりました。
しばらく教会をお休みしていましたが、再び教会の集会に活発に集うようになりました。
頑張ることも大事だけど、無理することと頑張ることは違う。
自分にとって本当に幸せな道を広い視点から見つめることが大切なんだと彼女から学びました。
精神的なことに関する預言者の勧め
十二使徒のジェフリー・R・ホランド長老は、2013年10月の総大会で『破れた器のように』というお話をしました。その中で、自分自身の経験を交えて、精神的、情緒的な問題に対応する方法をお話されました。
皆さんや皆さんの愛する人が精神的、または情緒的問題に直面したとき… …天の御父を信じる信仰を決して失わないでください。御父は皆さんが理解できる以上に皆さんを愛しておられます。
生活に主の御霊を招くために、これまで多くの人が試してきたことを行いましょう。皆さんの霊的な福利について鍵を持つ人々に助言を求めてください。神権の祝福をお願いし、それを大切にしてください。毎週聖餐にあずかり、完全にしてくださるというイエス・キリストの贖罪の約束にしっかりとつかまってください。奇跡を信じてください。
皆さんが虫垂炎になれば、神は当然、神権の祝福だけでなく、利用可能な最高の医療を受けることを皆さんに期待されます。情緒障がいについても同じです。天の御父はこの栄えある神権時代に与えておられるあらゆる賜物を使うよう望んでおられるのです。
ジェフリー・R・ホランド
これこそがまさにわたしが体現したことです!祈ったら苦しみや憂鬱な気持ちが魔法のように一瞬でなくなる、ということではまったくありませんでした。
何か月も祈り続けて、周りの人に支えられて、キリストの贖いの力により、絶望的な苦しい気持ちから救われることができました。
そして自分を助けてくれた人や必要な支援、福音やすべてのことが、キリストの贖いの表れなのだと心から信じるようになりました。
さて、悲しみと抑うつ状態とは似ていますが、違うものです。それぞれ違う対応が求められるのでしょう。
憂鬱とうつの違い
教会が、霊的な強さを身に付けるために用意した『レジリエンスを高める』の講座のテキストには、この二つの違いについて分かりやすく説明しています。
悲しみとは、悲哀、不幸、深い憂いの感情のことです。この世においてわたしたちが普通に経験する事柄の一部です。悲しみは、拒絶、対人関係、失望、そのほかの苦痛に起因する困難によってもたらされることがあります。それらはつらいものではありますが、わたしたちが成長するうえで不可欠な要素です。
抑うつ状態は違います。抑うつ状態は、わたしたちの思考、感情、物の見方、行いに影響を与える精神状態です。抑うつ状態は、明確な理由が分からないままやって来ることがあり、つらい出来事に対する不健全な反応に起因することもあります。
抑うつ状態を経験すると、わたしたちは感情に対してまひしたり、無感覚になったりすることがしばしばあります。恥ずかしい思い、自責の念、自己嫌悪を感じることもあり、それらはすべて、毎日の活動様式に影響する恐れがあります。 抑うつ状態は、困難が生じたときにその困難に前向きに対処する能力にも影響します(『レジリエンスを高める』p90)。
テキストの中では、抑うつ病の症状が一定期間続いた時は、専門的な支援を受ける必要があるのかも知れないと書かれています。自分だけで判断できない時は、周りの信頼できる人や専門家、教会の指導者にぜひ相談してみてください。
キリストは、わたしたちが困難に立ち向かえるように周りの人や事物を用意されています。神様はわたしたちをどうやって助けるかを御存知で、すべてのことを用意されておられることを証します。